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連戦

「俺はもちろん、レミアのパーティーの入ったら前衛になるんだよな?」


「そうね。テンジは前衛でアタッカーをしてもらおうと思うわ。細かい調整はおいおいするとして、まず間違いなく後衛とかをしてもらうことにはならないから安心していいわよ」


「そうだよな。でも、俺が前衛なんてしちまったら俺だけで全部完結しちまわないか? 俺が攻撃してそのままモンスターを討伐して終わりだろ」


「そううまくいかないからみんなパーティーを組むのよ。どうしても、一人で冒険者をするって言うのには限界があるの。荷物を一人で全部持つのだってきついし、何から何まで一人でできる人なんてそういないわ。テンジでも回復とかはできないでしょ?」


 回復はできないが、俺が一撃で倒すんだからへましない限り攻撃何て貰うこともないと思うんだよな。

 これもまだ、スライムとしか戦ったことがないから言えるんだろうか? もっと、強力なモンスターと戦えばパーティーのありがたみってやつがわかるのかもな。


「今は、スライムを倒すことに集中しましょう。油断してたら思わぬ攻撃を喰らったりするわよ。スライムだって、必死なの。私たちのほうが手を抜いてちゃ危険よ」


「わかったよ。一旦、別のことを考えるのはやめとく。後4匹だもんな。見つければすぐに終わるだろ。これは油断しているわけじゃないぞ。ただ事実を言っているだけだ」


「慢心って言うのよそれ。まぁ、一回くらい攻撃を喰らってみるのもいいわよ。かなり痛いから。次はもっと集中してクエストに望むようになるだろうし、割とありね」


「嫌だって、痛いんだろう? わざと食らうとかはないにしてもレミアが助けてくれよ。そのためについてきたんじゃなかったのかよ」


 レミアは俺に経験を積ませるためにスライムが攻撃してきてもスルーするつもりだぞ。

 俺も一層気合いを入れておかなくちゃな。ほんとに、攻撃をくらうわけにはいかないんだよ。それなりの質量のある物体が激突してくるなんて絶対に痛いに決まってるんだ。それも、モンスターだぞ? 骨ぐらい折れても不思議じゃない。というか、全然あり得る話じゃないか。そう考えると一気に怖くなってきたな。スライムだろうと、油断していい相手じゃないんだ。これが、俺がレベルが滅茶苦茶高いとか、装備している防具の性能がすさまじいとかだったら気にすることもないんだろうな。つまり、レベル上げと装備は大事だ。この二つは完璧になるまで俺は高みを目指し続けるぞ。


「右、スライムが一匹いるわ。こっそり近づいて倒しちゃって」


「おう。こっちだな。っせい!!」


 これまたレミアの指示通りスライムを討伐する。

 完璧な指示過ぎてちょっと怖くなってくるよな。どういうスキルなんだろうか? レミアはスキルの恩恵でモンスターの気配がわかるって言ってたからな。単純に考えたら、気配察知系のスキルなんだろうけど、冒険者ランクがランクアップしやすくなるほどのスキルかと言われたらちょっと弱い気もするんだよなぁ。もっと、強力なスキルを隠し持ってるんじゃないか?


「もう慣れてきたものね。私がスライムの位置を教える必要ないんじゃないの? 一人でも倒せるでしょ」


「そんな悲しいこと言うなって。俺が気が付かずに背後から攻撃されたらどうするんだよ。打ち所が悪くて死んだらどうするんだよ。責任取って蘇生してくれるのか?」


「スライムに殺された人なんて聞いたことないわ。一般人でも怪我で済む程度のモンスターよ。それに、スライムは積極的に人を襲うモンスターじゃないわ。それでも、モンスターだから安全というわけじゃないんだけどね。討伐しなくちゃいけないのもそういうわけよ」


 一見、無害そうな見た目をしていても人に怪我を負わせることはあるんだもんな。モンスターというだけで駆除の対象になるとは、スライムも憐れだな。これが、もし可愛い小動物だったら討伐何て言う話は出てこないはずだ。ほんと可愛そうに。


 ガサガサッ。


「え? ちょっと待て。こっちにスライムいないか? そうだよな。よっしゃ!! 今度は俺が先に気が付いてやったぞ。どうだ!! 俺もやればできるだろうが」


「喜んでるところ申し訳ないけど、私は黙ってただけで、気が付いてたわよ。この距離まで近づかれてやっとなんてこの先が思いやられるわね。もっと、周囲に注意を向けなさい」


「普通にやばいだろ。攻撃されてたらどうするつもりだったんだよ。ほんとは俺を殺そうとしてるんじゃないのか?」


「さっきも言ったでしょ。スライムの攻撃をくらったところで痛いけど、大したケガもしないわ。それに、自分でも気が付いたじゃない。その距離だったら体当たりされても避けられたし、カウンターで攻撃だってできたでしょ? 私もそのあたりのことはしっかり考えてるのよ」


 本当だろうか? 都合よく騙されているだけじゃないんだろうか?

 スライム君も一生懸命に生きているんだ。それを俺は討伐しようとしているんだぞ。命がけでこっちに向かって来るのも当然だろう。それを舐めてかかったら俺のほうが命を持っていかれるんじゃないかって怖くなるんだよな。


「っせいや!! これでどうだ!! こいつは俺が自分の力で倒したぞ!!」


「いい感じだと思うわよ。その調子で後二匹も自分で倒してみて。今ならいけるでしょ?」



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