53話 リモートコントロール
アイラの右手が、オリビアに斧で切断された
切り離された右手が地面に激突する
「アイラ!!!」
アレス君が地上から叫んでいる、影達は倒せなのね
けどごめんなさい、今のあの娘は、よそ見しながら勝てる相手じゃないから
「さて…どうしますかね」
アイラは切られた手元から血がポタポタと落ちている
それにしても、アレス君すごいわかりやすく驚いてるわね、まぁ無理もないか、翼もなしに宙に浮いてる悪魔を目の前にしたらね
正直私も驚いてる…けどそれ以上に不安なのが、今のあの娘が果たして殺せるのかどうか
オリビアが私に突っ込んできて、残った片手で持った剣でそれを受け止める
さっきまで力で互角だったから、やっぱり片手だと力負けする
私はもう一度この娘から一度距離を置いた後、持っていた剣を頭上に投げやって、左手の爪をオリビアに向けた
そしてその爪から、ケインを放ってオリビアの右肩を撃ち抜いた
これを受けて、オリビアは大きく身体を下に向ける、そこにすかさずスターボムを使ってオリビアの左肩を爆発させた
肩から滴る血が流れ落ちていく
だがしばらくして体を起き上がらせ、何事も起きなかったかのように私に突っ込んできた
剣と斧がぶつかり、互いに睨み合う
なるほどね、今ので確信したわ
やはり私は力負けし、地上へと押し撥ねられる
あの娘は更に追撃しようと追ってきた
ただ、もう一つ試したい事があったから、私は[ライトハリケーン]という前方に竜巻を発生させるアビリティを使って攻撃した
それにこの娘は初めはその風を斧で吹き飛ばそうとしていたが押し込め切れず、そのまま竜巻に少し吹き飛ばされた
どうやら空気の上に乗るという芸当は出来ても、風を完全に操るとかそういう事はできないようね
オリビアは吹き飛ばされた後体制を立て直し、再びアイラに突っ込んでいく
私もそれに対抗して、あの娘へと切り掛かった
お互い、すれ違いざまに武器を交える
オリビアは左腕を僅かに、私は右腕を僅かに切られたけど、私はその部分を切られる直前に砂に変えて無効化したから、ダメージはない
また、互いに空中で睨み合う
「やっぱり中々やるわね、今なら四天王狙えるんじゃない?」
オリビアに反応はない
その様子を見ていたアレスは、1人、ただただ驚愕していた
ちょっと強いスキルのお陰で生きていただけの自分には、程遠い世界での戦いだと思ったから
そんな風にこの戦いを見ていて、少し集中力が切れてふと、少しだけ辺りを見渡した時、アレスはある事に気がついた
切られて地面に落ちたアイラの右手が、いつの間にか消えている事に…
アイラとオリビアが、また剣と斧でぶつかり合い、拮抗する
だがやはり、力勝負ではアイラが少しだけ負けているようだった
「……けどね、残念。今の貴方は四天王になるどころか、私に勝つ事も出来ないわよ…ちょっとヤバいかもとは思ったけどね」
グサッ
その時突如、背後から、オリビアの胸に突き刺さった
オリビアが切断した、アイラの右手が
それを見ていたアレスもエルナも、訳もわからずただ見入っている
その右手が、オリビアの心臓をもぎ取った
オリビアが地面に落下していく
ドサッ
「どう?これが私の新しいアビリティ、[リモートコントロール]、切り離された身体の部位を自由に遠隔操作できるアビリティよ。さっき貴方に手を切断されたのはわざと、全ては今この瞬間のためだったのよ!!!ふぁ〜自分で言っててかっこいい〜〜〜」
アイラは嬉しそうにとそう説明しながら、地面に着地した
アイラの右手が綺麗にくっ付く
「す…すごい」
エルナは、言葉が出ない
「ま、これが私のスキルって事よ」
「スキル?」
アレスが聞いた
「私のスキルは、[レベルアップ]。戦闘を重ねていく事で経験値を貯めていって、一定以上経験値が貯まるとレベルが上がって、その度に魔力の増加と新しいアビリティを1つ自動的に覚えられるというスキルよ、因みに今のレベルは89」
高らかにそう説明した
さり気なく説明しているが、これは信じられないほど強力なスキルである
魔力やアビリティが自動的に増えていくなら、それ以外の強化に集中出来るという事だからである
「けどまぁ、今はどれだけレベル上がっても意味ないんだけどね」
「「!!!」」
アレス達は一瞬驚いたが、同時にあまり理解できなかった
だが、その後すぐに理解する事になる
なんと、心臓をもぎ取られたにも関わらず、オリビアが起き上がったのだ
次回、決着
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