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5話 圧倒的実力差

ナスカン王国の城下町は、東西南北にそれぞれ1つずつ、計4つの検問があり、それぞれ2人の門番が見張りをしている


この検問がナスカン王国唯一の出入り口であり、それ以外の街の周りには柵のような壁が四方に設置されている


だがその検問の内1つが、ロックドラゴンに破壊されてしまった

ロックドラゴンは圧倒的な力でアレス達を捩じ伏せ、現時点で1発もダメージを与えられていない


これほどの力を持つロックドラゴンを倒す秘策を、マウロは今思いついたという


「ほんと!?あいつ倒せるの!?」「あぁ、確実とは言えないが、これなら…恐らく」「ならそれはどうするんだ?どうすれば奴を倒せる?」


俺達は質問攻めをしたが、マウロは冷静に「落ち着け、あいつがさっき使ってきた、石を降らせる技。あれをもう一度使ってくれれば勝機はある」


つまり奴に再びあれを使わせるよう誘導すればいいのか「よし、分かった」


同じくエルナも理解したのか、引き続き変わらず封印を発動できる体制をとり始めた

「封印できるタイミングになったらいつでもいってね!マウロ!」


任せろとばかりに意気込むマウロ、その勢いのまま俺に「あいつは恐らく、翼を狙い続ければあの攻撃をしてくる、翼を狙えるか?」と聞いてきた


さっき翼を撃とうとして失敗したのは俺なんだがなぁ…まぁいい、とにかく俺はYESと言って、奴の翼に狙いを定めた


けどその瞬間に奴は岩石を飛ばしてきた

すぐに俺たちはそれを避けて、その隙に翼を狙ってダークボールをぶち込む


案の定、翼を閉じて防がれたが、マウロの狙い通りロックドラゴンは反撃のためか翼から石を飛ばす攻撃をしてきた


「きたぞ、どうする気だ?」問いかけた瞬間マウロは勢いよく飛び出した


「簡単だ、こうする」マウロはアビリティ、瞬拳を発動した


目に追えない速度で高速移動する事を利用して、マウロは飛んでくる石に一瞬だけ踏み、体重がかかる前にすぐに別の石に飛び移ってまた移動する…これを繰り返してロックドラゴンに近づいていった


それなら普通に岩石が飛んできた時にそれをやれば良かった気もするが


マウロは疾風の如きスピードで石を乗り継いでいき、ついにロックドラゴンの右脚…即ち至近距離にまでたどり着いた


アビリティを発動し、唸るように叫び上げる


「[連撃拳]!!!!」


素早く連続でロックドラゴンの脚を殴り続けていく

だがそれでもダメージを一向に与える事ができず、ロックドラゴンは攻撃に集中しているマウロを丸呑みしようと巨大な口を開けてマウロに迫ってくる


「マイロ!!!」


俺がそう叫んだのと同時に……


「スキル、[封印]!!!!!」


エルナが封印を発動した、ロックドラゴンがマウロに集中している隙に


4本の鎖がロックドラゴンに向かって勢いよく伸びていく


それに気づいたロックドラゴンは体を大きく旋回させてこの鎖を避けようとした


エルナは諦めず、2本の鎖でロックドラゴンを執拗に追いかけ続ける、そして、ロックドラゴンが逃げた先に、残り2本の鎖を向かわせた


挟み討ちだ


「いける…!!!勝つ!!!はぁぁぁぁぁ!!!!!」


けどロックドラゴンは急降下して鎖に衝突するのを防いだ


エルナは諦めずに鎖でロックドラゴンを追いかけている、だが間に合っていない


やがて封印の持続時間が切れて、鎖はエルナの側に張られた魔法陣の中に戻って消えてしまった


「そんな…間に合わなかった…の…」

悔しがりながら、エルナは下を向いた


作戦は、全て失敗した。

地面に着地したマイロも、絶望し切ったような表情でこちらを見下すロックドラゴンがいる上を見上げている


………これでいいのか?どうにも、すっきりしない…


その時ふと、悔しがるエルナの表情を見て、俺はこう思えた


………駄目だろ、ここで終わらせちゃ…まだ、終わらせない!!!


そう覚悟した瞬間、俺は次に考えるより早く、行動に移っていた


超越光速でさっきマイロが攻撃してた右脚に移動して、全てを賭けた一撃をそこにぶち込んだ


けど岩の鎧を破壊することは出来なかった……


ロックドラゴンが俺へ反撃しようと体を大きく動かし始めた


…ここで奴が普通に俺を殺そうとする方が、気持ち的にはいくらか楽だっただろう


奴は落下していく俺に対して、魔力の吐息を放ってきた


それを受けた瞬間、なにかとてつもない違和感を感じて、すぐに超越光速で地上に着地した


それは正解だったっ…時間が経てば経つほど、さっきの吐息の影響が出てきたのか?


