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32話 悪魔との接触

私、ノアはナスカン大森林の木々を飛び移り、宝物庫に急いでいる


宝物庫は、今私が駆け抜けている太陽を遮るほど大きな木の群を潜り抜けた先に広がる巨大な草原の先にある


そこに、アイラ君の無罪へと繋がる武器が眠っている事を、ただ願うばかりだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は突然現れたそれを、操られたように追いかけていた


俺の少し先を走る、海老色の道着姿をした少年


それに吸い寄せられるように、彼と同じように木々を飛び移って後を追っていた


けど、俺は彼の事を知らない、飛び去ったのが一瞬で顔もよく見ていない


なのになんだ?この、生まれた時から彼を追いかける事を命令されていたような感覚は…


今俺は、どうしようもなく彼を殺したいと思っている


不意に湧き出た殺意、そしてなにより、さっきから感じている、何層にも重ねられているような濃さをした異様な魔力…


まさか、あれは…()()なのか?



この世界に生息する生物には、4つのカテゴリーが存在する


1つはモンスター、2つ目は、人間…そして、エルフ等人間の近縁種をまとめた総称である亜人、自然界における生産者である植物…


それらに並ぶ4つの目のカテゴリーが、悪魔


悪魔は亜人に近いカテゴリーで、亜人と同等の知能を持っている


そして、生まれつきの魔力が亜人のそれとは比にならないほど強力なものがほとんど


更に亜人と同様、生まれつきのスキルを保有していて、後天的にアビリティを身につけることもできる


その上人間以上に魔力の扱いが器用で、ドアーフのように肉体が頑丈であり、エルフほどではないがそれに次ぐ寿命の長さを誇っている


そして基本的に亜人…特に人間に対して古くから敵対的であり、人間は歴史上幾度も悪魔と対立してきた


その戦いの記憶が、現代を生きるほとんどの人間のDNAに刻まれており、人間は悪魔を見ると本能的に殺戮衝動が膨れ上がる


つまり今アレスは、遺伝子に深く刻まれた本能によって、衝動的に目の前の少年を殺そうとしているのである



突然、目の前の少年が動きを止めた、俺の存在に気づいたのだろうか


だから俺も動きを止め、彼と話をしてみる事にした


「なあ!あんた、何者だ」


大声で彼に問いただした、それに反応して彼は俺の方へ振り返った


ここで初めて、俺は彼の顔をしっかりと見た


彼は、服装と同じ海老色の髪と、中に蜘蛛の巣の紋様が浮かび上がっているような青い目をした10代前半くらいの少年のような顔立ちをしていた


だが、彼の眼差しはその顔立ちとはまるで似合わないほど、狡猾で貫禄のようなものが感じとれた


「何者だと?言っている意味がわからないな、俺は俺、ただの人間だ」


「……だったら、あんたのその異様な魔力はなんだ?それは、人間が出せるような魔力じゃない、あんたが発する魔力は、人間のそれとは根本的に違う」


「……お前こそ何者だ、お前は俺を呼び止めて何をしたい」


痺れを切らすように言ってきた


その言動は一見見た目相応に俺をうざったらしく思った末の言動に見えるが、実際は恐らくそうではない


彼からは、俺など簡単に押し消せるとでも言っているかのような余裕が感じとれた


武器を持った俺に問い詰められても、急いでいる時に道端で話しかけられて足止めされたような、その程度にしか感じていないように思えた


だが同時に、不思議と俺は、この子が悪魔であるとの確信が持てた、一切の迷いなくそう断言できた


同時に、これ以上の詮索は危険だと思った


仕掛けるならこちらから仕掛けないと、危険だと…


それも同時に確信した


「単刀直入にいう、俺はナスカン王国の戦士、アレスだ。そして戦士には、可能ならば悪魔を発見次第独断で抹殺する権利が与えられている、この意味…わかるよな?」


少年は一瞬黙り込んだように見えたが、それが嘘だったかのようにすぐに、諦めたような表情に変わった


「なるほど、やはり気づかれていたか、まぁ仕方がない、だが今俺は急いでいる、いつまでもお前に足止めされるわけにはいかないんだよ」


そう言って、少年は俺に握り拳を向けてきた


正体を表したと言った感じだ、だがそれは、こいつとの戦いが始まる事を意味している…


悪魔は、個体によっては並の戦士を遥かに上回る実力を有しているという、あと2回しか超越光速を使えない俺が、果たして勝てる相手なのか?


けど、やるしか選択肢はない、でなければただ殺されるだけ、俺は覚悟を決め、剣を構えた


その瞬間だった、いつの間にか、悪魔は俺の目の前に現れ、俺の顔へ殴りかかっていた


俺は咄嗟にすぐに剣を顔の前に構えて防いだ


ガードは確かに間に合ったはずだ


だが、それにも関わらず、俺は突然、衝撃波を喰らったかのように木から地面へ吹き飛ばされた


なにがされたのか、わからなかった


俺は確かに攻撃は防げていたはずだ、なのに何故…2段攻撃のようなアビリティなのか?


「なるほど、[デュアルパンチング]を耐えるか、少なくとも弱くはなさそうだ…まぁ、それなら少しは楽しめるかな、

いいだろう!人間!お前はこの俺、バイアがしっかりと殺してやろう」


木の上から俺を見下しながら、高らかとそう宣言された

次回は対バイアです!評価・ブクマよろしくお願いします!

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