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次行こうか

「これで本当にクエストクリアね。どう? 初めて報酬を受け取った気分は? これは自分で稼いだお金よ。テンジが好きに使っていいんだから。そう考えるとワクワクしてこない?」


「そうだな。ワクワクと言うか、安心ってほうがでかいかもしれないな。一歩間違えてたら宿なしの野宿になっちまうところだったんだ。マジで良かった、ありがとなレミア」


「いいのよ。困っている人がいたら助けてあげるのが当たり前でしょ。それに、テンジは私からしたらとんでもない掘り出し物だったんだから。明日からもガンガンクエストに行くんだから覚悟しておいてよね」


 パーティーに入れて貰えれば俺も一緒にクエストに行けるんだもんな。Eランクのクエストについていけるから報酬も当然よくなるだろう。でも、4人で割ると考えるともしかしたらソロで活動するほうが報酬は美味い可能性はあるか? とは言っても、ソロだと時間効率とかも落ちちまうし、やっぱりパーティーを組むほうが無難ではあるよな。

 俺ももっと楽ができるようになるだろうし、そもそも俺だけが戦う必要がないって言うのはでかいな。誰かに任せて休憩していてもクエストは進むんだろう? 最高じゃないか。勝手に宿題が進んでるようなもんだ。考えるだけでもすさまじいことが起きちまっていることがわかる。パーティー万歳。


「これからどうするの? 夕飯食べに行く? それとも宿のほうへ一旦向かってみる?」


「宿が先だな。腹はまだ我慢できるが、宿は我慢できるようなもんじゃないしな。予算にも限りはあるし、泊まれないって言うのは勘弁だからな。さっさといい宿を見つけて、美味いものを食うってのが一応今後のプランだな。当然、うまくいったらの話だけど」


「いいじゃない。それで行きましょう。私も手伝うわよ。テンジがどこに泊まってるかわからないと明日合流するときに困るものね。私たちが泊まってる宿も教えておくからちゃんと覚えておくのよ」


「ああ、善処する」


 他人の泊まっている宿の場所まで覚えられるかは正直怪しいけど、レミアが俺の泊まっている宿を覚えてくれるんだったら安心だろう。俺が頑張って覚えるよりも絶対に可能性が高いはずだ。

 俺が忘れちまったら終わりみたいな状況だったら俺でも覚えられると思うんだけどなぁ。忘れても大丈夫なら、そりゃ忘れちまうよ。


「あんまり期待できない返事ね。まぁ、いいわ。とりあえず向かいましょう」


「案内頼む。それで? 冒険者ギルドからは近いのか? あんまり歩きたくないんだけど……」


「少しずつわがままになってない? 町の中にあるんだからそれほど歩くことはないわよ。5分くらいでつくわ」


「それなら何とか大丈夫だ。20分とか言われてたらもう近場に行ってたかもしれないな」


 俺たちはひとまず冒険者ギルドを後にした。




 外に出ると、あたりはすっかり暗くなってしまっていた。

 この世界でも日の落ちる時間は似たようなもんなんだな。たしか、ギルドを出る前に時計を見たときは8時くらいだったかな。


 町中の街灯があるおかげで町の中は明るいのが救いだな。これが本当の田舎の村とかだったら街灯もなしで、何も見えないって可能性もあるよな。この文明からして、電気を使っているようには見えないし、何で灯りを灯してるんだろうかな。


「どうしたの? 街灯がそんなに珍しいの?」


「いや、どういう仕組みになってるのかなって疑問に思っただけだ。かなり明るいし、でも火を燃やしてるわけではないよな?」


「本格的にテンジは田舎者ね。あれは、魔石を原材料にしてるのよ。光魔法を発動する媒体に魔石を使ってるの。魔石くらいはわかるわよね? テンジの町にはなかったのかしら?」


「なかったな。魔石を使ってるってのは予想外だったな。そうか、魔石だったんだな。魔石かぁ、魔石だよなぁ」


 何だよ魔石って。なんか妙にレミアから圧を感じて咄嗟に知ったかぶりしちまったけど、どういうものなのかさっぱりわからないぞ。雰囲気的に知らないとマジで意味不明な奴レベル何だよな。

 街灯ですら驚かれている感じからすると、とてもじゃないけど魔石を知りませんとは言えないっての。


「魔石は高く売れるからね。まだ私たちには関係ないかもしれないけど、いずれは魔石持ちのモンスターとも戦うことになるだろうから。すっごい強いって話よ。その代わりリターンも大きいのだけどね」


「早く戦ってみたいもんだな。でも、俺の攻撃だと魔石まで一緒に粉々にしちまいそうだ。それまでに絶妙な力加減ができるようにならなくちゃな。明日からも冒険者頑張るぞ」


「フフッ、テンジは気合いばっちりね。私も負けないようにしないといけないわ。後から冒険者になったテンジに冒険者ランクを抜かれたりしたら屈辱だもの」


「そこは俺の力がどれだけ冒険者ギルドに認められるかにかかってるな。すぐに抜かしちまったときは我慢してくれよ。俺の力的にはもっと高位の冒険者じゃないとおかしいんだからな」


「嫌よ。あんまりランクに差ができたりしたらパーティーも組みづらくなるわよ。しっかり調整してよね」


 無茶ぶりだ。確かに、俺だけランクをガンガン上げちまったら、なんでパーティー組んでるの? とはなるだろうな。冒険者ってのは以外に複雑なんだな。

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