表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/179

91話 βの謎

見渡す限り野原が広がっているだけである。

テオが率いていた部隊も、βが戦場を離脱した事をうけ、変わりに見張りとなる戦士を周辺に派遣した後、一度レンドンに戻った。


そこでテオ達は、戦場での出来事を記録した報告書を書いた後、しばらくの休憩をもらった。


その途中テオは、報告書にも書いたβの変わり様について、ずっと考えていた。


明らかに様子が変わっていた。


全身に赤のラインが張り巡るようになっていたし、何より戦い方がまるで別人のようになっていた。


まるで、何かに怯え、叫んでいるようだった。


そして、あの涙…


考えれば考えるほど、わからなくなってくる、βとはなんなのか。


奴は一体何者なんだ、あれの正体がわからない限り、テオは何も解決しないような気がしてならなかった。


この戦争の事もあるが、それ以上に…テオ自身が、何も解決しない気がした。



3日後、テオを含めた数人の戦士が、フレミング・ロムレス軍上層部による作戦会議に参加していた。


そこで、テオはある情報を聞かされた。


フレミングにスパイとして潜入していた戦士からの連絡が、突然途絶えたという。


おそらくは敵に見つかり、倒されたものと考えられ、その事実の確認と、彼に変わる新たなスパイを派遣しようという案が出た。


その瞬間、テオは真っ先に「私がいきます」と宣言した。


「君が…いくのか?」


「はい、私の能力を待ってすれば、これ以上の適任はいないはずです。それに奴らは偵察作戦に失敗したばかり、しばらく大きな攻撃はしてこないでしょうし」


上層部達はしばらく頭を悩ませた


確かにテオならば確実に作戦を成功する事ができるかもしれない。


だが敵地にはβだけでなく、あの平原の戦士達を一瞬で葬ったアイラもいる可能性が高い。


しかし、敵は直近でも10年前と22年前の2度、諸々の条約を無視してその当時の技術を上回る兵器を開発しようとしていたあのサインだ。


何を企てているか分からない、スパイの存在は必要だ。


「……………」


全員が揃えて頷いてこう言った。


「わかった、では、よろしく頼む」


「了」


だがこの時テオがスパイに名乗り出た理由は、戦争の勝利のためとは全く別の理由であった。


βについて知りたい、彼女の涙の意味を知りたい。


今テオの頭は、これだけしか考えていなかった。


これだけは自分の手で真相を突き止めないとけないという、使命感のようなものまで感じていた。


必ず目的を達成させると、そう決意した。


4日後、テオは単身で、サイン国首都、ジャリへと向かった。

テオの心境も、ゆっくりと揺らいでいってますね。


評価・ブクマ、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