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1話 憂鬱な日常

ただただ明るく土を照らす太陽が照り続ける、ナスカン王国の真っ昼間


俺、アレスは、その国の首都…といってもこの国には街がここしかないのだが、そこの人々が行き交い、大小様々な家が立ち並んでいる大通りにポツンと佇む一軒家で、ゴロゴロと床に寝転がっている


と、こんな言い方をすればニートと勘違いされるかもしれないが、俺には()()という職がきちんとある、従ってニートではないからな


そもそも戦士は予め割り振られた決まった時刻に()()()()()()()…この国の場合、それは国王のいる宮殿、アトミック宮殿の中にあるから、そこへ直接足を運んで、エリアで受付のごとく座っている()()()()から任務を受託して収入を得る仕事だ、だから、センターへ行く時間や任務中以外は、基本的にこうして家でゴロゴロしても許されるんだ、例え昼間でもな、分かったな?


とはいえ、あと30分ほどでその任務を受託する時間になる、なので俺はゆっくりと起き上がり、センターに向かうため俺は家を出ようと玄関に向かう


玄関に到着し、扉を開けて家を出ようとすると「あ、お兄ちゃん」と、妹に呼びかけられた


「...、なんだよ」「どこに行くの?お兄ちゃん」

妹の名前はミア、俺とは4つ歳が離れている。薄ピンク色の短いショートヘアーと、小さく丸っこい水色の瞳は、全体的に幼なげな印象を与えてくれる、そしてなにより極度のブラコンだ

俺に示してくる愛情が尋常ではない、まぁちょっと鬱陶しいと感じる程度で、別にうざいとかまでは思っていないのだが、それでもちょっと鬱陶以下には下がらないかな


「別に、任務のためにセンターに向かうだけだよ」俺がそう説明すると「あ、そうなんだ、よかった〜、お兄ちゃん、私をおいていなくなっちゃうのかと思ったよー、じゃあ、任務気をつけてね〜♪」と、理解してくれた


「あぁ、行ってきます」「いってらっしゃ〜い」妹は手を振って、玄関から俺を出送った

あんな妹だが、実は俺と同じ戦士で、しかも実力は俺より上である…はずなんだがなぁ


家を出ると、全体的に赤っぽいレンガ状の建物と、小さなロジを構えて食べ物や品物を売る売店が並び立ち、それらの真ん中に大きな一本道があるナスカン王国の中央広場に出た


この一本道を真っ直ぐ進んだ先に、センターエリアのある宮殿があるので、俺は一本道をテクテクと歩いていった


ナスカン王国は、城下町の面積が僅か約1.5㎢しかなく、街がその城下町しかないという小さな国、だがこの国に住んでいる戦士のレベルが他国と比べても極めて高く、それを利用して大国と軍事契約を結んでいることでなんとか生き永らえ、且つ経済的にもそこそこ発展している国だ、要するに俺もこの国の戦士なわけだから、必然的に俺も優秀な戦士という事に…なるのかなぁ分からんわ


と、そんな事を考えている内に、いつの間にか宮殿の前に着いていた

俺は入り口に立っている門番に戦士である事の証明書を見せて、薄緑色の巨大な扉を開けて宮殿内を歩いてセンターエリアに向かった


そこには、いつもの紺色のスーツ姿に黒い髪にメガネをしたギルベルトという男が座っている、こいつが例のマスターであり、国中から俺たち戦士に依頼されている任務を戦士はこいつから受託する事になっている、ちなみに俺はこいつが嫌いだ、理由はないがなんとなく


「ただいま参りました、ギルベルトさん」「あぁ、ご苦労ですね、で、今回の任務ですが…これです」ギルベルトは無数にある資料の内から一枚を抜き出し、それを俺に見せてきた


「君の今回の任務は、リザイレン3体の狩猟です」「リザイレン…ですか」楽だな

「説明不要だとは思いますが、リザイレンは街を出て西にしばらく歩いた先にあるレイク湖付近に主に生息しています、そこでリザイレン3体を狩り、尻尾を持ち帰って来ることが任務です、どのようにして殺してくれても構いませんが、尻尾だけは健全な状態で持ち帰って下さい」「承知しました」「では、よろしくお願いします」


俺は宮殿を出ると、その後すぐに街を出た

戦士とは、民間や国からの依頼をセンターから受託し、その任務を達成する職業…分類的には公務員だな。任務はこの辺り周辺にいるモンスターの討伐か捕獲がほとんど、これは、戦士が持ち帰ってきたモンスターを、食用に加工したり畜産のために利用する事が目的。後は、万が一の戦争の際にも駆り出される

ナスカン王国は、領土である城下町の周りが森で囲まれているから、その分野生のモンスターも多く生息しているので、自国の戦士のレベルの高さと、その他にこの森自体が農業に適した土地である事も相まって、食べ物の資源には困ることはない、ナスカン王国が領土の割にそこそこ経済成長出来ているのは、大国との同盟の他に、これによる食料自給率の高さによるものも大きい、まぁそのせいで、領土しては広大なこの森の面積の3分の1近くを保有さているのに、それをほとんど開拓することができないでいるというジレンマを抱えてもいるんだが


