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68話 開戦

だがアマリウドは「とはいえ、それだけエストリエ様に信頼されていたという事だろう、それは」と、ソンの行動を擁護した。

ついに、ロムルス共和国とフレミング帝国が参戦したグリス共和国の戦争が開戦してしまった。


サイン・コサイン・タンジェント連邦共和国首都中央にある官邸にある執務室にて、アントニオ大統領は副大統領と共に、会議というほどではないが、これについて話し合っていた。


「…やはりこうなったか」


「どうなされる…おつもりですか?」


「ロムルスが占領でもされれば我が国への打撃は計り知れない、それは阻止する。とはいえ、ペンタグラム同士の戦争を安易にするべきではない」


「では、一体どのように」


部屋の奥に置かれている時計の針が、刻々と音を立ててただ進んでいく。


その事実に焦るかのように、アントニオはこう続けた。


「いづれは我々も本格的に参戦するつもりだ、だが今ではない、元来、フレミングとサインの軍事力そのものはフレミングの方が僅かに上、そこに弱体化したナスカン王国が我らの軍政に加わる…今開戦したら自然とこの構図になるだろう。問題はこの構図に我らの確実な勝機があるかどうかだ」


「ペンタグラム同士の戦争は他の戦争とは意味が違う、例え勝ったとしても両国共に甚大な被害が出てしまうだけでなく、それ自体が世界全体への悪影響になる…だから戦争するなら確実に勝てる状況でなければならないですからね…」


「そう、今のこの体制で確実に勝てるとは言い難い、せめて()()が戻ってくるまでは開戦は避けたい所だが…」


とはいえ何もしないとそれ以上に最悪のシナリオへのルートを踏みかねないか…


アントニオは思い立ったように副大統領へこう告げた。


「とにかく、しばらくロムルスへは援助のみに集中する…少なくともあれが戻るまではな」


今のアントニオの発言を聞いて、副大統領はある事を思い出し、それをアントニオに告げた。


「しかし、それはフレミングも同じ事の筈です。にも関わらずまるで我々を煽るかのようにグリスと参戦したという事は、奴らには何らかの切り札があるという事でしょうか…」


「恐らくな…それが何かを確認するためにも、やはり今は援助に留めておくべきだろう」


風に攫われて、サインの首都に暗雲が流れ着いてきた。


生ぬるい風が窓を打ち鳴らす、アントニオの顔は、深く険しいものだった。

フレミングの切り札とは…


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