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153話 パーワー負けしてる力勝負

アクアドラゴンの全身に滴っている水が、徐々に奴についた傷を癒していっている。


「あの攻撃がほとんど効いていない上に回復までするのでござるか」


「みたいね、でも見て」


私は指をさして、イコウガにアクアドラゴンの姿をよく注意させた。


するとイコウガも、アクアドラゴンが大きく呼吸すると共に上体を小刻みに揺らしている事に気づいたそうだ。


「!!!これは…」


「そう、さっきはあんな感じじゃなかった、たぶんあれはバテてるって事…だと思う、つまりさっきの攻撃は全く効かなかった訳じゃない」


「…なるほど」


とはいえ、()()()()しか効果が認められなかったのも事実だ、こっちの体力のほうが当然早く限界がくるんだし、どうにかして打開策を見つけないと、


_____とその時、私は唐突にもの凄い頭痛の襲われ直後にぽたぽたと鼻血を流した。


「!!大丈夫でござるか!?」


「大丈夫よ、流石にケインの連射は身体への負担が激しかっただけ、全然平気平気…」


等という会話をしている内に奴がまた水流を放ってきた。


「「!!!」」


私とイコウガたちはそれを避け、と同時にイコウガたちは奴の背後まで回り込んで飛び上がった。


イコウガたちはそのまま雷遁の術を放ったが当然の如く奴には避けられる。


だがその際に周囲を大きく迂回した為、運よく奴の進行方向に私がいる位置と重なった。


ここだ、ここで決めないでどうする。


私はサンダーブレードを発動させ、アクアドラゴンに対して切りかかった。


だがあと一歩で斬れるというところで奴が気づき、すぐに両翼に水を纏って反撃してきた。


私はそれすらも押し返そうと攻撃に全体重をかけたがやはり決めきれず、逆に後方にある木々まで吹き飛ばされてしまった。


木と頭が衝突してノックバックがとどまり、ズリズリと地面に落ちていきながら流れ出る血と共に意識が朦朧としていった。


このままではマズい、とにかく意識をつなぎ留めないと、


幸い、今奴はイコウガの方に注意が向いている、今の隙にライブヒールで回復しよう。


その間、私はイコウガの戦況を見た。


分身が「[氷遁の術]」と叫びながら大きな氷塊を奴の顔面にぶつけたがあまり効果はなく、そのまま真っ直ぐ突進され翼の刃で分身が破壊された。


イコウガは軽く舌打ちをしながら地面に着地した。


同時に私の回復も終わったので、そのまま歩いてイコウガの元に向かった。


「!大丈夫でござるか!?さっき吹き飛ばされていたが」


イコウガがそれに気づいて声をかけてくれた。


「回復アビリティ持ってるから大丈夫よ、それより…アイツにどうやって勝つ?」


私たちは空中で私たちを注意深く見下ろしているアクアドラゴンを見上げた。


「分かってはいたが、めちゃくちゃ強いでござるな」


「そうよね、正直結構ヤバい気がするわ…」


奴の攻撃は基本口から放つ水流と翼の刃だけ、これは妙な手の内が存在しないシンプルな攻撃…


だがシンプルな分分析する要素がないから対抗策の考えようもなく、故に純粋な力での対抗を余儀なくされいる。


要は純粋な力比べでしか勝つ手段が無いということ、そして私たちはその力で負けている。


パワー負けしてる力勝負…そんなの身長負けしてる背比べと同じだ。


どうする?どうすれば勝てる、


もたもたしていると奴にどんどん傷を回復されてしまう。


「………」


考えぬいたが、どうやっても完璧な打開策は浮かばなかった。


だが一応、準備が不十分な中途半端な作戦なら思いついている。


_____どうせここから逃げるのは不可能だ、前のあれは奇跡と考えるべき。


ならば不完全な作戦でもそれで押し切るしかない、だろう…


「イコウガ聞いて、作戦思いついた」


「お、またでござるか。お主、かなり頭が切れるのでござるな」


