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46話 国運天秤裁判第二審 3

「本当に…このビザはクレイム元総理が書いたもの…?」


ルキナさんの放った弁論が、法廷中を轟く


「だから何度も言ってるでしょ、それは元総理から頂いたものだと」


ネルガルは口を尖らせながら、何か必死に言い訳を考えるように右手を顎につけている


「で、でもそいつの言ってた書いてもらった時期っていうのは違うかったじゃん」


エルが同じ事をしつこく聞き返してくる、もはや誰も黙らせようとはしていないみたいだ


それに対し、ルキナさんは冷静に言い返す


「確かにその通りです、ですが、このビザがいつ書かれたものだとしても、このビザ自身がクレイム元総理によって執筆されたものである事は紛れもない事実です。シュメルン共和国は、かつて我が国の友好国でした、そんな国の首長ともあろう者が我が国のスパイを目論んでいる人間にビザを書くとは考えにくいでしょう、それにあなたのスキルが反応した事で、この文字がトレースされたものではなく本物の文字である事も逆に証明されている」


「っ、」


ルキナさんが淡々と言い放ち、逆にエルを黙らせた


「……動機は、なんなんですか」


ネルガルが静かにそう言った、更にルキナさんに追求する


「もし仮に、その悪魔がロックドラゴンを召喚して、森中のモンスターを凶暴化させたとしても、その動機はなんだというのですか!それがはっきりしない言えない以上は、あなたがどれだけ弁論を繰り返したところで無意味です」


ネルガルの言った発言


それは確かにこじつけるように言ったような言葉だった


けど、確かにそれは、核心を突くような一言だった


あの悪魔がモンスターを凶暴化させた動機がないと、まだ私の疑惑が完全に払拭されていない以上、それを覆すほどの、確実に悪魔がモンスターを凶暴化させたと言わしめるだけの動機がないといけない


だけど、なにかあるの?この場にいる全員を納得させるような動機が…


一方的な他力本願ばかりで罪悪感がぞわぞわと込み上がってくる…けど、それでもお願いする事しかできない


ルキナさん、お願いします


「…………はい、ございます!モンスターの凶暴化は、全て悪魔の何らかの実験によるものです」


「何故そう言い切れるんですか!」



「以前、ナスカン森林の北にある強い塩基性を示す川の上流の洞窟で、存在する筈のないものが発見されました、こちらです」


ルキナさんは手に持っていた資料をこの場にいる全員に示しつけた


「!!!それは!?」


その資料に書かれている内容に驚くネルガルを他所に、ルキナさんは続けた


そこに書かれてあったのは、例の檻の話。良かった、アレス君、ちゃんと報告してくれたんだ


ひとまずそれに安堵し、真剣にルキナさんの弁論を聞くアイラ


「資料を見ていただければわかる通り、この檻は何者かがアビリティを使用して作られたものであり、そしてそれが中から破壊されていた、その際に飛び散ったと見られる血痕が現場に残されていたようなのですが、この血液が…ロックドラゴンの血と一致したのです。そしてこの檻があった洞窟から流れていた川、あの川はモンスターであれば問題なく飲料可能な川であるのですが…その川に、凶暴化したモンスターと同じ魔力…即ち悪魔の魔力が、川の水に含まれておりました。間違いないモンスター達はこの水を飲んで凶暴化していた、そして、森の外れに同じく出現した謎の建物、悪魔の出現……これらの証拠から、一連のモンスターの凶暴化は、全て悪魔の何らかの実験によるものだったと断定できます!実際、以前からこの悪魔らしき存在の目撃例事態は報告されていて、それがロックドラゴンの出現日…即ちロックドラゴンが逃げ出した日、更にはモンスターの凶暴化が初めて報告された日と一致しているのです!これは、檻から逃げ出したロックドラゴンを再度捕獲するため森林を探し初め、偶然それと同時期に実験の成果が現れモンスターの凶暴化した結果だと用意に推定できます!!!」


休ませる隙も与えず、ルキナさんの流れるような弁論がただ法廷中を飛び回った


裁判長は一呼吸置いた後、ガベルに手に取り「どうやら、結論は出たようだな」と言いながらそれを打ち付けようとした


「待って下さい裁判長」


それを、ルキナさんは強制的に止めた、勿論驚いて、ルキナさんの方を皆が振り向く


「まだ、あなたとの話が終わっていません、裁判長」

ルキナさんどうしたんですか?評価・ブクマ、よろしくお願いします!

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