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実食タイム

「そう言えば、レミアたちは何を頼んだんだ? 全然聞いてなかったんだよな」


 俺は自分の考えに集中してしまっていたからな。特盛がどれくらいの量なのかという本当にどうでもいいことに頭を使ってしまっていた。そうして、気が付いた時には全員の注文が終わってしまっていたのだ。

 でも、俺は自分が食べたかったかつ丼を注文ができたから良かったな。これで、まったく違うことを口走ってしまっていたらと思うと、ちょっと怖くなる。


「私は天丼にしたわ。エビがぷりぷりで最高なの。テリーヌは海鮮丼、セラはステーキ丼ね。いつも決まったものばかり食べてるのよ私たち」


「へぇ、どれも美味そうだな。こりゃ俺も常連になるしかない。こんないい店教えてくれてありがとな」


「まだ、料理も食べてないのに気が早いわよ。せめてちゃんと食べてからにしてちょうだい」


 確かに、まだ食べてもないのに美味いと断定してしまっていたのは早計だったな。

 俺としたことが、腹が減りすぎて単純なことさえも考えられなくなっちまっているようだ。この空腹をすぐに満たさなければ俺はあほのままになっちまう。


「レミアちゃんは優しすぎるよ。注文するって言うのに呆けてるその人が悪いんだから、激辛ワサビ丼でも頼めばよかったのに。でもこの人だったらワサビ丼でも美味しそうに食べそうだね。あほそうだし」


「こら、テリーヌはまたそう言うこと言わないの。テンジはこの町に来たばかりなのよ。考え事の一つや二つくらいするでしょ。私たちだって、冒険者を初めてすぐの頃は色々悩んだりしたの忘れたの?」


「やっぱりその人の肩を持つ。おかしいよレミアちゃん!! なんで、私よりもその人のことを庇おうとするの? いつものレミアちゃんに戻ってよ!!」


「戻るも何も私はいつもの私よ。何が違うって言うのかわからないわ。いつでも優しいのが私でしょ。それに今は、テンジを私たちのパーティに加入してもらうとして勧誘してるのよ。少しでも入ってもらおうと努力するのが当たり前じゃない。テリーヌももっと頑張ってテンジを勧誘しなさい。テンジがほかのパーティに取られるなんて絶対にダメなのよ」


 必死になって勧誘してくれるのは凄いありがたいことだな。

 そこまで必死にならなくてもとんでもない美少女三人のパーティって言う他には絶対にない魅力があるじゃないか。これだけでも、俺は速攻頷いちまうけどな。男で三人のパーティに勧誘されて入らないなんて奴は男が好きな奴だけだろ。少なくとも俺は女の子が好きだからな、絶対に入りたいとまで言ってもいい。まぁ、ずっと虫を見るような目で見られることになるって言うんだったら入らないけど。


「二人ともちょっと落ち着いて。その話を何回するつもりだい? 明日テンジの実力を見てから決めるのだろう? それいいじゃないか、今急いで結論を出す必要なんてないよね?」


「それもそうね。私も焦ってたみたい。折角みんなでご飯を食べる機会がと思ってガンガン行き過ぎたわ。ごめんなさい」


「いや……私も余計なこと言っちゃったよ。ごめんね」


 なんか綺麗にこの場が収まったぞ。

 勝手にレミアがリーダーだと思っていたが、もしかしたらセラがリーダー何じゃないか? なんというか、まとめるって言うのに向いてる気がする。これなら、絶対にレミアがリーダーするよりもセラがリーダーしたほうがいいと断言できるまであるな。二人をまとめるのはセラしかいないよ。


「お待たせしました。こちら、かつ丼の特盛です。ハーレム王さん、さぁ召し上がってください」


「なんだよそれ。さっきから違うって言ってるってのに……わざとからかってるよな絶対」


「いえいえ、そんなことありませんよ。まさかお三方が男性を連れて来店されるなんて夢にも思っていなかったものですから私も興奮してしまっているんですよ。春が来たというのはきっとこのことですね」


 重かったのか、俺のかつ丼だけを持ってきたアムリはまたちょっかいをかけてすぐに厨房へと下がっていった。

 それにしても、今度は俺までからかってくるとは、アムリのコミュニケーション能力はとんでもないものがあるな。俺なんてミジンコ以下レベルだろうな。自分で言って悲しくなってきた。


「はーい、ほかもお待たせしましたー。これでお揃いですね? では、ごゆっくり新しい春を満喫していってください」


 器用に三個のどんぶりを持ってきている。なんでさっきのは一つで持ってきたんだ? 俺を個人的にからかうために一つできたんじゃないだろうか? いやまさかな。そんなことわざわざしないだろ。


「まったくアムリには困ったものね。いつもこの調子だから気にしないで。適当に喋ってるだけだから」


「ああ、気にしないことにする」


 いつもこのテンションとは本物だ。本物の陽キャという奴だ。俺には到底真似できないな。いやいや、俺には誰にも負けない強さがあるんだ。誰にどうこう言われたって俺のほうが上に決まっているんだ。そうだよな?

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