都合よすぎるって
「ああ、俺もレミアを超えれるように頑張るからな。すぐに、俺のほうが先にモンスターを見つかられるようになるから」
「うーんと、それはちょっと難しいかも……言ってなかったけど、私のこれスキルの恩恵だから。テンジのひじみたいな持って生まれた才能かな。私もこんもスキルのおかげで新人にしては凄い早いランクアップだったんだからね」
「せこいぞ。自分だけずるしてて俺にあんなこと言ってたのかよ」
「ずるいのはテンジの攻撃もよ。私だって、あんなに強力な攻撃ができるようになりたいわ。十分すぎるスキルでしょ」
言われてみれば確かに。しかも俺のはスキルじゃなくて神様に貰った力そのものだからな。どう考えても俺のほうがずるだった。
これと比べてちゃこの世界の人間が持っているスキルなんてすべてゴミみたいなもんだろう。生まれながらにして持ってる? 俺は神様に直接貰ってるんですけど? これに勝る奴なんているのか?
「俺も強力なスキルを持ってるってことだよな。そう言えば、このスキルって冒険者のランクとかには影響してこないのか? 現に俺はFランクとしては規格外の力を持ってるわけだろう? それなら、優遇してくれてすぐにランクを上げてくれてもいいと思うんだけどな」
「そういう例は確かにあるわよ。でも、圧倒的に実績が足りてないからテンジにはまだ無理よ。最初に説明を受けた、冒険者になる前に報酬を受け取れるのと一緒である一定の偉業を成し遂げてからスタートラインに立てるレベルね。スライムを余裕で倒せるからってどうしたの? って言われるでしょうね」
「へぇ、それなら俺が高ランク冒険者でも倒せないようなモンスターを討伐してくれば文句はないってわけだ。さっそく明日にでも行ってこようか」
「それはダメね。冒険者になった以上、適性ランク以上のクエストを受けることはできないわ。それがまかり通ってしまったら、ほかの冒険者たちもこぞって同じことを始めちゃうでしょ。そして、大勢の冒険者が死ぬことになるわ。そんなことを冒険者ギルドが看過するわけないってことね。わかった?」
それもそうか。俺みたいに真に強いやつからしてみれば迷惑極まりない話だが、俺以外に置き換えてみれば、そういうルールは必要だよな。人間の命何てモンスターからの攻撃で簡単に吹き飛んでしまうようなもんだ。いくら自分の力に自信があったところでそれ以上のモンスターに挑めば当然返り討ちにあう。運が悪ければ、死んでしまうだろうな。
「レミアはコツコツとランクを上げて言ったって言うのか?」
「もちろんよ。確かに私のスキルのおかげ……というよりかはパーティーとしてのクエスト達成率なんかもランクアップを早めた要因ね。駆け出し冒険者の割に優秀なんだから」
「それなら、俺もそのパーティーに入れて貰えればすぐにランクアップできるってわけか。なんか悪いな、人にあやかるみたいでちょっと気が進まないが、いつまでもFランク冒険者をしているってのも面倒だ」
「パーティーで考えたらテンジもすぐに上がるだろうけど、それはパーティーの一員としてしっかりとした働きをすることが前提よ。足を引っ張りなんかしてたら上がらないからそこはしっかりしてよね」
俺が足を引っ張るなんて天と地がひっくり返ろうがあり得ないことだ。
このひじがある限り俺は無敵なんだよ。これ以上ないほどの力を持っているんだから、でもパーティーでの行動となると俺は必然的に力を抑えた状態で戦わないといけないからな。そこはしっかり対策を考えておかないとな。
力を抑えて周りに合わせる。少し面倒ではあるが、可愛い女の子に囲まれて、しかもランクアップに置いて有利に働くとなればそれはもう万々歳だよな。
「俺もしっかり頑張るさ。でも、俺の攻撃に巻き込まないようにするために、出力は抑えるしかないからな。そこは我慢してくれよ」
「全然いいわよ。テンジの攻撃何てk場にもほどがあるでしょ。さっきくらいの威力でも私たちが行くクエストのモンスターだったら楽勝よ。後は、その攻撃を当てるのと、モンスターを発見すること、さらに攻撃を受けたときにヒーラーも必要よね。だから、パーティーのほうが色々と融通が聞くのよ」
「役割分担は大事だもんな。それで? 後の二人はどういった役割なんだ? さっきの話からして攻撃が得意な感じではなさそうだけどさ」
「ヒーラーとバッファーね。そして、私がウィザード。前線を張れる人を探してたところにちょうどテンジを見つけたってわけ。ほんと、ありがたい話だわ。二人がダメって言ったらこの話はなかったことになるから、第一印象は大事にしてよね」
完璧に足りないピースを俺が埋めたというわけか。
我ながら、ついているとしか言いようがないな。こんな都合のいいことが起こってもいいのだろうか? これも俺の日頃の行いがいいことがすべてだ。幸運は来るべくしてくるんだよ。
よしっ、さっさと残りのスライムを片づけてパーティー加入の話をしないとな。