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24話 アレスvsアイラ

「…なんで…あんたがここに」


間違いなく見間違いじゃない、今目の前にいるのは、確かにアイラだ


「あぁ…見つかっちゃったか、て、貴方この間の可愛い子じゃん、ねぇお願い、黙っててくれない?」


両手を顔の前で合わせてお願いしてきた


「もしかして脱獄したのか?」


「う〜んまぁ部分的にそうかな」


「(部分的にってどういう意味だよ)部分的にってどういう意味だよ」


心で思っていた事がそのまま声に出てしまった


「今の私はね、分身なの」


「分身?」


「アクアシャドーっていう魔力の一部を使って水の分身を作るっていうアビリティ、知らない?」


知らないな、いくつアビリティ覚えてるんだこの人は…


「まぁいいよ、黙ってる」


「マジで?ありがとう裁判勝てたらお礼するわね」


別に礼なんてわざわざいらない、けど、これはチャンスだと思った、前に聞きそびれたあれを、今度こそ聞くチャンスだと


「お礼なんていい、ただ、条件がある」


「なに?基本なんでも聞くわよ黙ってて欲しいから」


最後のは妙に圧のかかった言い方だったな、ほんとは礼なんて面倒くさいと思ってるんじゃないかと思ってしまうほど、まぁ別にいいか


「前に聞きそびれた事だ、あんたは自分の事を()()()だと言った、あれ…どういう意味だ?その話を信じるなら、あんたは一度死んで、生まれ変わったって事になる」


アイラは答える事を躊躇っているのか、一瞬妙な間が生まれたが、すぐに口を開いてこう言った


「……なら、こうしましょう、今この場で私と戦って勝てたら、貴方に私の事話してあげる」


「え?いや、勝てるわけないだろ、ロックドラゴンを軽々と倒せるあんたに」


「勝てると思うわよ?さっきも言った通り今の私は分身、本来の力の1割程度の魔力しかない…だったら、貴方でも勝てるんじゃない?」


この女、どうやら戦闘能力だけでなく頭の方も狡猾らしい


俺は喉から手が出るほどに転生者と名乗った理由を聞きたがっている


だからどんな条件をつけても俺はそれを聞こうとしてくると読んで、答える羽目になる確率の低いようにこの条件をつけたのだろう…お礼をすると自分で言っておきながらだ


まぁ2度も質問されれば誰でも見抜けるか、だがそうまでして教えたくない事なのか


考えれば考えるほどに、真実を知りたいと知的好奇心が掻き上がる


知りたい、純粋に知りたいんだ…一瞬でも、()()()()()()()()を知ってしまった、もう、我慢はできない


「わかった、やってやる、あんたと戦って勝って、転生者について聞かせてもらう」


俺は端末から剣を取り出し、アイラに刃先を向けて構えた


「ふふ、そうこなくっちゃ」


そう言ってアイラは左手から魔法陣を作り出した、そしてそこから、一本の剣を取り出す


「アビリティ、[ポケットウェポン]、別次元から武器を自由に取り出すアビリティよ、私はそんな便利な(たんまつ)持ってないからね、さて、始めましょうか」


俺たちは互いに剣を構え、向かい合った


だが、先に攻撃したのはアイラだった、炎を出すアビリティで俺を攻撃してくる


俺はこれを避けて、その勢いのままアイラに切り掛かった、誘っているのだろう


アイラは俺の攻撃を剣で受け止め、そこからしばらく俺たちは至近距離で剣を振り合った


しばらく互いの剣が拮抗した状態となっていたが、俺は隙を見て空高く飛び上がり、落下の勢いを利用して素早く切り掛かった


しかしアイラに上手くかわされ、反撃とばかりに一撃を斬り込まれる


これを間一髪で避けた俺は、剣を振った直後でアイラが一瞬硬直している事に気がついた


俺はこれを見逃さず、剣よりも出の早い蹴りを喰らわせた


だが、それはまるで水を蹴ったかのようにアイラの身体をすり抜け、その直後に風のアビリティを喰らわせられて遠くにある木まで吹き飛ばされた


更に追撃とばかりに火炎放射を放ってきた、


俺は弧を描くようにアイラの周囲を大きく回ってこれを避け、再びアイラと睨み合う状況となる


強い、たった1割でこれなのか…


総魔力量では、おそらく俺の方が上だろう。だが手数の多さ、戦闘技術、その全てが魔力量の差を埋めるには充分すぎるほど、俺とアイラとでは能力の差があった


このまま戦っていると負けるかもしれない、言葉のないプレッシャーが脳裏を襲う


逆転できる可能性があるとすれば、スピードの面で確実に上を取れる…超越光速しかない


(なるほど、総魔力量では負けてるっぽいわね、これは中々楽しめそう)


