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無理だろこれ

「そうだって、一旦落ち着いて話そうぜ。俺も全部説明するからさ」


「貴方は黙っていて貰えますか? 私はレミアちゃんと話してますから」


 じろっと睨まれて俺も正直怯んでしまった。

 凄い今更なんだが、これまた二人はとてつもなく可愛い。

 テリーヌちゃんは小柄で透き通るような銀髪の美少女だ。素晴らしい可愛さなんだが、俺に対する態度があまりにもきつすぎるのが難点だな。もう少しだけでも態度を軟化してもらえればもう大好き。

 一方、もう一人の子は黒髪のショートカットでなんというか女子高の王子様的な雰囲気を醸し出している。もちろん可愛い。可愛いのかカッコいいのかよくわからなくなるが、可愛いもんは可愛いのだ。


「テンジは仲間になるんだから、テリーヌももっと普通に接してあげて。これじゃあ、テンジが可愛そうだよ」


 ここで、天使ことレミアが俺を庇ってくれる。

 もう間違いない、クエストの間は少しあたりが強くなっていたような気もしたがレミアは天使だ。天使の生まれ変わりだ。この可愛さにこのやさしさ、反則だ。こんなの誰も勝てないって男は。全員が全員、レミアの魅力に落とされちまう。そう考えたらこのパーティやばすぎるよな。全員が女の子というだけでも冒険者の中では凄い珍しいそうなものなのに。さらに、全員がとんでも美少女なんて役満にもほどがあるだろ。俺はこんなパーティに入ろうとしているのか、ほかの男冒険者に殺されたりしないか? 不安で夜も眠れなくなりそうで凄い怖いな。


「テリーヌ、落ち着いて。私だって、本当は今すぐにでもこのテンジを問い詰めてやりたい気持ちを抑えてるんだ。一応、弁解くらい聞いてあげようじゃないか。判断するのは、それからでも遅く無いだろう?」


「セラがそう言うなら……でも、私は何があっても納得なんてしないから」


 マジで言葉の通りになる気配しかない。

 テリーヌが俺への警戒を解いてくれて、パーティに入れてくれる未来なんてものは存在しているんだろうか? 無理な気がする。弱気になってしまって俺としてもやるせない気持ちでいっぱいだが、無理な気がするってこれ。レミアの説得すら聞く耳を持ってくれていないじゃないか。どうするんだよ。


「ありがとうテリーヌ。まず、さっきも言ったけど、テンジとは今日冒険者ギルドで初めてあったの。武器も防具も身に着けずに、ギルドの中を挙動不審に歩いていたからもしかしたら困ってるのかなと思ってね」


「やっぱり、レミアは優しいな。でもダメだよ。そういうレミアの優しさを利用しようとする輩が大勢いるんだ。特に、冒険者の男なんて野蛮で粗暴な者ばかりだからね」


「そこからもう騙されてるの。レミアちゃんなら声をかけてくれると思っての作戦だよこれは。私にはわかる!! そうでしょ」


「いや、レミアに話しかけられる前までほんとにどうしたらいいかわからなくて困ってたんだよ。それに、レミアの存在には気が付いてなかったし、そもそも冒険者ギルドに来たのだって今日が初めてなんだからレミアの性格なんて俺が知るはずないだろ」


 もう何を言っても俺が悪者にされる未来しか見えない。

 これもどうせ、何か理由をつけて俺が仕組んだ作戦だという話になっちまうんだろう。たまったもんじゃないな。もし、テリーヌが可愛く無かったら手が出てる可能性すらあるぞ。いや、可愛いから全然許すんだけどさ。


「私わかった。その人はレミアちゃんのストーカーなのよ。それで、レミアちゃんのことを調べてこの作戦を思いついたんだね。もう言い逃れできないから、白状しなさい」


「そんなわけないだろ。この町に到着したのも冒険者ギルドにつく数十分前とかだぞ。それだと、どうやってレミアのことをストーカーするんだ? できないよな?」


「それを証明することはできないよね? 見たところ、知り合いもいなさそうだし、証明できない事なんて信じるに値しないんだから」


「どうしちゃったのテリーヌ。普段の優しいテリーヌに戻って。そんなにテンジが気に入らないの? 今日クエストを一緒にクリアしたけど、冒険者とは思えないほどいい人だったわ」


「演技だよ。レミアちゃんの信用を得るための演技に決まってるんだから。レミアちゃんは私が守る」


 完全にヒートアップしてしまっている。これじゃあ、テリーヌには何を言っても無駄だろうな。

 残念なことにこの場から立ち去ることもままならないので、とりあえずとどまってはいるが、それも限界だな。ほんとに惜しいことをしたと後悔するかもしれないが、このパーティに入ることは諦めるほかないのか。こんな美少女三人と冒険者をできることを考えたら、俺がすべて我慢してでも入りたいとは思うが、我慢してどうこうなる感じでもないんだよな。何をしようが認めてくれないって感じだ。そうなるとするなら、俺はパーティに入る手段が見当たらない。大丈夫だ、俺の力ならパーティなんて煩わしいものに入る必要なんてないんだ。一人の力ですべてを乗り越えていけるはずだからな。



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