「…でも、成功したとしても不十分よ」


私はそれを先に伝えてから、イコウガに作戦を話した。



「___といった感じよ」


「…なるほど、確かに成功したとしても不十分な作戦でござるな」


「はっきり言うのね」


思ったより包み隠さず返されたのでちょっと引いた。


「だが、拙者も現状それしかないと思うでござる、それで行こう」


「…ありがとう」


私たちは相槌を交わしたのを合図に作戦を開始した。


「ケイン!!!!」


私は最初にケインを不意打ちで奴に打ち放った。


だかこれは体を少し動かして避けられる。


結果を見ればケインを無駄使いしたように見えるかもしれない。


だがそれでいい、これが私の狙いだ。


外れたとは言え、ケインを3発も喰らってこれの恐ろしさを奴はもう十分に理解している。


ならば私が打ってきた時点で必ず奴はそれを避けると考えた、実際避けて動いた。


この隙にイコウガが走り込み、アクアドラゴンの目の前の位置まで飛び跳ねて奴に立ちはだかる…


___これも成功した。


奴は無謀にも目の前に現れたイコウガを撃墜する為、水流を放った。


「風遁の術」


それに対しイコウガは風遁の術を放つ、当たり前だが、アクアドラゴンとイコウガは今直線方向で対峙しているので奴が放った水流をイコウガの術で押し返す状況になるのである。


つまりは互いにその場で静止する、どちらも攻撃を止めれば向こうの攻撃がとんでくるという状況の為どちらかが押し切るまで動くことができなくなるからだ。


だが私()()は今1人で奴の相手をしている訳ではない、奴が動けない間も私が奴の背後まで飛び込む事ができる。


____これも成功した。


今私の目の先では風遁の術に阻まれその場を動かず水流を放ち続けているアクアドラゴンが映っている。


この隙にケインを一発打ち込む、そうして奴が怯んだ隙に聖龍の剣を装備して一気に追い込む。


これが私の作戦だった、そしてそれはここまでは怖いくらい上手くいっていた。


…だが、ここでアクアドラゴンが信じられない行動に出る。


奴は水流を放つのを止め、恐らくわざと風遁の術を喰らって後方まで吹き飛ばされた。


だがアクアドラゴンはその翼ですぐに体制を立て直し、寧ろ飛ばされた勢いを利用して更に飛行スピードを上げてきた。


それは当時の私たちでは目で追うのがやっとのスピードで、気づけば奴の翼の刃がイコウガの左腕を切り飛ばしていた。


「「!!??」」


イコウガは声すら出さずゆっくりと地面に墜落していった。


更に奴はその速度を落とさないまま私に向かってその刃を持って突っ込んできた。


すぐにマズいと思いあわててケインを発射してしまった。


これが最大のミスだった。


当然、そんな付け焼き刃で打ったようなケインが奴に命中する筈もなく、気付けば私の首筋にまで奴の翼が到達していた。


「ヘアメタル!!!」


私は反射的にそう叫びすると信じられない速度でヘアメタルが発動されそれを首筋までもっていった。


それが盾になりどうにか刃を受け止めて地上まで押し飛ばされる程度で防いだ。


しかし、そうは言っても高さおよそ8メートルの高さから背中で落下した痛みは並のものではなく、しばらく体が動かなくなった。


(マズい…ここで動けなくなるのはヤバい…)


動け動けと何度も叫ぶが、金縛りにでもあっているかのように指先一つ身体を動かす事ができなかった。


その間、奴が突然深呼吸のような動作をし始めた。


本能的に何かを察知してすぐにエコロジースカウターを発動して調べた。


…それには、奴がとてつもなく巨大な魔力をチャージしている事が示されていた。


要するに、必殺技が来るという事だろう。


だが私は依然身体が動かせない。


イコウガはああなって、そもそも生きているのかすらも分からない。


どうすればいい、この状況…本当に私はどうすればいい…

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