その時、アイラが不気味に笑みを浮かべたのを俺は見逃さなかった、なにか考えているのだろうか…


分身の彼女には、おそらくどんな物理攻撃も水のようにすり抜けて効かない。いや、本当にそうか?なにか一撃を与えられる方法があるはずだ、そうと信じたい


「アビリティ、[チェーンテール]」


アイラが充分に聞こえる声でそう呟いた直後、アイラの背中から8本の鎖が尻尾のように出現した


その鎖は全てがまるで木のように高く、アイラはそれら全てを使って俺に攻撃してきた


俺はそれを避けながら、アイラに接近しようとする


何度か鎖の隙を狙ってダークボールを撃ち込んでもみたが、それらは全て別の鎖で防がれてしまった


アイラはこの巨大な鞭のように長いこの鎖を自身の顔の前を始発点として、そこから鎖を動かして俺を攻撃しているようだった


だが攻撃を避けるため常に動いている俺を狙う以上、向こうも多少鎖の位置を動かす必要がある………その隙を狙う


また、一緒だけ、鎖が8本全てアイラの顔からズレたタイミングがあった


俺はこれを逃すまいと即座に超越光速を発動し、アイラの目の前まで移動して切り掛かった


(!!!速い!!??)


だがアイラの行動も早かった、アイラは鎖を即座に自身の顔の位置…つまり俺のいる位置まで疾風のような速度で戻し、その鎖の勢いで俺に攻撃してきたのだ


俺は間一髪この鎖を避け、その後すぐにアイラへと切り掛かった


アイラも鎖を体に収納すると同時にすぐに俺へ斬り飛んでくる


再び俺たちは、しばらく拮抗した斬り合いを演じる事になった


しかし俺は一瞬の隙を突き、アイラの体を僅かに切り裂いた


その感覚はさっきと同様、水を切ったかのような感覚ではあったが、同時にある事に気づいた


切られた彼女の体が、どれだけ斬り込まれてもまた姿を元に戻す滝のようにはならず、斬られた後が残っていたのだ


これを見て俺は確信した、一定以上の威力を持つ攻撃を受けると、アイラは身体を再生出来なくなる


もしこの仮定が正しいならば勝機はある、分身なら、例え首を切っても死にはしないだろうからな


俺はアイラの一撃を避け、と同時に、超越光速を発動してアイラの背後に回った


アイラは突然の瞬間移動に反応しきれず、俺はそのままアイラの右腕を切断する事に成功した


だがアイラもすぐにそれに反応し、片腕で剣を振り翳してくる


腕を切り落とされたとは到底思えないほど手早く攻撃してきている、分身だから痛みは感じていないのだろうか


そのまま三度(みたび)剣のせめぎ合いが行われ、互いに決定打に欠ける攻撃が続いた


その後、戦況を変えようと互いに放った会心の一撃によって、2人とも大きく弾き飛ばされてしまう


だが俺は超越光速でアイラより早く着地し、アイラが着地するよりも先にアイラの首元まで移動して剣を向けた


勝った、確実に勝ったと思ったその時だった


突然、アイラの背丈が低くなり、剣が空振った


身体を小さくさせるアビリティかなにかを使ったのか?いや、魔力を練らせる隙すら与えなかったはずだ


一体何故だ?そんな事を考えている間に、いつの間にか俺はアイラに剣の持ち手で強く突かれていた


俺はその衝撃で弾かれ、近くの川まで吹き飛ばされた


激しく川に着水してしまった、何が起きたんだ…


いや、それよりこれは…俺の負け…になるのか?認めたくない事実だな


その時、川に浸かりきっている身体に、妙な違和感が走った


「ふぅ…危なかったぁ、咄嗟に下半身を液体に戻して姿勢を低くしてなかったら確実に負けてたわね…」


けど、片腕切られてるしこんなの分身じゃないと出来ないから…これが勝ちでいいのかなぁ…


そんな事をふつふつと考えながら、私はアレス君の吹き飛んだ方へと歩いていった


そこで私は、信じられない光景を見た。


アレス君が何もない川の上で、電撃を浴びているかのように苦しんでいる光景を

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