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35話 悪魔と王国最強

バイアは両手に纏っていた氷を完全に溶かしきった、氷拳を解除したのだろう


それと同時に、バイアの右腕がまた一度激しく痙攣した


やはり、奴の右腕の筋肉が戻るのも時間の問題なのだろう、ノア様もそれを感じ取っているのか、奴に迂闊な攻撃をさせないように、剣を前に突き立てて、なにか攻撃を繰り出す風を装った


「俺とアレスの闘いの邪魔はさせない!!!アビリティ、[伸縮拳]」


バイアが唸りと共にそう叫ぶと同時に、バイアの左腕が叫んでた技名の通りに伸びてノア様を襲った


それを身体を少し後ろに倒すだけで避けるノア様


攻撃を避けられた腕はバイアの方へと戻っていった


「これで終わると思うなよ!!!」


腕を戻すと同時にバイアはその腕をノア様目掛けて腕を叩きつけてきたが、当然のように、ノア様はこれを軽々と避ける


だがバイアのこの攻撃の意味は次の行動にあった


バイアは地面を叩きつけた腕に自信の体重を全て掛け、棒高跳びの要領でバネのように飛び上がった


バイアは自信の体で太陽の光を遮りながら腕の長さを元に戻し、そのまま落下の勢いを使ってノア様に殴りかかっていった


ノア様はこれが直撃する寸前に後方へ飛び上がって避ける事ができた


着地の速度がやたら速い攻撃だった、奴自身の魔力濃度を上げて質量を増やして、重力による落下速度を上げたのだろうか…少なくとも素での俺なら絶対避けられない速度だった


そんな攻撃をも避けられたノア様が、威容な姿で駆け上がり、バイアへ剣を近づける


その時、バイアは[(ゆがみ)拳]というアビリティを発動して一瞬だけ時を止め、バイアは自動的にノアの背後に回り込み、それと同時に時間が元に戻った


だからノア様にも、俺にも、バイアがまるで瞬間移動でもしたかのように、突然背後に移動されたというように感じるのである


流石のノア様もこれには対応する事が出来ず、直撃を喰らって少しだけ弾き飛ばされた


「ノア様!!!」と叫ぶアレス


しかしノア様は少し後ろへ引きずられながらも持ち堪え、今度こそ反撃に出ようと再び剣を向かわせようとした


だがそんな隙すら与えまいとしたのか、バイアは間髪入れずにデュアルパンチングを繰り出してきた


宙に出現させた竜巻のような風がノア様を襲っていく


ノア様は斜め右に跳ね飛ぶようにこれを避けたが、更に畳みかけるようにバイアは瞬拳を使い、ノア様の間合いまで接近してきた


「ノアさん!!!」


だが、何度もバイアに目まぐるしく奇襲をされると、ノア様はこれに慣れてきたのか、[守衛斬]という剣を縦に構え、このアビリティに使用した魔力よりも少ない魔力を使った相手の攻撃を確実に防ぐアビリティを発動し、バイアの攻撃を完全に防いだ後、逆にバイアの腹部を切り裂いて反撃した


剣に押されて、後方へ吹き飛ばされるバイア


しかし着地と同時にまた、右腕が激しく痙攣した


それは、筋肉が全て再生される時が近づいている事を示している


ノア様は再びバイアの元へ向かっていったが、伸縮拳をノア様を妨害するように使い、中々奴の元へ近づけられていない


だがそのすぐ後にバイアが自分から瞬拳を使ってノア様の死角である左眼の真横にまで移動し、ノア様を殴りつけて吹き飛ばしたりもしているため、バイアはなにが狙いなのかが俺は掴めずにいた 


(なるほど、上手いな、こちらからの攻撃は可能な限り防いで攻撃時以外は一定の間合いを保ち、隙をみて私の死角となる左眼付近にまで近づいて確実に攻撃を当てる…これで力で負けている私の弱点を突きつつ、右腕が使えない不利益を補っているのだろう…となると、勝利方法は…)


だがその事をノアはとっくに理解していた、それも、勝利方法までも


「ノア!認めよう、確かに貴様は俺より強い!だが徐々に、確実に貴様を追い詰めていって、邪魔な貴様を殺そう!!」


その時、バイアの右腕が一度だけ、かつてないほどに激しく痙攣した


その直後に、バイアの右腕が動き出した


「!!!???」


俺は面白いくらいに絶望した、恐れていた事が起きてしまった


奴の右腕の筋肉が、完全に再生したのだ


やはり、片目が見えないというのが不利だったのか、最初俺が思っていた以上にノア様は苦戦している様子だ


尤も、ノア様は俺をこの戦いでも助けてくれた、俺がなにか言えた口ではないのだが


「……なるほど」


「ノア!!!これでようやく完全な状態で貴様を叩き伏せる事ができる!!今度こそ引導を渡してやろう!!」


そういうとバイアは体全体を大きく拗らせ、魔力と共に右腕を後ろへ力を溜め始めた


それは…間違いなく、超神拳の予備動作だった


あの時は超越光速を使ってどうにか防いだけど、ノア様にはそれがない


あれを…馬のような速度で迫ってくるあれを、ノア様なら防げるのか?


「終わりだ!!!超神拳!!!」


バイアはそう叫ぶと、高速で動くコンベアに乗っているかのような、信じられない速度で一気にノアへと近づいていき、

その拳を突き立てる


「アビリティ、[全神斬(あまたのかみ)]!!!」


ノア様はそれに対抗するように、剣の刃先に自身の魔力を込めて発動するアビリティを発動し、バイアへ向かっていった


両者のアビリティが、交差せず激突する…かと思われた


バイアの超神拳を、頬に僅かに掠る程度にダメージを抑え、ノア様の全神斬だけがバイアの腹部を、深く切り裂かせた


その威力は凄まじくバイアは何故だと叫び続けるような断末魔と共に腹部から大量の血が噴き出て、間も無く死んでいった


正直なところ、俺も全く状況が読めていない、ついさっきまで、失礼ながらノア様がやや劣勢なように見えたのに、どうしてこの一瞬で勝負がついたのか


ノア様は倒れたバイアの死体に向かって、彼自身の敗因を、哀れむように語ってあげていた


それはノア様の、バイアへの敬意を表しての事なのだろう


だが俺にはそれが、上辺から一方的に権威を振り翳しているように見えてならなかった


「バイア、確かに君は、私を追い詰めていた、だがそれは君が右腕の筋肉を破壊されているという状況に危機感を覚え、攻撃の一手一手を慎重に繰り出していたからだ。故に君は負けた、君は右腕が復活し、ほんの僅かながら慢心してしまった、このままいけば勝てるかもしれないと…それが君の敗因だ」


それ以上はなにも言わずに、ただただ、バイア自身の敗因を、ノア様は朗読し続けていた

しかし、何故こんな所に悪魔がいたのでしょうね?評価・ブクマ、よろしくお願いします!

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