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152話 水龍との再開

村を出てしばらくした所で、イコウガが腕を組みながら木にもたれかかって待っていた。


「さっき村の方から大歓声が聞こえてきたでござるな」


「そうね、きちんと報酬と、村への出禁を貰ってきたわ」


「?、どういう事でござる、あの歓声はお主へのものではないのか?」


「ま、私も貴方に生き方についてとやかく言える程、できた人間じゃないって事よ」


ごく自然な会話の流れのつもりでそう言ったが、イコウガがそこに塞き止めをしてきた。


「人間…とは何でござる?」


「へ?何言ってんの?人間っていうのは人の事よ」


「…ああ、ヒトの事でござるか」


「え?うん………」


すごく微妙な空気になってしまった。


当日の私はまだ、種族のカテゴライズについて全く知らなかったのである。


この空気のまま私たちは歩きだした。


「まぁいい、で、どうやって倒すつもりでござる?アクアドラゴンを」


ありがたく本題を切り出してくれた。


「そうね、取り敢えず、これを軸に考えるつもり」


私はそう言いながらフリーストレージを発動し、聖龍の剣をイコウガに魅せた。


「拙者との最後で使ったやつでござるか」


「そう、これならアクアドラゴンにも一矢報いられると思う、でも…」


「やはり制限があるでござるか?」


「そう、これを使ってる間私はこの剣にぐんぐんと魔力を吸われていくの、だから長時間持続して使えない…確実に決められるって状況じゃないと駄目なのよ」


「ではどうするでござる、やはりケインか?」


「それも使うけど、それに加えてこれも使う」


私は両目に魔力を練り上げ、覚えたばかりのアビリティ、スターボムを発動した。


その影響で両目に星型の模様が出現している。


「これはスターボム、5秒以上見続けたものを爆発させるアビリティよ、これも駆使していこうと思う」


「…なるほど」


「あんたはどうするの?」


「拙者はとにかく風神雷神の術を当てる事に心血を注ぐ事にするでござる、アクアドラゴンの力は本物にして未知数、お互い出し惜しみはしないようにな」


「当然」


等と話している内に、アクアドラゴンが住んでいる湖の目の前までたどり着いた。


「ここにアクアドラゴンが…?」


「えぇ、私の匂いは覚えられてると思うから、多分もうくるわよ」


それを合図にしたかのように、アクアドラゴンは湖から力強く飛び上がって現れ、そのまま私たちを十分見下せる高度で停止すると、やはり私たちを注意深く見下ろし始めた。


「出てきたでござるな」


それとほぼ同時に、私はスターボムを発動しアクアドラゴンの腹部を出会い頭に爆発させた。


奴は唸り声を上げながら地面に落下していっている。


「いきなりでござるか!?」


「彼奴に先手を取られたら終わりなの、それより来るわよ!!」


アクアドラゴンは落下する途中で翻って体制を戻し、その直後に私たち目がけて口から水流を放ってきた。


「「!!」」


私は咄嗟に右方向に飛び移ってそれを避けた。


イコウガは左方向に飛び跳ねた後そのままアクアドラゴンに対し正面となる位置まで飛び移った。


彼はそのまま奴に対してアビリティを放とうとしたが、その前にアクアドラゴンは両翼に水の刃を纏い、その状態で地面スレスレを翻ったまま真っ直ぐイコウガに向かってきたせいでそれが遮断された。


彼は急いで印を結び直し、分身の術を連続で発動し、正面に大量の分身を作った。


それらで両翼の水刃を受け止めようとしたが、それの威力に一瞬で破れ、奴の移動する軌跡と共に全ての分身が破壊されていった。


残るはイコウガ本体のみである____


だがイコウガはこれを予んでおり、アクアドラゴンが全ての分身を破壊した頃には既に空中に飛び上がっており、がら空きになった奴の首筋をその刀で切り伏した。


「アアアアアウ」


奴は弱い悲鳴を上げたが尚も上空に飛びあがろうとする。


そこに私が駆け込んで尻尾に一発ケインを打ち込んだ。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアウ」


私はこの時、初めて手応えのある悲鳴を聞けた。


つまりケインは確実に効いているという事である。


それが確認できてテンションを上がらせたと同時に、イコウガが奴と同じ高さまで飛び上がって印を結び始めた。


「雷遁…」


だが結び終える前に、アクアドラゴンが水流を放ってきた。


「ちっ、、、」


イコウガはどう足掻いても間に合わないと判断して即座に印を切り上げ、持っていた刀を足で蹴り上げて高速で地面に落下し水流を避けた。


だがそのせいで刀を空中に放棄する事になってしまい、案の定水流で木っ端微塵に破壊された。


「なるほど、もの凄い威力でござるな」


イコウガは着地と同時にそう呟いた。


私も彼の隣に着地し、改めて作戦を伝える。


「いい?とにかく聖龍の剣で問題なく勝てるというところまで追い詰めるの、その為には…」


「分かっておる、風神雷神の術…これを直撃させろと言うのでござろう?」


「そうよ、その為に私は…!!!」


私は言葉と共に上体を大きく後ろにやり、そのままヘアメタルを発動させた。


それはアクアドラゴンには当たらないまでも、奴のいる位置より少し低い所まで、空にかかった道のように届かせた。


もちろん、この少し低い位置…というのは意図してやった事である。


「これを使って!」


「了解した!」


イコウガはそう言うと直ぐに一体分身を作り、そして端末から新たに刀を装備してヘアメタルの道を駆け抜けていった。


「「うおおおおおおおおお」」


2体のイコウガが勢いよくヘアメタルの道を登っていき、やがて飛び上がって一気にアクアドラゴンまで距離を詰めた。


だが奴も自身に近づかせまいと、水流を放って対抗しようとしてくる。


「「!!!」」


だが…


「させると思う!?」


私はイコウガに注意が集中し、完全に気を取られているアクアドラゴンへケインを2発打ち込んだ。


それらは完璧に命中し、奴に生々しい悲鳴を浴びせられた。


「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


「今よ!!!」


「当然!!!」


イコウガはこの隙を逃さず、すぐさまアクアドラゴンの周囲を回転しながら印を結び、一気にアビリティを発動した。


「アビリティ、風神雷神の術!!!」


発動され、アクアドラゴンは轟くような竜巻の中に閉じ込められ、その中で巨大な雷を喰らわせられた。


「ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


しばらくして、イコウガが地面に着地する。


「大丈夫でござるか!?」


そのまますぐに、苦しそうに鼻血を流す私の元に駆け寄ってくれた。


「大丈夫よ、ケインを一度に2発打ったらそりゃこうなる…それより」


見たところ竜巻もアクアドラゴンを襲い終え、間も無く衝撃でできた霧が晴れて奴の安否が確認できる。


「短期決戦で行かないと勝てないのは分かってた、死んでなくていい、せめてどういう状k…」


言い終わる寸前で霧が晴れた。


そして、奴の姿で言葉がつっかえた。


そりゃあ、状況的に倒せてはいない事は察していた。


それが、主人公(サイド)が優勢な状況における理というもの…


でもまさか、少し息が切れている程度で真っ当な効果がほとんど見られないとは思わないだろ、


「…こういうの、「やったか」さえ言わなければ良いと思ってたけど、マジですか」

まだ勝てないということです


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