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33話 悪魔との対立

バイアと名乗る悪魔が、両手を顔の前に構えて俺を牽制している


俺も剣を向けて牽制しているのは同じだが、さっき喰らったもののように、奴は俺の知らないアビリティを持っている


このままなにもせず戦うと、負けるのは俺かもしれない


「先ずそこから降ろさせてやる」


「安心しろ、それはすぐに叶う」


「!?」


バイアはそう言った直後に、木から飛び降りて上から俺に殴りかかってきた


俺は咄嗟にその場を跳ね逃げて、攻撃の終わった直後のガイアに勢いよく切り掛かった


だが予め知られていたかのようにその攻撃は避けられ、剣を振って隙が生まれた俺に連撃拳と思われるアビリティを放ってきた


それを剣で防いだのは、攻撃が俺の目に直撃する直前だった


どうにか攻撃を防いだ後、反撃に出ようと剣を振ったが後方に跳ねられて避けらた


「デュアルパンチング」バイアはそう叫びながら空中を殴り上げ、それによって生じた極僅かな風が竜巻のように強く激しく渦巻いて俺を襲ってきた


俺はそれを防ぎきることが出来ずに地面まで吹き降ろされた


真空を殴った後に発生した風、さっきの2段攻撃はこのアビリティで間違いないだろう


再びあれをされる前に、俺は一気にバイアへ切り掛かった


対するバイアも今度こそ俺を直接殴りつけようと急接近してきた


お互いの攻撃が交差するように擦り合い、一度両者の距離が離れた


「ふはは、人間、少しはやるじゃないか!だんだん楽しくなってきたぞ!いいね、なら…これを放つとどうなるかな!」


バイアはそう言って、左手を後ろに下げて魔力を溜め始めた


間違いなく、なにかくる…あれは恐らくさっきまでのやり方では防げないだろう


ならば仕方がない、残り2回の超越光速を…ここで使う


「さぁ!これはどうする!?アビリティ、[超神拳]!!!」


バイアは溜めていた魔力を一気に解き放ち、その衝撃に乗り合わせるように、もの凄い速度で一気に俺に向かってきた


その速度は…通常の俺が動ける速度を大きく上回っているものだった、アビリティの影響もあるのだろうか


だがこれにまともに対抗するつもりはない、俺は超越光速を発動し、激速で動いている奴の目の前に一瞬だけ移動し、その速度を保ったまま奴の腹部を切り裂いた


高速移動中にそれを上回る光速で攻撃されたバイアは一瞬なにが起きたのかもわからないまま、反動で近くの草原まで吹き飛ばされていく


「はぁはぁはぁ」


これで、超越光速が使えるのは残り1回


とはいえ確実に腹部を切り裂いた、確かに仕留められたはずだが…


しかし、バイアのあの力…並の悪魔よりも強い


まさか()()?なら何故こんな所にいる?


俺はバイアの動向に警戒しながらゆっくりと草原の方へ近づいていった


だがそこで見たものは、俺の想像を遥かに上回る光景だった


バイアがまだ生きていただけでなく、俺が確かに切り刻んだはずの腹部が、接着剤で貼り直したかのように再生していっていって、何事もないように起き上がっていたのだ


正直、ある程度予感はしていた、相手は悪魔だ。なにがあってもおかしくはない


だが、例え事前に想像出来ていたとしても、この状況は厄介だ


わかっていても対処のしようがない、どんな攻撃を加えても、たちまちそれが再生されてしまうのだとすれば…バイアを殺すには、一撃で奴を仕留める必要がある、即死レベルの攻撃をバイアに…