そんなチュートリアルをしている内に、狩猟対象のいるレイク湖にたどり着いた

ざっと辺りを見渡したところ、リザレインらしきモンスターは見当たらなかったが、別に臆病なモンスターというわけではないため、待っていればその内来るだろうと考えた

実際、その10分後に水を取りに狩りから戻ってきたリザレインが湖に現れたので狙い通りといえる、しかもご都合主義で丁度3体だ


リザレインは俺を見るや否や、3匹がかりで俺に素早く襲いかかってきた


リザレインは全身が緑っぽい、トカゲのような見た目で二足歩行を行うモンスター、知能が高く、狩りの際には必ず3匹以上の集団で、鋭い爪、長い尻尾を駆使して襲ってくるというが…後皮膚がすごいヌルヌルしてて気持ち悪い


3匹は順番に俺に爪で攻撃したきたが、俺は全て後ろにバク宙をして避け、その後こいつらから距離を離した


アレスは、黒い薄いまな板のような、タブレット端末のようなものを小型化していたものから元の大きさに戻して取り出し、それを作動させて黒い剣を端末から出現させた

これは端末1つにつき1つだけ物をデータ状に分解して端末内に収納できる機械で、戦士の多くはこの端末自体を本体の機能で小型化して武器等を持ち歩いている、狩猟したモンスターもこの端末内に収納する


アレスは、リザレインの1匹が自分に飛びかかって攻撃してきたのをかわし、着地したのと同時に後ろに周りこんで腹部を切り裂いた 「まずは1匹」


更に続けてもう1匹が俺に向かって突っ込んできて、連続でパンチを繰り出してきた、パンチの速度が妙に早いと思ったが、俺はそれを上手くかわし、後ろに周りこもんで斬ろうとしたが、別の1匹が俺に殴りかかってきた、俺はすぐにそいつの方を振り向き、剣でそいつのパンチを受け止めた後、それによって体制が崩れたリザレインの懐に入り込み、剣で腹を突き刺して倒した「2匹目」


だがすぐに後ろから最後の1匹が連続でパンチをして攻撃してきた

俺はすぐに後ろを振り向き、それを避け続けている、やはり妙に動きが早い


そして、最後の1発が避けきれなくなったので、俺はすぐに剣でパンチを受け止めようとした

だがその結果、俺は殴られた際の衝撃で少し後方に押し戻された


強い、あのリザレインは普通のリザレインとは…なにかが違う、スピードも、攻撃力も、他の2匹よりも強力だ

しかも、動きもなんか変だ、なんというか…他と比べて知性があまり感じられないというか、暴走気味というか…


そしてなにより、あのリザレインは、紫色の霧のような魔力が、僅かに視認できる程に溢れ出ている、普通はこんな事あり得ない


魔力とは、人間やモンスター、植物にも生まれつき備わっている生命エネルギーの事

魔力の大きさは種族ごとに大体決まっていて、その種族間にも個体差がある

当人の努力によって魔力の底上げを行う事は可能


そして、魔力は通常、その者の肉体の中に気体として潜んでいる物なので、その姿を視覚される事は基本ない

だが余りにも強力な魔力は、当人の意思で体から溢れさせる事が可能で、この場合は視覚化出来るとされている


だが、たかがリザレインにそんな芸当が出来るとは思えない

俺は攻撃を避けながら何故なのかを考えてみたが、理由はわからなかった


考えてもわからないことは分からん、とりあえずこいつは専門家に調べてもらおう

そのためにもこいつを倒そうと思う


などと考えていた刹那、リザレインが突然俺の足元を狙って、尻尾をなぎ払うようにして攻撃を繰り出してきた

俺は咄嗟に前方向へバク宙して避け、リザレインから離れた背後に着地した


「ったく、めんどくせぇな、そんなに俺を殺りたいんなら…いいぜ、本気でお前を殺ってやるよ」


俺は『スキル、超越光速(ちょうえつこうそく)』を発動し、リザレインの間合いに一瞬で近づいた後、奴がそれに反応するより先に奴の首を切り捨てた


スキルとは、人間()が生まれつき1つだけ持っている特殊能力のようなもの

その多くが一度に魔力を大量に消耗する…等のなんらかのデメリットの代わりに強力な効果を発揮するというもの、例えば今の超越光速は、発動中自身は光と同等の速度で動けるようになるというもの、発動時間に制限はないが、一瞬でも光の速度で移動すると肉体に負荷があまりにも重くのしかかるので、アレスは大抵一瞬だけ発動して敵の間合いに入り込み、そのまま切り裂く戦法をとっている


さて、任務通りリザレイン3体は倒せたが…最後のこいつ、なんなんだ、あの力は

リザレインとは思えない強さだった…あれは一体

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― 新着の感想 ―
アレスの視点から語られる文体は、ラノベ読者にとって親しみやすく、ユーモア混じりの語りとバトルシーンの緊張感がバランスよく配分されています。特に「戦士」の仕組みや「センター」の制度、武器のデジタル収納シ…
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