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133話 復讐の下準備

それなりに長い間を置いて尚、馬は跪くように首を下に向ける姿勢を変えなかった。


これは…もうそういう解釈で間違いないだろう。


「私…洗脳してる?この馬みたいなのを」


そう分かった瞬間、私は心に、ようやく安らぎと余裕を取り戻せた。


そして、その安心感に身を任せるがままに、その場で深いため息をついた。


「ふぁ〜〜〜〜、よかった〜〜、じゃあ私、助かるんだ」


モンスターを洗脳する力があるなら、坑道を抜けるぐらいすぐにできるはずだからだ。


いつからこんなのが使えるようになったのか考えたが、考えてもあまり意味がなかったので止める事にした。


まぁ概ね、あの蜘蛛を倒してレベルが上がった時だろう。


「とにかくこうなったなら、やる事は一つね」


私は馬に跨り、そのまま乗馬した。


そしてある事を決意する。


あいつ(キル)、よくもやってくれたわね…マジで絶対復讐してやる…」


別に殺してやろうとか、もちろん襲われてやろうなんて意図は毛頭ない。


だけど、私をここまでコケにして、ただで済ませるなんて気も毛頭ない。


少なくとも、私を殺しかけた事を確実に後悔させるくらいにはやり返さないと駄目だ。


とはいえ今のままじゃ彼奴には勝てないって事も分かってる。


分かっているからこそ…やる事は一つなんだ。


「この馬に乗って、ここらのモンスターを狩りまくる。そうしてレベルを上げていって、そしていずれ必ず彼奴に…」


決意を改める為、敢えて大声で叫んだ。


さぁ、レベル上げ開始だ。


この手のレベル上げは、最初に目標にするレベルを決めておくといい。それもなるべく正確に。


そうする事で、レベルが足りず返り討ちなんて展開を防げるし、余計に時間を取りすぎて上げすぎ…という展開も防ぐ事ができるのだ。


「そうねぇ…大体どのくらいを目安にしようかしら」


馬に跨り、人差し指を顎付近に添えながら考える。


今のレベルは10、蜘蛛と戦った時は9で、その時点ではあの蜘蛛に手も足もでなかった。


それから1上がったとは言っても所詮は1だ、これがどの程度影響するかなんて考えたら気の遠い話になりそうだ。


だけど、レベル1の時に苦戦した熊に、レベル7の時点で余裕を持って倒せたという事実を踏まえると…


いや、レベルが上がる時、毎度均等に能力が上がっていくという保証はない。


実際、これまでの感覚的に、どのくらい能力が上昇するかはある程度バラつきがあるように思える。


でもそれは、「多少のバラつきはあれど概ね均等に上がっていく」事の裏返しとも言える。


そして、キルたちもあの蜘蛛に3人がかりで苦戦してようやく倒せたって感じだったし、そう考えるとキル単体ならそれほど実力差は離れていないかもしれない。


これらの点を考慮して、今目標とするべきレベルは…


3分間じっくりと考え、辿り着いた結論は、


「まぁ、大体16ぐらいまで上げればいいかしら?」


そんな訳で、目標とするレベルは決まった。


後はひたすらレベルを上げていくだけである。


「よし、じゃあ始めますか」


とはいえ、ここにいるモンスターは強い、今の私では普通にやり合って勝ち続けるのは難しいだろう。


だから少しやり方を工夫する。


1、先ず馬に乗って坑道を探索する


2、そうすると必ずモンスターと遭遇する


3、遭遇したモンスターにマインドコントロールをかける


4、モンスターが服従するのでその間に殺す


5、この流れをひたすら繰り返す


これでかなり楽にレベル上げをする事ができている。


〔レベルが11になりました。新たなアビリティ、[ランスコール]を会得します〕


森での生活のお陰でモンスター食への抵抗も知識も問題なくなっているし、


とはいえこの力…アビリティ、やはり誰も彼もを操れるという訳ではないらしいという事がわかってきた。


〔レベルが12になりました。新たなアビリティ、[ラッシュダッシュ]を会得します〕


坑道の中に、恐らくあの蜘蛛よりも強い巨大な蛇が1匹徘徊している。


その蛇にアビリティをかけようとしたが通用しなかった。


つまり操れる相手には条件があるという事、


〔レベルが13になりました。新たなアビリティ、ヘアメタル]を会得します〕


この手の洗脳系の能力は自分より強い相手は操れないというなら分かるが、今私が乗っている馬は恐らく私よりも強く、それを操れているという事はそうではないという可能性が高い。


こうなると考えられるのは2つ、


1つは自分の実力に関係なく一定以下の力の敵を操れる、


2つは自分の実力以下の敵全てと、ある程度自分より強い敵も操れる、


〔レベルが14になりました。新たなアビリティ、[アクアブレス]を会得します〕


このどちらかだと考えられるけど、後者だとあまりにも都合が良すぎるし、前者だと考えた方がいいのかな。


いずれにせよ、このアビリティのお陰で楽にモンスターを倒してレベルを上がられている。


それに連れて経験値が溜まりにくくなっていってる気もするけど、このペースならすぐにでもレベル16に辿り着くだろう。


頑張れ、あと少しだ。


〔レベルが15になりました。新たなアビリティ、[ホトシンセシス]を会得します〕



「ふぅ〜〜」


15までレベルを上げたところで、私は一息をつこうと地べたに尻をつけた。


流石に疲れる、


この9日間、ずっとレベルを上げの為にモンスターにマインドコントロールを使いまくっていた。


けどそれだけ同じアビリティを使い続ければそりゃあこれだけ疲労もする。


9日間のレベル上げで気づいた事、どうやらアビリティは使う度に体内にある…恐らく魔力を消費するらしい。


だから連続してアビリティを使えばその分だけ疲労も溜まっていくという事、実際、3日前にはそのせいで一度倒れた。


「貴方のお陰で、助かったけどね〜」


私は馬の首元を優しく撫でた。


馬は反応して気持ち良さそうに喉を震わせている。


「最後にレベルが上がったのは昨日起きてすぐ、そこからずっと上がってない、ここらで大物を倒した方が効率的な気もするのよね…」


とはいえ、たぶんだけどここにいるモンスターはほぼ全員マインドコントロールを使わなくてももう勝てる。


だから別格といえるほど強い相手じゃないと意味がない気がする…


「あいつしかいないか…」


私は馬に乗り込み、心当たりがあるモンスターの巣の近くまで移動した。


「いた…あの強そうな蛇…」


私が今気づかれないよう角から隠れて見てるのは、恐らく一定以上の強さのせいで操る事のできなかった蛇。


それ故に最初は倒すのを断念したけど、今の私はレベル15、初めてあいつを見た時よりも流石に強くなってるはず。


私はランスコールで槍を生成し、蛇に気づかれないように角から出て槍を持つ右手を振りかぶった。


(やれる、あいつを倒して、経験値をがっぽりいただいていく)


私は気配を最小限にまで消しながら左足を踏み出し、槍を投げた。

蛇の名前はコブラークです


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