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118話 まずは終わらせよう

次の日、2日後に決行される、比法戦争を終わらせる為の作戦…[凶霧(きょうむ)作戦]の準備と確認を行っていた。


凶霧とは俺の魔力を放つ力に、サインから与えられた名前…一応、スキルとして認識したらしい。


これで俺は2つスキルを持っている事になるのか、何気にとんでもない事だな。


凶霧作戦では、この凶霧のスキルを全面に使う。


俺が超越光速でフレミングの街、ペリウムのど真ん中に移動し、そこで凶霧を使い、街の中でモンスターを発生させる。


それで街が混乱に陥っている間に、サインやナスカンの戦士も街に突入する。


そしてそのまま、一晩で街を占領する。


この際、アイラやミア、セルセさんは作戦には参加させない。


自国最強格の戦士を使わずとも、中規模の街ならば簡単に落とすことができるとフレミングに思い知らせ、判断に渋っているであろう奴らに降伏を決断させるねらいだ。


そして、それを確実なものにする為に、()()を使う事になった。


「スキル、超越光速」


俺は超越光速を使って一度ナスカンに戻った。


そしてそのまま、アトミック宮殿の地下にある研究室に入った。


「準備、進んでいますか?」


そこでは、カプセルに入れられていたゴルファングを出して、サインに連れて行く準備が進められていた。


「あ、アレスさん!この通り、滞りなく進んでおります」


そう、凶霧作戦では、以前ノア様が回収したゴルファングを、エルナが封印したケンタウロスの剣と盾を装備させた上で俺が操り、兵器として使うのだ。


ゴルファングの剛力と体力を武器として使う、これなら、確実にフレミングを降伏させるのに十分な駒となるだろう。


ウイッチを逃した事により、恐らく凶霧の事自体は既に向こうにも知られている。


だが逆に考えると凶霧にモンスターを操る…それもゴルファングレベルのモンスターも操る力がある事は知られていないという事、


よって降伏に至らしめるだけの十分なショックを与えられるはずだ。


これは理論の話ではない、精神の問題だ。


フレミングを降伏させ、この戦争を終わらせるためには、奴らにどれだけ、奴らには勝てないと()()で思わせられるかにかかっている。


「あ、それとアレスさん、先程サイン軍の方からいただいたのですが、これを…」


そう言って、研究員はゾンビの仮面を手渡してきた。


「任務中、それを被れば素性を隠せるだろうとの事です」


「……………」


俺はその仮面をじっと見つめた。


「ゾンビの仮面には魔除けの効果がありますからね、凶霧作戦…私も陰ながら応援します!」


ゾンビ…死亡した肉体に[レンロウイルス]が宿ると発生し、生前の自我や知恵もなくただただ本能のままに行動するモンスター。[別名:生きた屍],


「……………」


なるほど、生きた屍か、確かに俺のことかもな。


俺はそう思いつつ、仮面を被った。


「では、今からゴルファングを凶暴化させます」


「はい、よろしくお願いします」


俺はカプセルの中にいるゴルファングの前に立った。


俺がここに来た理由も、今日中にゴルファングを凶暴化させ、俺の…引いてはサインの支配下に置かせる為だ。


俺は凶霧を発動した、薄紫の魔力が研究所に立ちこめる。


ゴルファングはその魔力に当てられ、凶暴化し、俺に服従した。


成功だ。


因みにこの魔力には、同じく研究員たちも当てられたが、全員凶暴化はしたり、それに準ずる状態にはならなかった。


どうやら俺の意思次第で凶暴化させる相手を選べるようである。


といっても、ソラナやウイッチのように耐性がある相手には効果が無いようだが、


ともかくこれで、凶霧作戦までの駒は揃った。



2日後の夜、俺は草木の生い茂った、ペリウムを見渡す事のできる崖の上にいた。


その後ろには、檻と鎖で閉じ込めたゴルファングと、数十名の戦士たちが武器を持って待機している。


皆、作戦の決行を待っているのだ。隊長からの指示があればすぐに作戦が開始される事になっている。


「すぅ〜はぁ〜〜」


俺は一度深呼吸をし、ゾンビの仮面をつけた。


「さてと…まずは終わらせよう、この戦争を」


その時、隊長からの指示が下った、作戦開始の合図だ。


俺は念の為更にフードを羽織ってから、超越光速でペリウムのど真ん中に移動した。


周りには、何も知らず日常を謳歌する人々が、楽しそうに微笑んでいる。


(…悪いな、犠牲になってもらう)


俺は凶霧を発動した。


その瞬間全員が俺の方を振り向いたが、すぐに何人かが魔力に反応し始めた。


「う、うあああああああ」


魔力に当てられて自分自身の魔力も薄く漏れ出し、やがて凶暴化した。


「きゃああああああああ」


反応しなかった一部の人は恐怖で騒然となり、パニックを起こした。


だがほとんどの人はどんどんと凶暴化していき、既に何人かが周囲の人に暴力を加える様子が見え始めた。


そしてそのまま、魔力からゴブリンやリザレインを生成した。


それらを凶暴化したのも含め住民たちに襲わせた。


武器を持たず、戦闘用のアビリティやスキルを持っていない一般市民たちは次々に殺害されていった。


「許さなくていい、これが戦争を終わらせる手段だ。さてと、もう突入して大丈夫ですよ」


俺は外で待機している戦士たちに合図を送った。

凶霧作戦、開始


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