表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/57

クエスト選択

 冒険者ギルドが見えてきた。

 今日もここにやってきたんだ、自分が冒険者になったって言う自覚が芽生えてきたな。なんでだろうか? 俺もいっぱしの冒険者になりたいんだろうか? 毎日ここにやってくることになるんだろうな。長い付き合いになりそうだ。


「立ち止まってないで行くわよ。クエストは待ってくれないのよ」


「おい、引っ張るなって」


 一人黄昏ていた俺の服を引っ張りながらレミアが進んでいく。

 もう少しくらい黄昏させてくれよ。俺だって、ゆっくり物事を進めていきたいタイプなんだよ。こう見えても堅実なんだからな。序盤で無駄に経験値を稼いでしますタイプなのだよ。


「その手をすぐ離して!! 何勝手にレミアちゃんに触ってるの!? セクハラで訴えるんだから!!」


「冤罪だ!! どう見えても俺から触ってるようには見えないだろ。ってか、俺は触ってないし!!」


「うるさいわよ。黙ってついてきなさい」


「理不尽だ。こんなの間違ってる……」


 なぜか怒られるのはすべて俺。いくら美少女からだとは言えども、色々とメンタル的にきつくなっちまうって。俺が病んだらこの二人のせいなんだからな。俺は悪く無いからな。




 相変わらずかなりの冒険者でにぎわっているな。昨日の夕方と変わらないくらい冒険者がいるんじゃないか? この時間帯も混雑する時間なんだな。覚えとかないと、この時間をさけるようにすれば混雑は避けられるっと。


「もうっ!! テンジが寝坊するからよ。これじゃあ、いいクエストは先に取られちゃってるわ。責任取って見つけてきなさい」


「それを言われるとどうしようもないな。でも、俺が選んでも大丈夫だなのか? モンスターの強さも報酬の相場もわからないんだけど……というか、どのクエストまで行けるんだっけ?」


「私たちはEランクだから、Dランクまで行けるわ。Dランクは難しいからできればEランクがいいわね。それと、報酬は銀貨15枚以上のものが好ましいわ。今回は4人で割るし、そのくらいはないと赤字コースね」


「その条件に見合うクエストを見つけて来いってことだな。任せとけ。俺が最適なクエストを選択してきてやるよ」


 半ば責任を押し付けられるように俺はクエストボードの方へと向かった。




「えーと、ここに張られてるクエストで全部なのかな。おっ、このあたりがFランクやEランクのクエストのコーナーだな」


 俺はすぐにお目当てのクエストたちを発見した。

 要するに、この中から条件に合うものを持っていけばいいだけの簡単なお仕事だ。字も読めるし、これなら楽勝だな。今日寝坊しちまった失態をとりあえずここで取り返しておくことにしようか。


「ゴブリン5匹……報酬が安すぎるな却下。薬草採集……これも安い。ペットの猫の捜索……全然ダメ。なんだこれ、しょうもないクエストばっかりじゃないか。Fランクはダメだなこりゃ。Eランクを見てみようか」


 ひとまず、Fランクのクエストの中から目ぼしいものを探そうとしてみたが、思うようなクエストは一つもなかった。駆け出しの冒険者にはちょうどいい難易度と報酬の設定になっているのかもしれないが、俺からしてみればどれも生ぬるいものばかりだ。


「コボルト10匹……銀貨13枚か惜しいな。リザードマン2匹……銀貨14枚って、こいつ強そうだな。でも足りない。スケルトン10匹……おおっ、報酬銀貨16枚これだ!!」


 ついにお目当てのクエストを発見することに成功した。

 スケルトンという名前から察するに骨だろう。骨を倒すなんて楽勝に決まっている。簡単に粉砕だ。粉砕骨折だ。よっしゃ、これを持って帰ってみようかな。まだ見てないクエストもあるけど、もういいよな。




「持って帰ってきたぞ。これで完璧だ」


「あら、いいクエストがあったの?」


「早いよ。気を使ってもう少し時間をかけてくれないかな。私たちが折角三人で仲良くお話をしてたのにね」


「テリーヌ、テンジは私たちのクエストを選んできてくれたんだよ。ここはお礼を言うべきじゃないかな」


 相変わらずテリーヌの態度はとげとげしいが、セラのほうはまぁまぁいい感じではないだろうか。個人的に好印象の予感。つまり、既に俺のパーティ加入の賛成票は2票集まっているようなものだ。これで、テリーヌ一人が反対しようが俺の勝ちだな。悪いが、この勝負は俺の勝ちみたいだ。


「これでどうだ!!」


 三人が座っていたテーブルの上にバンとクエストの紙をたたきつけた。

 正直、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ掌が痛かったが何もなかったふりだ。ここで、手を抑えていたがるなんて恥ずかしい真似は俺にはできない。


「これは……却下ね」


「うん、却下」


「却下だね」


「はい!? なんで即答なんだよ。ほんとに、ちゃんと俺が持ってきたクエストを見たか? 適当にいちゃもんつけようとしてるだろ!!」


 俺の思っていた反応とはまったく違う反応が帰ってきて驚いてしまった。

 どういうことなんだよこれ。俺は条件にあったクエストをちゃんと持ってきただろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