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123話 凶霧の真相

「なるほどねぇ…」


生物の身体の状態を正確に検査できるアビリティを持った医者に、俺は体中のあちこちを調べられている。


プライム王の指示により、凶霧についてもっと性格に調べられているのだ。


確かにあれは俺としても謎が多すぎる、いつから使えるようになったのか、そして何故使えるようになったのか、全く分からないからだ。


「どうですか?何か分かりましたか?」


やや子どものように医者に聞いてみた、俺としてもこれは本気で知りたい。


「…そうですね、本来ヒトにはb型の魔力が流れているものなのですね」


「b型ですか…」


「えぇ、魔力にはいくつか系統がありまして、モンスターにはa型、ヒトを含めた亜人にはb型、植物にはc型、そして悪魔ならd型と、カテゴリーごとに異なる系統の魔力が流れているのですが…」


医師は少し言葉を詰まらせた。


なんだ?良くない状態なら尚更はっきり言って欲しいものだが。


「そして、誰しもが強かれ弱かれ、カテゴリーに応じた系統の魔力を()()持っているのですが…担当直入に申し上げます。アレスさん、あなたの体にはa型の他にd型の魔力も流れています」


「……………え?」


それしか言葉が出なかった、何を言っているのか、一瞬わけが分からなくなったからだ。


「それはどういう…あり得る話なんですか?」


「一応、過去には実験によってそのような状態になったモンスターはいます。ゴブリンにb型の魔力を人為的に注入して、別カテゴリーの魔力を流させたという事例が、」


その後ゴブリンはどうなったかと聞くと、医師は特に変化は観られなかったと答えた。


つまり、理論上はあり得る話なのだろう。でも…


「でも…僕の場合、確かに変化が、」


俺がそう言いかけた途端、医師は待っていたかのように「そう、そこなんだ」と早口で答えて俺を静止させた。


「恐らくこのdの魔力の持ち主によるもの、つまりこの魔力固有の効果…或いはその者のスキルに関係するものか…」


医師は何やら1人で考え込み始めたが、これ以上はマズいと思ったのかすぐに独り言を止め、医師らしく俺に質問してきた。


「直近で、何か悪魔の魔力を取り組むような事はありませんでしたか?悪魔の魔力と接触したとか」


「いえ…特になかったと思いますけど…」


悪魔の魔力か、凶暴化事件の時に悪魔と戦いはしたけど、別にそんな事でこんな力が発現するわけないよな…


でも実際、あの戦いの後にこの力が目覚めたんだよな、記憶にある限りでは。


でもそれ以外だとすれば…


「あ」あ


「何か思い出しましたか!?」


医師は食い込むように聞いてきた。


「いええっと…関係あるか分からないんですけど、前にロックドラゴンが出た事があったじゃないですか、その時に俺、確かあいつの足を斬って、それで落ちてきた血を…思わず呑み込んで…」


「それです!!!」


医師はうるさいくらい大きな声でそう言った。


「実はあなたに流れているd型の魔力は凶暴化したモンスターのものに似ているんです、そしてあのロックドラゴンは凶暴化を起こした元凶だった…魔力は血液を通して全身を巡るものだから、当然血液中には最も多くの魔力が流れている…」


「つまりあなたがロックドラゴンの血液を呑み込み、それがあなたの魔力と反応を起こして、aとd、2つの魔力が流れる今の状態になったと考えられます」


…なるほどな、


よくは分からないが、とりあえずあの時血を呑み込んだせいでこうなったって言うのは分かった。


その後体内でいろいろ起きて凶霧が発現したという事だろう。


「それで…取り除けるんですか…?そのd型の魔力は…」


取り除く気は毛頭ない、だが一応聞いておきたかった。


「それが…残念ながら、一度体内で循環した魔力を取り除く事はできないんです。しかし、違うカテゴリーの魔力を持ったといって、健康に支障が出るわけではありません」


「いえ、大丈夫です。それが知れたなら結構ですから」


俺は立ち上がり、医師に感謝の意味を込めて頭を下げた。


「ありがとうございました」



診察を終えた俺は、そのまま自宅へと帰った。


「おかえり、早かったわね」


中には玄関を出て少ししたところでアイラが帰りを待っていた。


今日はアイラにある話をしてもらう約束があったから、待ってもらっていた。アイラは今日特に用事がないという。


「本当によかったのか?あんた結構忙しいんじゃ、」


「本当に今日は何もないからいいの、寧ろ今日逃したらしばらく機会なくなるわよ」


「ならいいんだが」


俺とアイラは向かい合って椅子に座り、ようやくこの話を始めた。


「それで、あんたが転生した時の話、詳しく聞かせてくれよ」


「そうね、まずは…」


「転生?何の事なの?」


「!!!」


そこに突然、ミアが割り込んできた。


どうやら俺たちの会話が気になったらしい。


「お兄ちゃん!なんで他の女を家に呼んでるの!?」


「他の女ってお前なぁ…」


ミアはどうやらアイラに嫉妬しているようだ、また始まってしまったか、


「ミアちゃん、久しぶり〜」


それとは対照的に、アイラは笑顔でミアに手を振った。


「うるさいの、ミアお前の事好きじゃないの」


「あらら、まだそうなのね」


まずいな、このままだとまた争いに発展するかもしれはい、これ以上の延期だけはごめんだ。


「頼むミア、今からマジで大事な話するんだ。お願いだからしばらく席外していてくれないか?」


とはいえ、転生の話を誰かに聞かれたくはない。


あまりにバカげた話だし、そもそも転生したいのは俺だけだからだ。


「で、でも…」


「お願いだ」


俺は強く訴えかけるような目でミアを見た。


「そ…お兄ちゃんがそこまで言うなら、」


ミアはアイラを睨みつけながらゆっくりと後ずさっていき、そのまま家を出ていった。


「ふぅ、これで、ようやく話ができるな」


「そうね、にしてもやっぱり可愛いわね、ミアちゃん。私の妹にしちゃおっかな」


「変な事いうのやめろ、あぁは言っても、あいつは()()妹だ。誰かに渡すつもりはない」


「お!ブラコン×シスコンの兄妹ですか〜!?いいでござるねぇ〜」


何言ってんだこいつ、


「とにかく初めてくれないか」


「そうね、じゃあ話を分かりやすくする為に、前世から順を追って話しますか。私の、転生物語を」

次回から遂に、謎に満ちたアイラの過去が語られます。


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