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決定

「致命的にセンスが無さ過ぎるわ。本気でそのクエストを持ってきたの? 正気を疑うわ。スケルトンの討伐なんて夕方になっても残ってるくらいの不人気クエストよ。早く戻してきなさい」


「どういうことだよ、なんでダメなのかくらい説明してくれないと俺も納得できない。すべての条件をクリアしてるじゃないか。何処が悪いんだよ」


「だから、センスよ。スケルトンがどこに生息してるのか知ってるの? 知らないで言ってるのよね? アンデッド系のモンスターしか出ない暗くてジメジメしてて腐敗臭のするダンジョンよ。どう? これでもテンジはこのクエストに行きたいかしら?」


 なんだそのダンジョン。誰が行きたがるんだよそんなところに。ということは、このクエストは人気がないから報酬がつり上がって行ってしまっているだけであって、スケルトンなんてただの雑魚モンスターなのか? 

 でも、センスがないは言いすぎだろ。俺だって真剣に選んできたってのに……。


「レミアちゃんダメだよこの人。冒険者に必要なクエストを選ぶ能力が皆無だよ。もうマイナス百点だね」


「俺の点数はどれだけマイナスされるんだよ。既にマイナス二百点なんだけど……計算ミスってないか?」


「はぁ、変わりに私たちが選んであげるわよ。二人とも、見に行きましょう。ほら、テンジそのクエスト戻してくるから貸しなさい」


 持っていたスケルトンの討伐クエストをレミアに渡す。

 このクエストが違う誰かの手によってクリアされることを祈ろう。残念ながら、俺たちのパーティでは到底成し遂げることができないほどの高難易度クエストだったんだ。女の子が行くようなクエストじゃないよな。ほんとに、金に困っている冒険者が是非やってくれ。


「一人ぼっちだな。俺もついて行けば良かったんじゃないか? なんで、一人で待たされてるんだろうか……」


 この時間はなんの時間なんだ? 俺だけここでぼぉっとしているだけ。三人は仲良くクエストを選びに行った。

 クエストボードのほうを見てみると、三人に異常なほどの視線が集まっている。そりゃ男どもの注目の的だよな。あれだけの美少女が三人もいるんだぞ? 男なら五度見くらいしちまうだろう。そう言えばだけど、俺が三人といるところはほかの冒険者たちに見られてないのかな。見られてたら今頃怨念が凄いことになっていそうだけど。


「なんだよあいつ。なんでスリーエンジェルと仲良さそうに話してるんだ? ふざけんなよこのぽっと出が!!」


「マジでやっちまうか。出る杭は打たれるって言うしな。今のうちに処理しちまった方がいい気がしないか? 俺はこの案を提案するぞ!!」


「やるしかねぇ。俺たちの天使たちがあんな奴に汚される前に二度と近づく気が起きねぇよう教育してやらねぇとな。なぁに、あほに教育するだけのことだ。何にも問題なんてないよな」


 うーん、なんか聞こえてきたんですけど。

 まずいってこれ。やっぱり三人の人気はとてつもないものがあるんだって。そりゃそうだろ。あんだけ可愛いんだからさ。しかも、三人が冒険者になったのなんて、ここ最近の話だろ? なんで、こんなファンみたいな奴らがいるんだよ。おかしすぎる。


「どうしてやろうか? まずは、一人で呼び出して身の程をわからせてやるのは当たり前として、問題はその後なんだよな。どうしたら、あれだけ魅力のある天使を諦める程の痛い目に合わせてやることができるんだ? なぁ、お前ら、お前らだったらどんな目に合えば、そういう心理状況になるよ」


「俺は絶対にならないと断言しておく。俺がスリーエンジェルを思う気持ちは不滅なんだ。痛い目にあったくらいでなかったことになるほどやわなもんじゃないってな」


「俺もだぜ。それこそ、死んでも天界から見守ってるレベルだぜ」


「やっぱりそうだよなぁ。なら、殺して埋めちまうか?」


 高らかな笑い声が聞こえてくるのが本当に最悪だ。

 これは俺に聞かせるつもりで喋ってるのか? それとも、テンションがおかしくなっちまって声がでかくなってるだけか? 三人が関わると男なんてろくなことになりゃしないって。実際のところ、俺だって逆の立場だったらやっちまってるかもしれないもんな。後は、俺が圧倒的な実力を見せつけて、こいつらに手出しができるような存在じゃないってことをわからせてやらないといけないってことか。俺が圧倒的な力の差なんて見せつけた日には全員死んでしまってるだろうな。


「お待たせぇ。持ってきたわよ。ほんと、誰かさんが寝坊したせいで探すのに苦労したわ」


「悪かったって。だから、もう寝坊の件をこれ以上いじるのはやめてくれよ。俺も本当に心の底から反省してるんだって。見てくれよ。この反省以外の感情が見えない目を。な? わかったろ?」


「そんなの知らないわよ。それよりも早く見なさい」


「すいません」


 俺はレミアたちが持ってきてくれたクエストをじっくりと見た。


「なになに、ホブゴブリン5匹の討伐……銀貨20枚!? おい、なんか報酬が多くないか?」


「当然よ。ホブゴブリンは危険度Eランクのモンスターの中でも限りなくDランクに近いもの。これ以上成長したら一気に危険度が上がっちゃうから討伐しないといけないってわけ。これに決定よ」


 くそぉ、俺ももうちょっと探してればこのクエストを見つけれてたんだろうけどな。

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