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103話 β対テオ 

アジエルはその戦士に、自身の聞きたい事の全てを問い詰めた。


その結果、その戦士の居場所を聞き出す事ができた。

βがテオに、突然勝負を仕掛けてきた。


無表情に、淡々と、でもどこか感情的に、


少なくとも、命令されての行動とは、明らかに違っているように感じた。


テオは少しだけ安堵できた、自分との接触か、それともリフレクションが発動した影響か、とにかくβ自身の意思や想いが蘇りつつある調光だとテオは信じた。


だからテオは、迷わずこの勝負を受ける事にした。


「あぁ、そうだな…決着を着けよう」


テオはそう言って、バリアを短剣状に変化させ、βへと切り掛かった。


βはその最初の一撃を避けると、窓の方に飛び跳ねながらワイバーンを撃ち放ってきた。


         パリーン


しばらく室内で争っている内に、お互い室内の狭さを邪魔に感じ、窓ガラスを突き破ってジャリの中央まで移動した。


「うわーーーー」「キャーーーー」


突然の出来事にその場にいた全員が一度驚き、更に飛び出してきたのがテオだと言う事に気がついて2度驚いた。


「…街まで出てしまったか」


「そうね、でも、誰にも邪魔はさせない」


βがそう言うと、全身を白く眩い光を放ち、次の瞬間、地面から青く半透明な長方形の箱が出現した。


「アビリティ、[アンフィテアトルム]、これで誰の邪魔も入らない」


そして、βはrobotを発動し、鉄の巨人に姿を変えた。


改めてあの姿を見ると、本当に、生物然の欠片もないなと思ってしまう。


戦争のため、テオを倒すために作られた、ただの兵器。


けどそうさせられているのは、何の関係もないただの少女だ。


「だから助ける、絶対にお前を!」


(それだけが今、俺が戦士として戦う理由だ…)


これまでの戦いで、テオはβを完全に攻略している。


だがそれは向こうも同じ、そろそろこちらの動きを読まれていると考えるのが普通だ。


それに前回と違いバリアの弱点が既に見破られている、βがあの突破条件を潜り抜けられないとは思えない。


「…そうだな、改めて思えば、しっかりと戦って決着を着けるというのもまた、本望かもな」


テオは改めてβへと駆け込んでいった。


βは左手にエクスカリバーを、右手にイージスを発動し、バリアの攻撃に備えた。


テオは一旦βの真横に回り込み、2つバリアの破片を投げた。


βはそれをイージスで防ぐと、即座に大きく右手を振りかぶらせ、エクスカリバーを振り下ろしてきた。


「っ、、」


テオはその衝撃を全てバリアで受け止めた。


攻撃自体は完全に防げている、だがテオはすぐに気づいた。


この剣先には明らかに魔力が込められていて、しかもその量は完全に一定だ。


バリアの突破条件が満たされている、このままだとあと2秒もしない内に攻撃が当たる。


そう判断したテオは即座に剣に押されている部分から左のバリアを全てテオから切り離し、強制的に斬撃を空ぶらせた。


そしてすぐにその場から離れ、バリアを元に戻した。


但し戻す道のりに空ぶって地面を押し付けているエクスカリバーがある。


破片は剣を通り抜けたままエクスカリバーを破壊し、テオのもとに戻った。


その後テオは一度高くジャンプし、上空から破片を投げ飛ばそうとした。


その時、βは破壊されたエクスカリバーをすぐに仕舞い、そして即座に左手を前に突き出したままエクスカリバーを再度発動した。


左手が剣に変化して一瞬で伸び、まだジャンプの勢いが残っているテオのバリアに突き刺さった。


勢いに乗って移動するテオを引き摺るようにバリアを擦っていった、その間、エクスカリバーには一定量の魔力が流されている。


「!!!」


そのままバリアの突破条件を満たし、剣がバリアをすり抜けた。

アンフィテアトルムに剣が突き刺さり、そのまま右に大きく振りかぶってテオの首筋へと近づけていった。


「っ、、、」


テオは急いで地面に投げ飛ばしたバリアの破片を手で掴み、その勢いでこの斬撃を避けた。


テオは着地すると、そのままバリアの破片を投げ飛ばした。


だがイージスに防がれ無効化された。


「っ、やはりあの盾、厄介だな」


テオが破片を戻したと同時に、βは口を開いてそこから砲身を突き出し、カタストロフィのチャージを始めた。


それがどれだけ厄介な所業かはテオは十分に理解している。


あのファイルが正しければ、カタストロフィの最大チャージ時の威力は12.552TJ、いくらバリアがあったとしても遥か後方に吹き飛されるには十分すぎる威力だ。


あの平原で最大チャージ時のカタストロフィを受けたが、あの時は発射位置から着弾位置までの高低差があったと考えられるし、何より受けた位置が射程距離内ぎりぎりだったから実際の威力はかなり落ちていた。


だから何なく受け止める事ができた、だが今回は違う、


あの時に比べれば目と鼻よりも近い距離、そしてアンフィテアトルムの壁もある。


こんな状況であれをまともに喰らえば、魔力が一気に消耗して最悪死にかねない。


だからこの後βが何をしようとしているか分かっていても、テオはβに突っ込んでいく必要があった。


βは破片を数回受け止めて形状が変形し始めたイージスを新しいものに変え、と同時にエクスカリバーを大きく振り上げてきた。


テオは瞬時にそれを躱し、そこにバリアの短剣を引き摺らせてエクスカリバーを破壊していくと、そのままrobotの胸部まで飛び上がり短剣を突き出した。


「!!」


その瞬間、βはチャージ途中のカタストロフィを撃ち放ってきた。


まだ完全ではなくてもある程度はチャージされたカタストロフィを至近距離で受け止めきる事はできず、テオはその場から吹き飛ばされてしまった。


だがすぐにテオは空中で翻って短剣を地面に突き刺して引き摺り、どうにか衝撃を抑えた。


「はぁはぁはぁ」


(こうなる事は…分かっていた、けど、もっと魔力を消耗させられていたかもしれない…)


βは再びエクスカリバーを新しく発動し直した。


巨大な剣と盾を両手に構えたβが、巨人の如くテオの前に立ちはだかっている。


テオはゆっくりと立ち上がり、思わずこう呟いた。


「robot、一度は見破ったつもりだったんだがな、やはりそう上手くはいかないか」

次回、テオvsβ、決着です…


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