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いざ!!

「助けてくれよ。俺、三人のパーティに居たら男どもに殺されちまうって。さっきから、視線がすさまじすぎるんだよ」


「何を言ってるの? テンジがここにいる人たちに殺されることなんてあるわけないじゃない。冒険者同志で争うのはご法度よ。ギルドによって重い罰があるんだから、それにテンジが狙われる理由もないじゃない」


「本気で言ってるのか? 自分たちが冒険者としてどういう存在なのか自覚してくれよ。このままじゃ俺の身が持たないって」


 レミアはまったくわけがわからないと言った表情を浮かべている。

 本気で三人とも何もわかっていないって言うのか? この町の冒険者どもは相当つつましいって言うのか? 声をかけたりもしてないのか? いやいや、絶対あり得ないだろ。俺でも声をかけようか熟考するくらいの美少女たちだぞ。


「もういいから行きましょう? 折角クエストを受注してきたって言うのに、こんなところで時間を取られるなんて嫌よ。二人もそう思うでしょ?」


「この人はさっきからこの調子だよ。視線が怖いとかそう言うことばっかり言ってる。ちょっとおかしいかもしれないよこの人。これはもうマイナス百点だね」


「しかし、見られていたのは事実なんだ。これがどういうことを意味するのかは私にもわからないな。テンジがどういう印象を受けていたのかも私にはわからない」


「ほら、二人も気のせいだって言ってるでしょ。早くいきましょ」


 セラは見られていたことは肯定してくれているじゃないか。もうレミアは聞く耳を持ってないな。

 さっさとクエストに向かいたいという欲を抑えきれないようだ。俺も正直なところ、こんな場所一刻も早く立ち去りたい。クエストに向かうって言うんだったら邪魔するべきじゃなかったな。すぐ出発しよう。




 レミアたちとほんの少し距離を起きながら冒険者ギルドを出た。

 こんなことしたところでもう男どもには見られていたからしょうがないんだろうけど、少しでも敵を作らないようにする心がけはするべきだよな。男の嫉妬は怖いからな。


「それでホブゴブリンってどこにいるんだ? スライムも森にいたし、森にいるとかか?」


「単純すぎるわよ。あの森はスライムが生息してるけど、ホブゴブリンなんて居たらスライムが絶滅しちゃってるわよ。モンスターとしての危険度が違うのよ、同じ場所にいるわけないじゃない。今回のホブゴブリンはこの町の近くの洞窟に現れたらしいわ。巣を作っていると考えるのが妥当なところね」


「ゴブリンの巣に突撃するってことか? 本当に大丈夫なのかよ。それって結構危険なことなんじゃないか?」


「だから報酬がいいのよ。私たちだけだったら選んでないかもしれないけど、今日はテンジがいるからね。これくらい楽勝でしょ? 私たちも足りなかった前衛がいるから、戦いやすいしね。それと、今回はゴブリンも一緒に討伐することになるからそのつもりでね」


「なんでだ? ホブゴブリンを討伐するんだろ? ゴブリンなんて合わせて討伐してもなんの足しにもならないだろ」


「ちょっと考えて見なさいよ。ホブゴブリンが巣を作ってるのよ。そこにゴブリンも一緒にいると考えるのが当たり前よね。ホブゴブリンはゴブリンの上位種なの。クエストの用紙に書いてあったとおもうけど、このクエストはゴブリンを合わせて討伐したら追加報酬が貰える仕組みになってるの。全滅させちゃいましょ」


 言われてみれば確かにってなるな。

 ゴブリンとホブゴブリンの巣があってそこに俺たちは討伐クエストで行くことになるんだな。なんか、ゴブリンの巣って言うと嫌なイメージしか浮かんでこないんだけど。


「いざという時はこの人を盾にして逃げようね。実際にゴブリンがどれくらいいるか未知数だし」


「それは良くないな。テンジと共に戦わないと私たちも冒険者としてのプライドがあるんだ。ホブゴブリンだろうとゴブリンだろうと討伐して見せよう」


「そうね。私も魔法で焼き尽くしてやるわ。二人もサポート頼むわよ」


 なんか一致団結している感じがしていいな。

 主に俺以外での話だが、俺も明日からはパーティに入っている予定だからな。一緒に盛り上がっていきたいところだ。


「町からすぐに洞窟があるのか?」


「すぐじゃないわ。1時間近く歩くわよ。そもそも、そんなに近くにゴブリンの巣ができてたりしたら大事でしょ。もっと早く冒険者が駆り出されてるわ。ゴブリンといえば、家畜を攫ったり、人間も攫ったりするんだから。危険なモンスターなのよ」


「早く討伐しないといけないな。被害が出る前に討伐しておかないとまずいじゃないか」


「だから、私たちが行くのよ。ギルドが発見した段階でクエストとして張り出されてるからね。テンジも油断しちゃだめよ。巣に入ったらどこにゴブリンがいるかわからないんだからね」


 ゴブリンと言えども、冒険者でもない人からしてみれば相当の脅威だろう。

 俺だって、前世の頃にゴブリンと遭遇したりなんかしていれば発狂して泣きながら逃げていたことだろうな。モンスターなんて戦わないに越したことはないんだ。そもそも、死ぬ可能性があるんだからな。

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