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マジでうまいって

 レミアが焼き鳥の屋台の列に並んでいる間に俺は、この後の行動について考えることにした。

 まずは、宿を確保しに行こうか。ここで焼き鳥を食えば空腹は少しはマシになるだろうし、宿の方が優先順位が上がってくるよな? 流石に何処を探しても泊まれないなんてことにはならないとは思うが、それは金をいくらでも出した時の話だろうし、安く泊まろうと思ったら時間は早いほうが良いに決まっている。見つけても、部屋が満室で泊まれないとかなったら面倒だ。

 となれば、先に宿を探しに行くという作戦でいいだろうか。ちょっとレミアにもおすすめの宿はないか聞いておかないとな。レミアも同じ駆け出し冒険者何だし、安くていい宿くらいいくつも知ってるだろう。一つも知らないって言われたときはちょっと困るが、まぁどうとでもなるだろう。


「お待たせ……どうしたの? また考え事?」


「悪い、ありがとう。今日泊まる宿をどうしようか考えてたんだよ。安く泊まれる場所を探さないといけないからな。問題は安くていい宿なら既に満室なんじゃないかってところだ。レミアはいい宿知らないか?」


「そりゃもちろんいくつかは心当たりはあるわよ。でも、そんなの後にして今はこの熱々の焼き鳥を食べなくちゃ損よ。冷めてももちろん美味しいけど、熱々のうちに食べるのが最高なんだから」


 レミアから焼き鳥を一本受け取り、まずはにおいをかぐ。

 わかりきっていたことだが、たれの良いにおいが脳を震わせる。これが、異世界の焼き鳥か。俺がいつも食っていた焼き鳥と同じような感じじゃないか。たれのにおいが完璧すぎる。食欲が刺激されるぜ。


「いただきます……うわっ、なんだこれ。滅茶苦茶美味いじゃないか!!」


「そうでしょう? 私もクエストで疲れたときなんかほぼ毎回寄って帰ってるんだから。それくらい美味しいのよ。焼き鳥って言う料理がそもそも美味しいって言うのもあるけど、ここのたれはレベルが違うのよね」


「マジでうますぎる。もっと買ってきてくれよ」


「ダメ。まだ食べたいのだったら自分で報酬を貰った後に買いに来て。私もあんまりお金つかえないんだから。パーティーで活動してると色々なところで出費が発生するの。それに、私たちのパーティーはまだまだ上のランクを目指してるんだから装備なんかにもお金がかかるのよ。テンジも他人事じゃないんだから、少しでもお金を貯めるようにしてよね」


 そりゃそうだ。冒険者がいくら稼げるといってもレミアはまだEランク冒険者だし、そもそも三人でパーティーを組んでいることも考えれば一人当たりの分け前はソロでクエストを達成したときに比べて三分の一になってしまう。パーティーを組んだほうが、クエストの安全とか達成率は上がるかもしれないが、この金の問題はなかなかのデメリットだな。

 まぁ、俺はそんな金を使う気もないし、別に構わないか。装備だって、最低限のものがあればそれ以上望むつもりもない。特に武器は必要ないからな。素のひじが一番攻撃力が高いんだ。剣や槍を持って戦う意味なんてない。逆に弱くなっちまうよ。


「俺も夕飯をここにしてしまうかマジで悩むレベルだ。そうは言ってもまずは宿なんだけどな」


「うーん、パーティーを組むってことを考えたら一緒の宿に泊まるのがベストよね? でも、私たちが今泊まってるところって三人で借りてるから一人で借りるにしてはちょっと高いのよね。近くにいい宿があったかしら」


「一人部屋とかはないのか? 全部が全部でかい部屋ってことはないだろ」


「残念ながら私たちの宿に一人部屋はないのよ。だからこうして悩んでるんじゃない。うーん、どうしようかしらね」


 今回は都合よく話が進むことはなかったな。

 流石にレミアたちが三人で泊まっている部屋に入れてもらうなんて高レベルな真似はできないし、くそぉ、これが男三人のパーティーだったりしたら遠慮くなく部屋に入れてもらってたところなんだけどな。いや、男三人と冒険者なんて暑苦しくてやってられないか。それだったらソロで冒険者しますって普通に言いそうだわ俺。


「よく思い出してみてくれよ。近くに一つくらいはいい宿があるんじゃないか? 宿が無いと困るんだよ。俺が、町の外の平原で野宿することになっちまう。そんな惨めな真似したくないって」


「歩いてたら思い出すかもしれないわ。とりあえず食べ終わったことだし、冒険者ギルドに戻りましょう。私もそんなに宿に詳しいほうじゃないのよ。ほぼ最初から今の部屋を借りっぱなしだからね。パーティーを組むことになってからはすぐ宿を変えたんだから」


「そうなると、大して宿のことなんか知らないよな。誰か俺を安くて最高の宿に案内してくれよ」


「自分で探したらいいじゃない。宿が固まってあるエリアなんて数えるほどしかないからそこを回ってみればすぐに見つかると思うわよ。予算は銀貨2枚が上限でしょう? それだったら、そう言って聞いて回ればいいじゃない。宿で働いている人だったらほかの宿の事情にも詳しいだろうし、ほかにお客さんが取られるってなったら少しくらいは安くしてれたりもあるんじゃない?」


レミアは天才だな。




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