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27話 アレス〜囚われた過去〜

俺の親は、2人とも戦士だった


2人は2回、共同で任務を行った事があるといい、それの1回目が2人の出会いだったそうだ


その任務で2人は意気投合し、やがて結婚し、そして俺が生まれた


初めは2人とも、これから始まる生活に、想いを馳せていたらしい


これからどんな幸福が待っているのだろう、どれだけ満たされた時間を過ごせるのだろう、それを想像するだけで、2人は幸せそうだったと。これは小さい頃、ギルベルトから聞いた話だ


だけどいつしか、2人は歪んでいったという


なにが原因なのかはわからない、だがある時期を境に、様子がおかしくなったと、ギルベルトは言っていた


俺が覚えている一番古い記憶も、おそらくそのあたりの時期だと思う


俺が物心ついたその時には、既に俺の頬は、赤く痛んでいた。


さっき言ったように、原因はわからない、結婚や俺を産んだ事で生まれた経済的問題かもしれないし、仕事のストレスが溜まっていったのが原因かもしれない


けど理由なんてどうでもいい。


俺は確かに両親に…奴らに、生きることを阻害された


自分達で勝手に頭を抱えてイラついて、それを発散するために俺が殴りつけられる毎日


自分で巻いた失敗という種を受け止めず、代わりに俺が言葉で締め付けられる毎日


俺の記憶にあるのは、そんな毎日だけだった


俺はただ黙って従う以外に選択肢は与えられていなかった


俺が少しでも自分の意見を主張しようものならば、その度に奴らはそれをする事が義務であるかのように、俺を言葉で圧迫し続けた


「これは必要な躾」「どこの家でもやってる当たり前の事」両親は怯えるように時々そう吐き捨てて自分たちの行いを正当化し続けていた


けど俺は、そういう日常しか知らなかったから、わざわざ言われなくてもわかっていると、何を分かりきった事を言っているんだと、そうとしか当時は考えられなかった


あの両親にも面白い所があるんだなと、その度に俺は感じていた


それが、俺にとって唯一、癒しを感じる瞬間だった


親共はやがて、自分たちの気を損ねる事しかできない俺を見限ったのか、何も考えずに新しい子どもを産み始めた


それがミアだ


親共はミアを、子どもを今度こそ自分達にとっての成功作に育て上げようと、ミアを過剰に甘やかすようになった


もちろん、俺への扱いは変わっていない


最初はミアに、呪われたように嫉妬していた


俺は必死に2人の教育に耐えているのに、何故ミアだけは過剰なまでに甘やかされるのか、


無意識のうちに、俺はミアを妬んでいたんだ


やがてその妬みは怒りへと変わっていき、何度か、眠っている生まれて間もないミアの首を強く締め上げて殺そうとした事もあった


けどその時気がついた、今は2人から溺愛されている妹だけど、それは妹を不出来な俺の代わりにしようと2人が必死になっているだけであると


だがそんな即席のような愛情には限界がある、どこかで必ず愛想が尽きて、いずれは俺と同じように教育されるようになるだろう


そう考えた途端、俺は妹と同化したような感覚になった、人を憐れむ、それは初めて覚えた感情だった


けど、あの時の俺は、何故俺がこんな気持ちになっているのか、理解ができなかった



それから2年の月日が経過した


あれは妹の誕生日、2人は俺たち兄妹を家に残して、共同で任務に向かっていた


そしてその任務で俺の父親と母親は、モンスターに襲われ、2人とも殉職したと、後日ギルベルトから知らされた

アレスを縛り続けた両親は死にました、残ったのは、子どもが2人だけ…評価・ブクマ、よろしくお願いします!

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