俺に、そんな芸当が出来るのか?超越光速はあと1回しか使えないのに…


逆に考えれば、その1回が最も重要という事になる


奴に確実な隙を与えて、超越光速で一瞬で首を切り飛ばす…それしか勝つ方法はない


「さっきの動き、なにをした?お前のスキルなのか?いいじゃないか、面白い!ここまで俺と対等にやり合える人間は久しぶりだ!」


バイアは両手を空に広げて、狂気に満ちた無邪気さを醸し出す表情を見せた


この悪魔は…戦いを楽しんでいるのか?純粋に。


だがそれ故の底の見えない怖さがある


「人間、確かアレスと言ったな!アレス!お前は、俺が全力で相手をしてやろう!」


バイアがそう言った直後、バイアは自身の両手に氷を纏わせた


空気がその氷に触れた途端、即座に凍りついていくのを感じる


感覚でわかる、あの氷は、人間が触れていい温度ではない


「これが俺のスキル、[氷拳]。発動中は一切のアビリティが使えなくなるのを代償として、両手に氷を纏うスキル。因みに氷の温度は−273℃…即ち絶対零度!あらゆる物体が停止する、最冷の温度だ!」


我が物顔で説明してきた、だが、あれが本当に絶対零度なのだとすれば、かなりマズい。


絶対零度は、触れたあらゆる生命が凍りつく、この世で最も低い温度

だからあの拳に少しでも触れれば、その瞬間その部位は凍りつく事になる


つまり少しでも気を抜けば反応が遅れるほどの速度で繰り出してくる奴の攻撃を全てかわし、その上で隙を見つけて即死レベルの一撃を奴にぶつける…これだけしか勝利条件が残されなかったという事だ


できる…のか?俺に、


躊躇う隙があるほど、現実は甘くはない


バイアが閃光のような速度で接近して殴りかかってきた


俺はバイアの攻撃を何度も寸前のところで避け続けた


その間、隙をついて何度かバイアの身体を斬り付けたが、すぐに身体が再生して傷を癒されてしまい意味がなかった


だが俺は違う、一撃でも攻撃が当たれば終わりだ


しかもいくつかの攻撃は奴が腕で防いできたせいで、その度に俺の剣が死んだように凍って機能しなくなってしまい、すぐに予備の端末から剣を取り出すというのを繰り返したせいで、残りの剣のストックもあと2つしか残っていないのだ


このままでは不利と考えて、一旦バイアとの距離を離した


このまま戦っていても、いつか俺の体力が先に底を尽きて負けるのは目に見えている


決めるなら、勝ちたいなら、今決着をつけるしかない


俺はダークボールを1つだけ生成し、それを剣全体に塗りたくった


これで、通常の剣の威力にダークボールのエネルギーも加わる、考え得る最も高威力な一撃を出せる状態だ


ちなみに、この状態から更に重複してダークボールを塗りたくろうとすると前に貯めておいたダークボールのエネルギーが消えてしまうから意味がない


この剣で、奴の首を瞬間的に斬る…これしか勝つ方法がないと、改めて自分に言い聞かせる


ミスれば終わりだ、絶対に成功させないといけないと、言い聞かせて決意を固める


一度、奴に悟られないように注意しながら大きく深呼吸をし、それと同時に超越光速の最後の1回を使い奴の首を元まで移動した


「!??(またこの瞬間移動か?!)」


そしてそのまま、奴に反撃されるよりも先に、バイアの首に剣を突き刺す事に成功した


………まるで何者かに仕組まれているかのように、現実は上手くいかないものだ


硬い…奴の首が、恐ろしいほどに硬かった


強固な首に、俺の剣の侵入を阻まれる、何故だ!?何故こんなにも首が硬いんだ!?


「ほう、俺の首を切ろうとしてたのか?だが無駄だったな、その程度の剣では俺の首は切れない、勝負はこれで終わりか…」


バイアは左手で俺の剣に触れて凍りつかせた


更に右手で、俺の顔を殴ろうと拳を振るっている、避けるのは到底間に合いそうにない


今奴に頭を殴られたら、そのまま顔が凍りつく…死ぬ。


だが強く握りしめられたバイアの右手は、俺の顔の目の前まで迫ってきていた


その時、林の方から、勢いよく飛び移って現れた人がいた


ノア様だ

宝物庫に向かっていたノア様が偶然駆けつけてくれたようですね!評価・ブクマ、よろしくお願いします!

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