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37話 宝物庫

木から木へ、颯爽と飛び移っていくノアは、ようやく森の南奥にある宝物庫の目の前までたどり着いた


宝物庫は長年手がつけられていないかのように、辺りの植物が成長して建物全体を覆っているような状態で、建物そのものも一見するとただの小さな倉庫と思える姿をしている


だがそれはこの建物が宝物庫ではないと誤認させるためのフェイクであり、実際には中に入ると地下に繋がる空洞があり、そこから迷宮のように入り組んだ通路に繋がる


その最奥が、記録物が保存されている部屋だ


「ようやくか、随分と時間がかかったような気がするな…」


思わず口にしてしまった


まるで当初は3話くらいでここまで進める予定だったのに、実際には思ったよりも文字数が多くなって結果的に8話もかかってしまったかのような気分だ


……なにを考えているのだ私は


まぁいい、私は気を取り直し、宝物庫の中に入ってすぐにある穴の中に飛び込んでいった


穴の中はやはり迷宮のように複雑に入り組んだ地形が広がっていて、外からの光もほとんど入ってこない


灯りも10mおきに一つだけ、恐らくなんらかのアビリティで蝋燭が壁に貼り付けられているだけしかなく、片目が見えていない今の私にとっては暗闇も同然の通路だった


その上、私は道のりを知っているからいいのだが、迷宮と例えただけあって無数に枝分かれした通路で構成されており、一度でも通路を間違えると引き返さない限り2度と最奥には辿りつけないようにもなっている


私は順路を間違えないように気をつけながら、慎重に通路を歩いていった


慎重になる理由は通路を間違えないためというのもあるがそれだけではない


「カタカタカタカタ」


曲がり角の死角からスケルトンが突然襲ってきた、早速である


これが私が慎重になって歩いていた理由の1つ、この通路には外見の偽装(カモフラージュ)を潜り抜けて、万が一内部まで侵入した者…つまり私のような者を撃退するために、あちこちにスケルトンが徘徊させられている


スケルトンは、所謂[アンデット]と分類されるモンスターである


生物における第一カテゴリーであるモンスターには、とにかく膨大な数の種類が存在しているためか、モンスターの中でもいくつかのタイプに分類されている。ドラゴンもその一つだ


このスケルトンは、アンデットに分類されている


アンデットは死者が蘇って誕生したとされている分類で、基本的にどんな攻撃を加えても死ぬことはないというのが特徴となっている


例外として、聖職者の使う特殊なアビリティであれば、アンデットを浄化させたり、向かうから避けさせる事が出来る


だがノアは聖職者ではないので、当然その手のアビリティは使えない


だからこうして出会してしまったのである


「さて、出会してしまったものは仕方がないか」


ノアはスケルトンの堕落したような攻撃を軽く避け続けた


スケルトンはさっき言った通り、聖職者でないノアではなにをやっても、すぐに身体が再生されるので倒せない


また全身が骨で出来ているので、仮に今デストロイが使えたとしても肉がないので効果はない


ではどうするのか、その答えはこうである


まずスケルトンの左右どちらかの足を強く蹴り上げ、関節を10回以上回して動けなくさせる


その後、回した足が治る前にもう一方の身体をバラバラに破壊する


今回ノアは右足を機能停止にさせたので、身体の左側を剣でバラバラにする


スケルトンはより損傷が激しい方を優先して再生させる傾向があるので、身体の再生している間に奴の視界から逃げる


破壊した左側はしばらくすると再生されるが、スケルトンはその後右足も再生しないと動けないので、そうこうしている間に逃げる事ができる


ノアは今この方法でスケルトンを撒いてみせた


だが、この方法をいちいち行なっているとその度にノアであってもそれなりの労力を要してしまうため、基本はスケルトンに見つからいようにやり過ごする必要がある


だから慎重になっていたのだ


ノアはその後も通路内を徘徊しているスケルトンをやり過ごしたり撒いたりしていき、15分ほどで最奥にまで辿り着いた


「さて、思っていたよりも時間がかかったな」


最奥はこれまでの通路とは考えられないほど蝋燭が辺り一面に設置されているため明るく、だがそれ以外にはレンガ模様の床が平坦とあるだけの寂しい部屋である


そして、奥には壁と同化したように模様がない扉が設置されていた


あの扉の先に、ナスカンの機密情報が保存されている部屋がある


あそこならクレイム総理の筆跡があるはずだ


だが扉には鍵がかかっていて、このままでは開ける事が出来ない


無理矢理こじ開ける事も出来るが、それをするとトラップが発動して入り口まで戻される仕組みになっていたはずだ


だから今からその鍵を持っている()()を倒す必要がある


その番人が今、地面から這い上がるようにして現れた


それは、全身の90%以上が鉄で出来た巨大な人口モンスター、[ゴーレム]


人口モンスターの中では専用のアビリティかスキルがあれば難なく作り出せる上に強力な為、昔から番人や用心棒として重宝されてきたモンスターである


ノアはその巨大で振り下ろしてくる拳による攻撃を難なく全て避け続け、ゴーレムの腕に飛び移ってゴーレムの胸の位置に飛び乗った


本来なら普通に力でねじ伏せる事もノアなら可能なのだが、それだと国の機密情報を守っている存在を殺す事になってしまうため、そうしないように


ノアはゴーレムの胸に埋め込まれているゴーレムの身体を動かしている物体…


即ちコアに大量の魔力を一気に流し込み、これによりやがてゴーレムは崩れるように倒れた


ゴーレムは胸の部分に埋め込まれているコアが、行動を司っている


このコアがゴーレムの身体全体に魔力を供給する事によって、ゴーレムを活動させている


その為、このコアに魔力を一度に大量に流し込むと、コアが動作不良を起こし、一時的にゴーレムは動かなくなるのだ


「さて、こいつから鍵を取り出すとするかの」


ノアは物置を漁るようにゴーレムの身体を調べ始め、やがて奥の扉の鍵を手に入れた


「これでようやく、アイラの無実を証明する手掛かりが手に入る」


その時、ノアの左眼が回復して、開いた


「これは…ふふ、今戻っても少し遅い気もするがな」


そうは言いながらもノアは扉の前へと近づいていった


今目が戻ったのは、間違いなく偶然だろう


だがそれと同時にノアは、この後行われる第二審への僅かな光明が見えたと、そう前向きに考えようとしていた


何故ならこの後目にするであろう膨大な資料を前に、自分がどうなってしまうのかわかっていたからだ

現時点で登場しているキャラクターで、アイラ以外ノアが負けるビジョンがマジで見えないんですがww

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