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22話 有備無患

国運天秤裁判、第一審の結果は、やはりアイラの敗訴となった、その場で彼女が控訴したから第二審に持ち込まれる事にはなったけど、それも結果は同じだろう


俺に…この状況をどうにかする力と権威があったならな…けどそんな妄想をいくら広めたところで、それこそなんの意味もないが


それにしても、最近妹の帰りがやけに遅い、それは俺もだが、妹の場合帰ってこないなんて事もザラにある


仕方ないんだけどな…妹の戦士としての才能は本物だ、史上最年少で戦士となり、まだ14歳だというのにその実力はノア様に次いで王国内では2番目に強いといわれている


将来的にはノア様をも超えると言う人もいるほどだ、どこでこんな差がついてしまったんだか


忙しいのは俺も同じだが、妹の場合、忙しいの次元が違うんだろう


「よぉ、アレス」


任務から帰って街の通りを歩きながらそんな事を考えている内に、偶然マイロと蜂あった


「マイロ、これから任務か?」


「あぁ、凶暴化事件が一向に解決されねぇからなぁ、休む暇なんてありはしないぜ」


右手にガッツポーズを作りながらそう言った、流石だな、余り疲れていないのかもしれない


「そう言う割には余裕ありそうに感じるけどな」


「ま、モンスターに疲れ見せちゃあ終わりだからな」


「それもそうだな」


戦士が疲弊していたら、それを好機と見て辺りのモンスターが一斉に襲ってくる、だから疲れを見せるのは危険なのだ


「とにかく、お互い頑張ろうぜ」


「あぁ、そうだな」


そう言って俺たちは、軽いハイタッチを交わしてすれ違っていった


マイロは戦士学校時代から俺の一番の親友だった仲だ


そして、俺が唯一心を許せる相手…けどこれは弱い奴の戯言だ、弱い奴は皆、人の出来た強い奴に縋るもの


戦士としても人間としても、なにもかもマイロの方が俺より上だ


出来れば俺たちは友人であると信じたい、けどもしかしたら、どこかで()()()()()を知って、気を使ってくれてるだけなのかもな

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一審で敗訴した事により、アイラは再び地下牢に閉じ込められていた


敗訴にさせてしまったお詫びも兼ねて、ルキナはアイラに牢屋越しの面会を行っている


「ごめんなさい、負けさせてしまって…」


「いいのよ、負けちゃったものはしょうがないし」


「すみません」


その時ふと、私は前にルキナさんの言っていた事を思い出した


私の弁護を本気で担当する事で、私を疑うかどうかをはっきりさせると、確かに彼女はあの時そう言っていた


一審に破れた今、改めてそれをはっきりさせたくなった


「そういえばルキナさん、今はどういう気持ちなの?今は私を疑ってる?」


それを聞いて、ルキナさんはなんの迷いもなく答えた


「あの裁判であなたを弁護して、確かな答えがでました…あなたはスパイなんかじゃない」


当たり前の事を言うように答えた彼女の姿が、私の瞳にはっきりと映し出された


「そう…よかったわ、ありがとう」


「いえ、だからこそごめんなさい、あなたを負けさせてしまって…」


「いいわよ謝らなくても、大丈夫。次に勝てればそれで」


「ところで、1つ、聞いてもいいですか」


唐突に話を変えてきた


「あなたならこの程度の柵、簡単にこじ開けられますよね?どうしてそれをして逃げないんですか?」


個人的に話したくない事を聞かれた気持ちだ、まぁでも気になるわよね…


「そうねー、確かにこんな柵簡単に壊せられる、けど…私にはどうしてもここに住みたい理由があるのよ」


「理由?死刑の危険を犯してでもの…ですか?」


「まぁ理由というより…()()…だから」


「約束?いえ、まぁいいです、今日はこれで失礼しますね」


それには触れてほしくないという私の気持ちを察したのか、ルキナさんはそのまま面会を後にした


それと同時に、見張りの看守2人が戻ってくる


そう…そうよ、私には()()()()がある、こんなところで終わるわけにはいかない


だから私は、少し、ズルをする事にした


アビリティ、[マインドコントロール]を隙をみて看守達2人に使って、2人を一時的に私を無視するようにさせた


その隙に、アビリティ、[アクアシャドー]を発動した


このアビリティは自分の力の一部を使って意思を持つ水を作り出し、それを私と同じ姿に変化させる事で分身を作り出すアビリティ


今私は魔力の10%を使って、分身を作り上げた


この分身に、凶暴化事件について独自に調べてもらう


これがバレたら私はどうなるかわからないけど、そんな事考えている場合ではない


水の分身は液体の形状に戻り、柵の隙間を擦り抜けて檻から脱出していった


私はさっさと無実を晴らして、この国で住まなくちゃならないんだ


あの約束のために、必ず

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