帰ってきた
「そうか、そんなせこい方法があったのかよ。悪いな、俺じゃあその作戦は思いつけなかった。レミアの言う通り手当たり次第に当たってみることにする。もしかしたら一発目からあたりを引き当てるなんてこともあるかもしれないな。それと、夕飯付きなら尚いい」
「夕飯がついてくるところもあると思うからそれも聞いたほうがいいわよ。大体、朝食はつくんだけどね。場所によっては三食付きって場所もあると思うわ。冒険者は昼間は宿に帰ったりしないと思うから、一食分もったいないけど、2食付いてるだけでもいいと思うわ」
「ほんと悪いな色々教えてもらって。報酬を片手に握りしめて俺の宿探しの冒険を始めることにする」
いい宿をすぐに見つけてやるんだ。
すぐに見つければ見つけるほど俺が自由に使える時間が増える。こんなにやる気が出ることがほかにあるかよ。俺の異世界冒険の時間は多分限られているからな。少しでも無駄にするわけにはいかないんだ。
その後、冒険者ギルドまでゆったりと歩いて行った。
「おいおい、なんでこんなに冒険者が居るんだよ。これじゃあ、列に並ぶのにも相当時間がかかるんじゃないのか?」
「この時間帯は混雑する時間なのよ。それでも、焼き鳥を食べてたおかげで一番混雑する時間は避けてるのよ。夕飯時に戻ってくるのが主流ね。朝からクエストに出かけて、一日使ってクリアするのよ」
「へぇー、それでこんなに冒険者が多いのか。でも、それだったらこの時間帯を避けてもう少し早くか遅くまでクエストに言ったほうがいいんじゃないか?」
「うーん、早めに戻るってことは自分たちの力にあったクエストよりも簡単なものに言ってるって言うことよ。遅く帰るって言うのも次の日に疲れを残しちゃうからおすすめはしないわ。次の日、クエストを受けないって言うのだったら問題はないかもしれないけどね」
確かに、レミアの言う通りだな。結局この時間帯に戻ってくるのがいいから、冒険者も多くて混雑するわけだもんな。
しかし、あんまり待つのって得意じゃないんだよな。この列の感じだとそれなりに待たされるだろうし、その間に暇つぶしでもあればちょっとはマシになるんだろうけどな。スマホでもあれば完璧なんだが、異世界でそういうわけにもいかないよな。この世界の文明的に相当差はありそうだし、スマホなんて絶対にないな。
「おとなしく列に並ぶしかないんだよな。それじゃあ、さっさと並んで報酬を受け取ろうぜ。俺もこの後の予定的にも少しでも早く冒険者ギルドから出ないといけないからな」
「そうね。とりあえずは、私たちが取っている宿の方へ来たほうがいいと思うわ。近くに宿もたくさんあるから、その中で泊まれそうなところがあるかもしれないわ」
「ほんと、何から何まで悪いな。それじゃあ、ひとまずはそうすることにする。あっさり見つかってくれればいいんだけどなぁ」
この時間帯では冒険者ギルドの職員の数も多いのか、思っていたよりも列が進んでいく。
そう言えば来たときは、列が2列だったのに今は4列も並んでるからな。単純に考えただけでも倍のスピードではあるし、そりゃ列も進むか。報酬も基本的には受けているクエストに対して決まっているからな。金を渡すだけならすぐに終わるのかもしれないな。冒険者カードに倒したモンスターの情報も保存されてるってことだし、それと照合してすぐに報酬を決めれるってわけか。ほんとに冒険者カードって死ぬほど便利だよな。これが無かったら冒険者の生活はどれだけ不便になることだろうか。
「そう言えば、レミアのパーティーの二人ってレミアと同じEランク冒険者なのか?」
「そうね。私たちは一緒に冒険者登録をしたから、一緒にランクアップしたわ。以前からの友達なのよ。実力的にも私と二人にそれほどの違いはないと思うわ。Eランク冒険者のパーティーだからEランクパーティーってわけ。ここに、テンジが入ってもEランク冒険者のほうが人数がいるからEランクパーティーって名乗っても問題ないわ」
「その二人も俺のことを歓迎してくれるといいんだけどな。二人はどんな感じなんだ?」
一応聞いておかないとな。
とんでもない性格だったりしたら俺もしんどいからな。実力的に俺よりも下のパーティーに入るのに、そこを我慢できるかは相当怪しい。
「一言で言ったら、うるさい子と静かな子ね。私の友達だし、変な子ではないから安心していいわよ。きっとテンジのことも歓迎してくれるわ……きっと」
「なんかちょっと願望が入ってないか? もしかして実は厳しいのか?」
「いやね、あんまり男の人と関わりがなかった子だからそこらへんが大丈夫かなと思っただけよ。テンジが悪い人じゃないってことがわかれば問題ないと思うわ」
ここで問題発生か。でも、これは俺が誠実な人間だというアピールをして行くのと、レミアの説得しか方法はないな。
ほんとに第一印象が大事になってきたな。宿も見つけないといけないのに、色々と問題が起きちまって俺はパンクしないのだろうか? いや、きっと俺なら全部乗り切れるさ。