「あぁ…あああ!!!なんだ…?ああああああああああ」


その魔力が体内を虫のように這い回って、身体を弄られるような感覚になった

その苦しみからだんだん精神的にもおかしくなっていっている、今少しでも気を抜けば自我を失って暴走してしまう事が感覚でわかる。


エルナは苦しみ叫ぶ俺の名前を、何もできずただ叫ぶことしかできないでいる


そんな俺を見てなにを思ったのか、マイロが突然立ち上がってこう言った


「…最後の手段だ」


「!ちょっと何する気!?アレスがこんなになってるのに!!」と、エルナが必死に呼び止めた


「俺のスキルなら、奴にダメージを与えられるかもしれない、だから、もう一度奴に一撃ぶち込む」決意に満ちた表情で確かにそう言った


「だめ!あれを使い続けるとマイロの両手の骨がグシャグシャに崩れちゃうんでしょ!?絶対だめよ!」

エルナが必死に止めているが、どうやらマイロはやる気のようだ…もう、なにを言っても無駄だろう


「例え無茶をしてでも…あいつはここで…倒さないといけないんだ!!!」


ロックドラゴンが翼から石を撃ち出す攻撃をしてきた


マイロはその石を再び乗り継いで、同じくの右脚に辿りつく


マイロのスキルの名は…()()()()、両手に魔力を自身の限界以上にまで引き上げるスキル


そんな、攻撃力が限界突破された拳から繰り出すマイロの究極の一撃………


暴神拳(ぼうじんけん)を繰り出した!!!!!!


その効果は絶大だった…ここからでもはっきりと分かる、ロックドラゴンの右脚の岩が、どんどんひび割れていっているのが見えたんだ

けど、ここまでのようだった。ひびこそ割れたが岩の破壊は出来ず、尻尾による反撃を喰らってマイロは地面に強く激突させられてしまったようだった


「マイロ!!!」エルナが叫んだ

けどマイロは、15メートルの高さから激突させられた割には無事だった、限界突破した両手で、咄嗟に受け身をとったのか…


「はぁはぁ…これでも駄目なのか…」


あらゆる手段が、奴には通用しない、俺たちは完全に絶望し切っていた

そんな俺たちに追い打ちをかけるように、ロックドラゴンは体から魔力の霧を放出した


それを受けた2人は俺と同じように、体の暴走を起こし始めていく


「きゃあぁぁぁぁ……なにぃぃぃ…!!!」

「これは…ぐっおおおおおおおおおお」


俺もこれを喰らって、更に症状が悪化したように感じた

ドラゴンがこんな攻撃をしてくるなんて聞いた事もないが…もう、いい


全て、いい。とっくに、覚悟は決まっている、3度の超越光速でそもそも疲弊し始めている肉体を無理矢理起こして、俺は遥か上空を見上げる


「ここで、最後だ」俺は全員に聞こえる声でそう呟いてすぐ、超越光速を発動した


光の速度で動くこの勢いを全て攻撃に利用して、ひび割れた岩の鎧を破壊してそのまま岩の奥にあったロックドラゴンの皮膚も、僅かだが切り裂けた


そしてそのまま体力の限界を迎えて空中で力尽き、口をすっぽり開けたまま無気力に地面に落下していった


その時、皮膚を斬って溢れ落ちたロックドラゴンの血液がそのまま口の中に入った


ドクン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


その瞬間、迸る(ほとばし)ように強く心臓が動悸したが、直後にロックドラゴンが反撃に放った先の尖った岩石が腹部に直撃して、それどころではなくなった


俺はなにも出来ず地面に激突した

岩石が腹部を貫通して、だくだくと赤い鮮血が辺りを垂れ流れ始めた


「アレス!!!!!!!!」

2人が体を引きずりながら俺に駆け寄ってきてくれた

俺を心配してなのか?2人がなにか…言ってる


ありがとう…けどごめん…よく聞こえない……


だんだん…意識も…遠のいて…


!!!!!!


今この眼に映っているのは、幻のようなものなのだろうか

突然巨大なダイヤモンドがロックドラゴンの右目に直撃してその近くの岩の鎧が破壊され、奴の右目が潰されていっているこの光景は!!!


「おけおけ、不意打ち成功♪やっぱ不意打ち気持ちいいわね〜〜〜〜〜」


さっき南門で揉めていたあの少女が、背中に黒い翼を生やして確かにそう言った

さっきのも、あの娘がやったのか?


ロックドラゴンは少女の方を睨み、強く威嚇する

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


「あらあら、随分と威勢いいのね、大して強くもないくせに」

次回、遂にアイラが暴れます…


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