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25話 謎の小川

「ぐぁあああああああああ」


この川に入った瞬間、体全体に電流が流れたかのような激痛が循環した


なんなんだこれは…今までこの川に入っても、当然のようになにも起きなかったのに…


アイラがなにかしたのか?いや、さっきのあれは、少なくとも魔力を使った動きではなかった


「ちょっとだいじょーぶー?」


川の向こうから声が聞こえてきた、アイラの声だ


俺に声をかけてくれているのか?ということはやはりアイラのアビリティではなかったという事か


「勝負は中止ー!とりあえずそこ出られるー?」


アイラが勝負の中止を呼びかけている、まぁ俺がこんな無様になったんじゃ、勝負もお終いだろうな


「だい…じょうぶじゃないけど、とにかくそっちへ上がる…」


俺は痺れるような痛みに翻弄されながらも、どうにか川から抜け出す事ができた


「はぁはぁはぁ」今ので急激に体力を奪われ、俺は両手を地面につくほど疲弊した


だが不思議と、川から出た瞬間、つい先ほどまで俺を苦しめていたあの痛みは、嘘のように消えていた


アイラは慎重に左手を川につけて反応を試してみているが、なにも起きていないようだ


(私が触ってもなにも起きない…か、けどなにかしら?川の水から妙に強大な魔力を感じる)


「ねぇ、この川ってなにに使ってるの?」


「その川はアルカリ性が強くて、人間は飲めないんだよ、だからこことは反対方向にある川を使ってる、モンスターにはどっちも平気みたいだけどな」


「へぇ…」アイラは川を注意深く見つめている


アイラが水に触れて何事もないのなら、なぜ俺だけああなったんだ、あんなのは本当に初めてだ


それとも、アイラだけはあぁならないのか?いずれにせよこの川になにが起こっているのか、俺の身になにが起きたのか…この時あれこれ想像していたが、結果的にはそのどれもが不正解だった


「ねぇ、こんな事初めてなのよね?」


「あぁ、明らかに異常な状況だ」


「それなら…上流を調べてみましょう」


アイラは川の上流を指差しながらそう言った


俺たちは川を上流に沿って登っていった


その途中、俺は戦いが中止された事によって条件の話はどうなったのかを問い詰めた


「なぁ、中止になったんなら、転生者の話はどうなるんだ?逃げたか?」


「あぁー、まぁ半分私の負けみたいなところあるし、いいわ、ちょっとだけ話してあげる」


今、確かにちょっとだけ教えると聞こえた、間違いなくはっきりと。少しでもなんでもいい、俺に都合が良いならそれでいいのだ


「私ね、こことは別の世界から来たの」


通り過ぎるように口にしたそれは、当然の事を説明しているかのように荒唐無稽な事だった


「?なに言ってるんだ?そんな冗談じゃなくておれは転生…」


言い終わる前にアイラは話を続行した


「まぁこっちの世界の人からしたら今一想像できないわよね…要するに私は前世はこことは違う世界で住んでいて、そこで死んで私に生まれ変わったってわけ、私には前世の記憶があるんだけどね、前世の世界ではこれを異世界転生なんて通称もあったけど」


なるほど、不思議な事にすんなりと理解できた


「大体わかった、ところで、その異世界転生というのは、当人が前世の事を知らないだけでよくある事なのか?」


「いやないと思うけど…まさか私がなるなんて思わなかったし、後異世界転生する人は大体前世の記憶持ってるわよ」


アイラは両出を組み、首を傾げながら漠然と答えた


本人も確証が持てていないらしい…


「じゃあ、具体的にどうすれば異世界転生できるのかは、わからない…んだな?」


「まぁそうね、なに?貴方もしかして転生したいの?」


「………そうだよ、できればこんな世界から、とっとと消えたいと思ってる」


俯きながら、下を向きながら、俺は素直にそう答えた、この気持ちを俺以外に話したのは初めてだ。だがそんな俺を、アイラは無意識にか、緩やかに否定する


「やめといた方がいいわよ、転生。あっちも楽な世界じゃないからね…」


アイラはそう呟いた、けど…俺は。


でも異世界転生が頻繁に起こるものでないとしたら、アイラの場合はただ運がいいだけなのか?


これ以上期待しない方が良さそうだ、俺の希望は蛍が飛び去ったように通りすぎていったのだろう



……?今、アイラが俺の顔を見ながら小声でなにか呟いたように聞こえた


「今なにか言ったか?」


「え!?いや〜そのー、その眼?緑の瞳、私と同じの初めてみたなって」


「え?あぁ、まぁ同じだな、俺も同じ眼の色した人は初めてみた」


なんだそんな事かと拍子抜けした顔が一瞬表層に現れたような気がした


確かに緑の瞳をした人が俺以外にもいた事は一目見た時に驚いたけど


目の色は赤や青など、どんな色にもなり得る可能性があるが、唯一緑だけはほとんど記録が存在していない、幻と言ってもいい色らしい


そんな事を考えている内に、俺たちは川の上流にある、こっぱりと口を開けたような洞穴が入り口の、大広間くらいの大きさの洞窟にたどり着いた


この小さな洞窟が、川の上流にあたる


そんな洞窟に、見覚えのない、信じ難いものが聳えていた


この洞窟の奥に水源があり、そこから下流へと水が下っていくのだが、それを阻むように中央の大部分が空洞になった鉄格子のようなものが置かれていた

眼の話はこの世界独自のもので、実際には眼の色は理論上どんな色にもなる可能性があるそうなのでよろしくです!評価・ブクマもよろしくお願いします!

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