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74話 封印の弱点

アマリウドは何気もなくそう言った。

ナスカンとサインの兵士達が、一斉に戦場へと駆けつけた。


エルナは端末から銃を取り出し、その他の多くの戦士も、端末から武器を手に取り、フレミングとグリスの兵士へ向かっていった。


当事者であるエルナが戦いながら見ていても、やはりナスカンの戦士の実力は他とは違う、異質の強さがあるように見えた。


自分自身も含め、特に若い戦士は戦争なんてこれが初めてという人が多いはずなのに、何故か小慣れた熟練の戦士のように戦えていた。


まるでそういう風に操られてるかのように…


その中でもやっぱり、アレスは凄かった。


敵の銃撃を楽々とかわして間合いに入り、両手に発動したダークボールをなすり付けるように、相手の体に直接ぶつけて攻撃した。


その衝撃で防護服を貫通し、兵士を気絶させた。


これは非常に理にかなった戦略だ。


軍服の防御性能を確実に突破できる上、している事はずっとダークボールを両手に出し続けているだけだから、魔力の節約にもなっている…


改めて思う…アレスは凄い、そしてかっこいい。


エルナも負けてられないとボルトピクセルをゼロ距離で発射した。


電流が軍服を貫通して敵の身体に伝わり、そのショックで気絶させた。


そしてこの流れを途切れさせる事なく、同じ方法で更に2人の兵士を気絶させた。


「よし、これで3人」


一瞬だけ一息つき、次の標的に狙いを変えようとした時、突然背後からもの凄い勢いでこっちに迫ってくる魔力が感じられた。


「!後ろ!」


ドゴッ


エルナが気づいた時には既に攻撃が行われた後だった。


高速で鳩尾(みぞおち)を肘で突かれ、エルナは後方まで吹き飛ばされた。


「ブハァ、ゴホゴホ、なに!?」


エルナは地面を擦って踏みとどまり、すぐに周囲を警戒した。


だが、どれだけ見渡しても肉眼では敵の姿は見えなかった。


けどわかる、いる、すぐ近くに…


何かが高速で近づいてきてる…それも多分かなり強い…


緊張感を走らせて警戒している中、突然魔力の正体が目の前で静止して姿を現した。


「ふはは、俺の拳を鳩尾に受けて耐えるとは、中々やるではないか!燃えてきたぜ!」


そうエルナに言ってきたのは、道着のズボンを履いているだけで上半身は裸、オマケに髪も裸の男性だった。


慣れ親しんだ屈強な肉体と、頬に僅かに見えるほうれい線から、それなりに歳を召した中年である事はわかる…


「しかーし!この次はそうはいかんぞー!全身全霊、我が全ての力を結集し貴様を倒ーーーす!!!闘いを楽しもうぜーーーーー!!!」


中年は両手を上げながら大声でそう叫んできた。


聞く限りかなりの戦闘狂のようね、けどどうやって倒すか…


「いくぞーーーー!!!」


落ち着いて作戦を立てる隙を与えずに、中年は再び高速でエルナに突っ込んできた。


「ちっ、、、」


エルナはすぐにピストルを構え、中年を捉えようとしたけど、駄目だった。


中年はこの戦場を縦横無尽に動き回っている、


その動きが早すぎてピストルじゃ全く捉えられない…


中年は音のような速度でエルナに肘をぶつけた。


エルナはまたもや大きく吹き飛ばされるも、どうにか踏みとどまった。


その後、中年も一度動きを止め、自慢するようにエルナを挑発した。


「どうだーー!!これが我がスキル[高速移動]!コイツはスキルにしては珍しく魔力を消費してしまうが、その代わり瞬間的に高速移動が出来るというスキルだーー!!ガハハハハハ」


うるさいくらい大きな声で高笑いをしている。


なるほど、スキル自体は超越光速の劣化か…


けどどうしようか、やっぱりピストルじゃどうにか出来そうにない…


こうなると手段は一つしかなくなる、エルナは空中に4本の魔法陣を出現させ、それぞれから一つずつ鎖を出現させた。


つまりスキル、封印を発動したという事…


この鎖はドラゴンの尾のようにリーチが長いからピストルよりはあの高速にも対抗できるはずだし、上手くいけば封印できる。


ただ、封印スキルは20秒しか持続しない、一度使い切れば2分のインターバルが発生する。


元の命中率自体も糞のように悪いし、集中して確実にあいつを封印しないと。


エルナが封印を発動した時、次の出を警戒して慎重に観察して見えた中年の顔は、何かを疑問を思っているような顔をしていた。


エルナはそれに構わず鎖を差し向ける。


だが、鎖を絡めさせる寸前に瞬間移動を発動されて避けられた。


やっぱりそう簡単にはいかないか、


どうにか中年の動きを予測して、何度も左右から鎖を挟み撃ちにして封印を試みているが一向に絡ませる事が出来ない。


おまけに時間がどんどん迫っている、その緊張感がエルナを更に焦らせ、1秒置きに成功率が低くなっているのを、エルナ本人も感じていた。


このままじゃヤバい、なんとかしないと。


そう思う度に焦りが加速し、そして命中率は減速していく…


そんな中、高速移動をしながら中年が話しかけてきた。


「その鎖、貴様まさか…あのレッペル橋事件の犯人か?」


レッペル橋…その名前には心当たりがある、恐らく()()()の事を言っているんだろう。


「…そんな前の事、よく知ってるわね」


「俺は一時期、あの事件の捜査を依頼された事があるのでな…それで知ってるんだよ!!!」


中年がそれを言い終わったと同時に、エルナの間合いに入り込んできた。


不覚だった、僅かに会話に気を取られ油断していた。


その隙を突かれ、高速移動の中でも正確に拳を鳩尾にぶつけられた。


エルナはまたも大きく後ろへ吹き飛ばされ、同時に封印の持続時間も切れた。

ここからどうするんですかか?


評価・ブクマ、よろしくお願いします!

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