41話 カウントダウン
第二審まで後2時間
その事を気にしながらも、任務を請け負ったアレス達はアトミック宮殿を出た後、建物が発見された森の外れを目指して、西門を出ようと歩いていた
「君たち、街を出る前にこれだけは最初に言っておく」
ノア様が突然話してきた「悪魔が建物にいるのが前提の話ではあるのだが…」と前置きをした後、俺たちに話をした
「悪魔は本当に強い、私が勝てないような相手も出てくるかもしれないし、それが何体いるのかも分からない。死にかけたら兎に角逃げるぞ、生き残らなければ任務ではないからな」
ノア様はそう言った
「はい!」と、エルナが笑顔で、やけに素直にそう答えている
あのエルナですらも心を許させてしまうか…やはりノア様の凄さは恐ろしいと、改めてそう実感した
更にもう一つ、本当に今更だがある事に気がついた
「ノア様、左眼…治ったのですか?」
ノア様の眼が、元通りに見開いているのに気がついた
「あぁ、もう大丈夫だ、ある程度治った。3回くらいなら使えるだろう」
「そう…ですか、」良かった、俺のせいでノア様の眼を一時的にとはいえ壊したと思えば、それがずっと気を咎めていた
「なに?2人で話し合って、アレス?私に内緒で何の話?」
また面倒くさいのが始まった
だが俺があの場でノア様とバイアを倒したのが誰かに知られるのは、ノア様や俺の今後の立場を考えてよくない気がしていたから、誰にも知られないようにしている、だからこの事は例えエルナでも知られるのはよくない
どうにか誤魔化さないと
「そうだよ、お前の想像している通りの事だ」
「は!?ちょ、それどういうことよ!?」
「冗談だ」
「そうよね」
何故俺がノア様を巻き込んでまでBL展開をしなければいけないのかは分からないが、話の流れで誤魔化す事には成功したようだ
(アレスの女は私だけなんだから♡ふふふふふ)
しかし、ここでふと、エルナもある事に気がついた
「アレス、なんか変わった?」
俺の目線は体を傾けながらそう聞いてきた
「は?そんな事ないと思うが」
「そっか」
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第二審が始まるまで、残り1時間に迫ろうとしていた
アイラは自信を看守する戦士4人に、法廷まで連行されていっている
今度こそ勝てるのだろうか、そのたまらない不安が、段々とアイラを蝕み始めてきた
普段、何が起きようとも動じないような素振りを見せているアイラだが、この裁判だけは訳が違う
一審に続いて二審でも負けてしまうと、最後の三審で勝つ可能性が絶望的になってくる
いくら彼女でも、それだけは恐れていた、ナスカン王国に住む事が、二度と叶わなくなるからだ
約束を果たすために、それだけはなんとしても避けたかったのだ
その為にも、この裁判には勝たなければならない、国民天秤裁判第二審まで、後30分だ
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第二審まで後10分、プライム国王は極秘に、裁判長とネルガルと3人で極秘に話をしていた
「2人とも、今私のしている事は、我が国の憲法に違反する行為だ、だがそれでも、私には守らねばならないものがある、それを理解して協力してくれている君達には感謝している。これだけは最初に伝えておきたい」
「構いませんよ、国王。元々この国を守りたくて検察官になったんです、その為なら例えどんな命令であろうと、こなしてみせます」
そう言ったネルガルの目は硬く、強いものだった
「私も…仕方のない事だと、理解しております……」
それらを聞いてプライムは後ろめたさを感じたが、国王として、一度決めた決断を揺らがせるわけにはいかず、改めて2人に命令を下す
「……すまない、2人共。では頼んだぞ、弁護士がどんな証拠を出して来たとしても、必ずアイラを死刑にしろ」
「「仰せのままに」」
2人は従順にそう答えた
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俺たちは、悪魔が潜んでいるかもしれない建物の目の前までたどり着いた
確かに、もの凄い魔力を感じる、そして何より城のようにデカい
首が痛くなるほど見上げても、建物の全体を見る事ができないでいる
ここに、もし悪魔がいるのなら、俺とエルナと、ノア様で倒そう…必ず
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「これより、国運天秤裁判第二審を開始する!」
裁判長が、力強くコングを鳴らしつけ、その音が法廷中に広がった
それは、いよいよ第二審の始まりを意味している
ルキナは強く顔を引き締める、今度こそアイラを無罪にする為に
ネルガルは何度も己の決意を思い出し、覚悟を奮い立たせる、ナスカン王国を守るために
今ここに、国運天秤裁判第二審が、始まった
次回以降、裁判とアレスサイドが同時並行で進みます!評価・ブクマ、よろしくお願いします!