39話 ただそれだけ
「な…なんだよあれ…」
謎の建物を発見した戦士の1人が、あまりに唐突に視認できたそれに驚き、口を零す
「わからない…だが、あそこからもの凄い魔力を感じる、普通のモンスターのそれじゃない」
「廃墟…とかじゃないわよね、あれ。お城?」
全員が建物に恐怖したり、半ば我を忘れて好き勝手に感じた事をただ伝えるだけの状態になっている中、一行のリーダーのような男性が、この場を落ち着かせようと話した
「とりあえず、すぐにこの場を離れて、センターに報告しよう、あれは…絶対ヤバい」
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夜2時頃、ようやくノアが街に帰ってきた
その手には、普段彼が若者の特権だと言って使用しないはずの端末を持っていた事はその時街で彼を見かけた誰もが気づいていたが、意外と奇策な一面があるノア様の事だから、なにかを考えられた結果なのだろうと、特に誰も言及はしなかった
そして、その後ノアは間髪入れずに、真っ直ぐ地下牢の方へと向かっていった
アイラはやはり、相変わらず地下牢に捕えられたまま
退屈そうな表情で胡座をかきながら座っていた
実質的に死刑が猶予されているだけのような状態であるのをわかっているはずなのに呑気なやつだ
だがそんな彼女も、少なくとも私が知る限り、私やルキナが面会に現れた時だけは表情を変える
姿勢は助走を溜めているような姿勢になり、表情も緩やかなものに変わる
私達が面会の時に提示する新しい情報は、どれも自分を無罪にさせるのに有力なものになると思っているのだろうか
頼りにされているなら、それほど有り難い話はないが
「おじいちゃん、どう?見つかった?」
「ここでは話せん、これが答えだ」
それを聞いた時、アイラは一度、心から…と思えるように笑った
それは、普段の彼女からはあまり似合わないような、そんな一瞬だった
「じゃあ、他の証拠も出揃ってる感じ?」
「……ああ!次こそは必ず勝たせてみせよう!」
こうは言ったが、正直な所、まだ確証に足るような証拠は持っていない、だがそれでも安心させてあげたかった
私は彼女がスパイではないと本気で信じている、だからこそ、少しでも安心させてあげたかったのだ
「………ありがとう、信じてるわ」
再び彼女は笑った、普段通りの彼女だ
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翌朝、ようやく日が顔を見せた時、国王と大臣は玉座の間に集まって何かを話し始めた
「二審まであと2日か…ネルガルの方はどうなってる?」
「一審で見せた証拠を、更に上積けするようにしているとの事、順調と見ていいでしょう」
「そう…か、」
プライムは何かを後悔しているかのように、両手を両目に当てて、顔を見せないようにした
「国王様、失礼ですが…なにか…お悩みでも?」
「いや、大丈夫だ、国の事は全て私の責任、私が全てを背負わねば…」
ミニッツは少し考えた後、プライムに尋ねてみる
「国王、ご無理はやめて下さい、黒かどうかわからない人間を殺すという決断…1人で抱え込まないでください」
「問題ない!彼女の力は危険すぎる、なんとしてでも消さなければならない、あの森で悪魔が発見されたようだが、関係はない」
国王は強行するようにそう言い退けた
ガタ
その時、玉座の間の扉を兵士の1人がやや急ぎめで開けて、国王に耳元である情報を伝えた
「なに!!??」
思わず子供のようにそう叫んでしまった
兵士がそっと帰っていっている間、ミニッツが何を報告されたのかを聞いた
「……不審な建物が、発見されたようだ、昨日な」
「建物?」
「あぁ、しかもその建物からは強力な魔力を感じるらしい」
「それは……!」
ミニッツも同じように声に出して驚いた、事の重大さを察したのだ
悪魔が目撃された直後に、魔力を帯びる謎の建物が発見されたというこの意味を
「裁判はともかく、この件は調査せねばならないな、国民には一切知られないように」
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後2日、私、ルキナに残された時間はそれだけ
それまでにアイラを今度こそ勝訴にさせるだけの証拠を揃えないといけない
恐らく二審で負けると、その後勝つのがかなり厳しくなってくるはずだから
ノア様が入手してくれる証拠に、かなり助けられているのが現状…
彼女を信じるなんて言っておきながら、私は弁護士としてなにも出来ていない
本当に、不甲斐ない………
でも、それでいいと思ってる、開き直っているだけなのかもしれないけど、私はこれで
私の役目は、私にしか使えない証拠という武器を駆使して、今度こそアイラを勝訴にさせてあげる事
ただ、それだけだから
1章もだんだんと終わりが見えてきました。評価・ブクマ、よろしくお願いします!




