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驚愕

「見たか!! これが俺の実力だぁ!!」


 声高らかに宣言する。そう、俺は何もミスっていない。断じて急に飛び出してきたスライムにビックリして威力の調節をミスったりなんてしていない。確かに、オーバーキル気味だったのは否定できないが、俺もスライムとの戦闘はこれで二度目の新人だ。スライムの耐久力を完全に把握できているわけじゃないんだ。ちょっとやりすぎるくらいで攻撃しないと不安だもんな。


「な、何よこれ……森が削れてる? え? 今のをテンジがやったって言うの?」


「いや、俺以外に誰がいるんだよ。どうだ? スライム程度のモンスターだったら楽勝だっただろ? 俺は何も間違っていなかったことがここに証明されたな」


 ぼろを出すわけにはいかない。俺はこの威力で最初から攻撃する予定だったんだ、そうなんだよ。

 しかし、俺が攻撃を放った方を見ると、盛大に気がなぎ倒されてしまっている。これはやりすぎたかもと一瞬だけ考えちまったがどうということはない。木はまた生えてくるじゃないか。それに比べて俺の命は一回きり。もし、ここで攻撃を躊躇してしまって打ち所が悪ければ俺は最悪死んでいたところだ。そうだよ、俺は間違ってない。


「信じられないわ。テンジの肘がスライムに炸裂したと思ったら……気が付いたらこんなことに……」


「まぁ、俺の肘は神がかってるからな」


 文字通り俺の肘には神が宿っている。神の力を宿した肘なんだ。そりゃすさまじい威力くらい出してくれないとおかしいってもんだよ。俺もこれで少しは成長できたかな。驚いてミスったとは言えども、この程度の威力におさめている俺の対応力が光っているな。これからの伸びしろを無限大に感じているぞ。これなら、俺は10匹倒し終わるころには完璧に力の調節を成し遂げていることだろうな。


「いやいや、そんな適当な説明で納得できるわけないでしょ。ちゃんと説明してよね。テンジは一体何者なの?」


「俺はただの人間だって。ただちょっと肘が強力なだけだ。他はいたって普通だぞ? しかも、俺の武器はこの右ひじだけだ。左ひじじゃ対した威力も出やしないんだからな」


「そんな特定の箇所だけ力が集中することがあるの? いや、でもそのせいでひじだけ強化が入っていると考えれば納得がいくのかも。全身に回る力をひじに集約しているってことだよね?」


「違うぞ。そんな器用な真似はしてない。ひじが強いだけだ。生まれ持った才能だろうよ」


 この世界にだってほかにいくらでも強い人間がいるはずだ。そいつらも俺と同じで何かしら生まれながらの才能を持っているはず。それなら、俺のひじだってそう違和感があるものでもないだろうけど。なんかいい言い方ってないんだろうか。


「これもスキルの一種ってこと? それにしてもレベル1であの威力はおかしいと思うわ」


「言っとくけど今のが全力じゃないからな。言ったろ? 俺は力を調節できるんだ。今のはスライムという未知の存在に敬意を払って、ほんの少しだけ威力を上げただけだっての」


「嘘でしょ……まだ威力が上がるって言うの? そんなのFランク冒険者が使っていい威力の技じゃないわよ。今の威力でも十分にBランク程度の強さだったって言うのに」


「俺は強いからって言ったよな? その反応信じてなかったんだろ? どうだ? これで信じる気になってくれたか?」


「信じるも何もこの目で見ちゃったんだから信じるしかないでしょ」


「さぁ、この調子でガンガンスライムを狩って行こうぜ。レミアが連れてきてくれれば後は一瞬だからな。とはいっても、今度から少しずつ威力を落としてくがな。ギリギリで倒せるラインを攻めてみたいんだ」


 スライムを後9匹。

 思っていたよりもずっと楽勝だ。こんな簡単に金が稼げちまうなんて本当に冒険者って最高の仕事だな。もちろん、この強さがあってのものなんだろうけど。それでも、今のところ強さ以外に必要なことなんてなさそうだな。このまま億万長者にだってなれそうだ。この世界一の富豪になっちまうかもしれないな。


「さらっと流して次に進めるような気分じゃないわよ。一旦休憩しない?」


「何なまけたこと言ってんだよ。レミアは新人の俺をサポートしてくれるためについてきてくれたんだよな。ほんとありがたいけど、最後までしっかりやり通してくれよ」


「まさかこんなに強いなんて思わないじゃない。あ、そうだ!! 良かったら私とパーティーを組まない? 今日は休みにしてたから一緒にいなかったけどほかに二人メンバーがいるのよ。そこにテンジも入って4人のパーティーね。バランスもいいとおもうけどどう?」


「パーティーか? 今のところ俺には必要なさそうなんだけどな……」


 いや、待てよ。レミアは超絶美少女なんだ。となれば、ほかの二人も必然的に可愛い女の子であるべきだろ。というか、レミア一人だけだったとしてもとんでもない役得じゃないか。何を俺は血迷った返答をしてるんだよ。こんな提案組む以外の選択しなんてあるわけないだろうが!!


「わかった。俺もレミアには助けられたからな。その恩を返すためにもパーティーの入れさせてくれ」


「ありがとう。それじゃあ、帰ったら二人を紹介するから楽しみにしててね」


 これで完璧だ。俺のハーレム生活が幕を上げるぜ。

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