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109話 悲劇とは喜劇の後日談

時間停止はその名の通り、10秒間だけ世界の時間を停止させるスキルである。

但し一度使うと5分間再使用が出来なくなる。

テオたちの目の前に現れたのは、ナスカンのミアを含めた5人の戦士だった。


間違いなく、βを無理矢理にでも連れ帰ろうと派遣された部隊だろう。


しかしいつの間に追いつかれたんだ…?確かにさっきだけは動きを止めたが、それまではずっと走り続けていた。


いつの間にか追いつかれていたのか…だが気配は全くしなかった…


テオたち2人に気づかれずにずっと着けていたという事か…とてつもない技術だ。


テオはミアが天才と称される訳を再認識した、そして同時に、魔力がほとんど残っていない今の状態で勝てる相手ではないとも理解した。


「何しに来た…」


「お前は黙ってるの、β、ミアたちの命令は君を連れ帰る事…だから早くミア達と一緒に帰るの」


だがそれを聞いて、βは首を横に振った。


「サインに戻るつもりはない、ボクは…ボクは兵器には戻らない」


βははっきりとそう言った。


「そう…分かったの、なら、もう一つの命令に従う事にするの…お前を殺す」


ミアは突然雰囲気を変えてそう言った。


その瞬間、周りにいた4人の戦士達はテオたちを取り囲むように動き、端末からライフルを取り出して構えた。


「これが最後の警告なの」


ミアは先程まで十二分に残していた幼さが微塵も感じられない、本物の戦士の声でこう言った。


「サインに戻るの、β」


「断る」


ミアは右手を傾け、戦士たちに命令した。


それとほぼ同時に、戦士たちはライフルで一斉に発報してきた。


すぐにβが反応し、robotを発動してそれを防いだ。


その後、すぐに左手にワイバーン、右手にイージスを発動した。


ミアはすぐに対応し、火炎放射をβに放ったが、βはイージスで防いだ。


その後βはミアへ一気に突っ込んでいき、そのままワイバーンを撃ち放った。


ミアは炎で翼を作り上げ、宙を縦横無尽に飛び回ってこれを全て躱した。


ミアとβが熾烈に争い合っている。


だが、今のβでは一対一でミアに勝つ事は不可能だろう。


それはテオも同じだった、2人で共闘しないと勝てる相手じゃない。


ここまでしてβを助けたのに、安易に倒されるなんて嫌…そう考えるのが普通だ。


だからこの状況を切り抜ける為に、2人で協力してミアと戦おう、幸い、それ以外の戦士はバリアあれば簡単に倒せる相手ばかりだ。


だから、今すぐβを助けに行こう…普通はそのように考えるはずなのに、なぜか、テオはそうという思考にはなれなかった。


もちろん、βをここで見捨てようと考えているわけではない、寧ろ、βを今すぐ助けないと思っている。


だがそこに至るまでに、テオは何のフローチャートも存在していなかった。


ただ理由もなく、思い入れもなくβを助けたい、そう考えていた。


そしてそれ以外に、テオは万が一、βが負けた後の事を考えていた。


βが負けて、サインに連れ帰られて、()()()()()()()()どうしようか…


β()()()()()()()()()()()()ら嫌だ!以上に、β()()()()()()()()()()()どうしよう…そっちの方を強く心配した。


無意識に…


それと同時に、さっきβと2人で逃げていた時、あの時も、テオは無意識に安心していた事に気がついた。


「俺は…」


だが今それを考えている猶予はなかった、


既にテオの周りはライフルを構えた戦士に囲われていた、ここでテオも始末するつもりらしい。


だが所詮コイツらは相手ではない、問題なのはミアの方だ。


「このままだとβは確実に負ける…早くどうにかしないと…」


テオはβとミアが戦っている所まで一気に迫っていった。


戦士たちはその後を追うようにライフルを発射したが、全てバリアに阻まれた。



一方、やはりテオとの戦いでの疲労が残っているβは、ミア相手にかなり苦戦していた。


ミアがワイバーンの銃撃を躱した後に放ったバーストヒート、


これをイージスで防ごうとしたが、防ぎきれず遠くまで吹き飛ばされた。


「あと少し」


そこに、バリアの一部を短剣状に変化させたテオが駆け込んできて、ミアの体を切り裂いた…


「!」


…だが、その一撃は体を炎に変化されて無効化され、そのまま右手をテオのバリアに触れた。


その手には、完全に一定量の魔力が込められていた。


「こうすれば、バリアは突破できるの」


そのまま、ミアの右手はバリアをすり抜け、テオの目の前に迫っている。


そのまま、ミアは火炎放射を発動しようとしている。


「………!!!!!」


その時、ガルーダを発動したβが上からエクスカリバーで切り掛かってきた。


どうやら右手のイージスを解除し、それと入れ替えたようである。


「ちっ、」


ミアはすぐに体を炎に変化させて空中に飛び散り、これを回避した。


その後、βが着地すると同時にミアは少し離れた位置で姿を表した。


すかさずβはワイバーンを発射した、だがこれも、ファイアシチュエーションにより無効化された。


「まぁ、大した事はないの、思っていたより弱ってる」


β達に追いついた戦士たちも、再びテオたちにライフルを構えた。


「やめるの!」


だがそれを、ミアは強く引き留めた。


「弱ってると言ってもまだお前たちで対象できるレベルじゃないの、死にたくないならすぐに下がって、トドメの準備をしろの」


「り、了解しました…!!!」


戦士たちはライフルを構えたまま、大人しく殺気を消した。


これは正直ありがたい、無駄に気を散らさなくてすむ。


とはいえ、想定以上に勝ち目が薄いのも事実だった。


ミア…彼女は全快のテオたちでも一対一では相打ちが妥当と言えるレベルだ。


いくら2人でとはいえ、ここまで疲弊している今の状態では、勝てる見込みはかなり薄いだろう。


だが、それでも勝つしかない、それが当然だ。


だから考えろ、どうやって勝つ…?


(俺は絶対に勝たないといけないんだ!!!)

どうやって切り抜ければいいのだろうか…


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