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94話 バリアの攻略法

その相手を探したいのだが中々見つからない。

「………なら、やってみろよ」


テオは慎重にアイラを威嚇するように言った。


だがテオはずっと警戒していた。


彼女なら、バリアの弱点にも気づけるかもしれないと。


もしそうなれば、彼女を撒ける可能性は愚か、そんな気は毛頭ないが、逃げる事すらも怪しくなってくる。


だからテオはこの言葉を信じた、信じた上で立ち回る事にした。


(奴をバリアには近づかさせない、絶対に…)


アイラはテオに向かって走り込んできた。


テオは素早く地面を蹴って後ろに下がり、バリアの破片を投げ飛ばした。


だがそれは身体を砂に変化させてすり抜け、一気にテオの間合いに入り込んできた。


テオはここで、アイラの攻撃に合わせてわざとバリアごと吹き飛ばされる事でアイラから距離を離し、再びバリアの破片を投げ飛ばした。


但しその数はさっきの比ではない、小さく無数のバリアの破片を一斉にアイラへと投げ飛ばした。


アイラはそれを防ぐため、全身を砂に変化させて空気中に飛び散った。


この攻撃も失敗に終わると、テオは破片を全て自身の側に戻し、次の攻撃に備えた。


テオはアイラを撒くためには、とにかく何か強力な一撃を与えるしかないと考えた。


アイラに一瞬でも隙を与えられるような強力な一撃を…


バリアを攻略されてしまう前に…


やがて、アイラが砂から翼を展開した上で元の状態に戻り、姿を見せた。


その直後、突然目の前が星の形に光ったと思うと爆発し、土煙で前が見えなくなった。


「!!なんだ!?」


そして、背後に気配を感じた、何者かが後ろから切り掛かってくる。


テオはすぐに振り向き、弾かれる準備をする。


         ガキン


剣がバリアにぶつかった。


煙が解け、アイラが姿を表した。


だが何故か、テオは弾かれる事ができない。


「なんで弾かれないのかって、思ってるのかしら?」


こちらの考えている事が筒抜けているかのように、アイラはそう言った。


「後ろを見てみなさい」


そう言われ、テオは魔力を込めつつゆっくりと背後を見る。


そうしたら、切断された片腕がバリアを弾かないよう強く押さえ込んでいる光景が目に映った。


「!!!」


よく見るとアイラの左手が切り落とされていた…いや、恐らく自分で切り落としたのだろう。


「驚いた?私のアビリティ、リモートコントロール、遠隔で片腕操作してんの」


「……………」


その効果の衝撃性に、テオは言葉が出なかった。


「そして、今からバリアを突破する」


「!?」


その言葉を聞いてテオは身構えた、風でなびき、額に触れる髪が緊張心に突き刺さる。


「よく考えば簡単な話だったわ、今貴方の髪がなびいているのが答え」


「………」


「おかしいと思ったのよ、バリアが外界を遮断するならどうやって呼吸をしているのか、そもそもどうやって歩行をしているのか…単純な話だったのよ、空気中にも魔力は微量ながら存在している、但し、何があろうともその量は一定…これを思い出せば全て分かった」


「空気がバリア、すり抜けてるでしょ、だから普通に呼吸ができるし、地面にだって魔力はあるから、歩行ができる…この仮説が正しいのなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、バリアをすり抜ける事ができると考えられる、これが正しいのなら、私でもそれは十分に可能」


「…………」


テオはこの時、無意識に黙り込んでしまっていた。


その理由は一つ、今のアイラの推測が正しいからだ。


恐ろしい洞察力だ、髪が風でたなびいただけでバリアの突破方がわかってしまうなんて…


こうなるとテオのやる事は、可能な限りそれが図星だと悟られないよう、特に表情に漏れ出さないようにするだけ、


アイラがわざわざ自分の推理を言っているのも、テオの反応を誘う狙いがあっての事だと思われるからだ。


だが、それでも、わかっているのに黙り込んでしまった、それが「あなたが正しいです」と教えるも同然の行為だと言うのに。


下手をすれば殺されてしまうかもしれないという恐怖がチラついてしまった。


「では、終わらせましょうか」


アイラは剣に電気を帯びさせた、そして完全に一定量の魔力で、バリアに当て続ける。


徐々に、剣がバリアをすり抜けてきて、やがて完全にすり抜けた。


テオはこの瞬間始めて、バリアを突破された。


剣が一気にテオへと迫っていく。


「………………」


今これは…使いたくなかった。


これは本当の最終手段、バリアだけでなくこれまで対策されれば、それこそテオの全てが筒抜ける事になったも同然になる。


そして恐らく、これでもアイラは倒しきれない…


だがもう使うしかない、使わないと確実に負ける。


そうなればサインへ侵入する事ができない、βの秘密を知る事はできない。


「…………アビリティ、[万華鏡結界]」


テオとアイラの、バリアの内部に、四次元空間が作り出された。


正方形にバリアが作られ、そこから無限に正方形のバリアが繋がっている。


やがてそれが中央に収束していき、バリアの破片が2()()に突き刺さった。


「ガハァ、っ、、、、」


2人は傷つき、地面に手をつけて苦しんだ。


「はぁはぁ」


テオが腹部に突き刺さった破片を消した同時に、アビリティの発動で一時的に消滅していたバリアが復元された。


テオはすぐに破片の一部を取り出して掴み、投げ飛ばす際の要領で一気にジャリへと向かった。


「っ、しまっ…」


アイラはなんとか突き刺さっていた破片を取り出した。


「マズい…あそこはジャリ…」


アイラはすぐに軍の司令部にこの事を報告した。


それを受けた司令部は即座に警戒命令を発令した。


住民達は皆安全な場所に避難され、兵士や軍の関係者達は全員が強く警戒体制に入った。


そしてテオは、サインに侵入してすぐに、以前からフレミングが掴んでいた情報を頼りに、誰にも気づかれずに軍の研究室に入っていった。


そこにいる、目に入った職員達を全員殺害し、遺されたPCパーソナルコンピュータからβの情報を探し漁った。


「…………あった」


そして、あるファイルを見つけた、これでようやく、βの秘密がわかる…


テオが見つけたファイルの名は、[β記録ファイル]。

次回、βの出生が判明します…


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