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9話 考慮の余地

その頃、凶暴化したモンスターを撃破する任務を達成するため森の奥深くへと向かった男女4人が、討伐対象となるモンスターの目の前で立ち尽くしていた


「ソラナさん、本気でやるんですかこれ、相手はゴルファングですよ」

その内の1人が、一行の先頭に立っているソラナという女性に忠告している


一行の目の前にいるのは、ゴルファング

日光を遮れる大きさをもつ森の木々をも軽々と持ち上げられる巨大さと上腕二頭筋を持つ、ナスカ大森林に生息している野生のモンスターの中でも、最も凶暴且つ凶悪とされているモンスターである


「それでも、これは任務よ」ソラナは静かにそう言った


目の前にいるゴルファングには凶暴化したモンスターの特徴である、紫色の魔力が僅かながら常に体から浮き出ているのが確認できた、もしこれほどのモンスターが凶暴化したまま暴走して街の中に侵入すれば、ロックドラゴン襲撃に匹敵するほどの脅威となる可能性もある。いや、森の各地で凶暴化したモンスターの撃退のために多くの戦士が国を留守にしている現状を考えると、それ以上に危機的状況になるかもしれない


だから任務の命令が狩猟ではなく討伐…即ち抹殺なのだ


「私たちがやらないと、王国の大勢の人の、危険が危ない!」

「危険が危ないって何ですか?」


声高らかに意気込んだのに水刺されたんだけど


「うるさい!私たちがやるしかないの!大丈夫!!!」


そう言いながら端末から2本の剣を取り出す


「私たちならやれる!そのために、国王は私たちを使われた……いくよ!私たちが、こいつを倒すの!!!」


両手に持つ剣を強く握って、私はゴルファングに向かっていく

後ろの3人も、なんやかんやでそれに賛同して戦ってくれた


勝つ!勝たなきゃいけないんだ!私たちの王国を、守るために





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「待って下さい!ノア様!」

私はノア様の付き添いの弁護士、ルキナ。今私は小走りに、ノア様を必死に追いかけています


アイラが囚われている地下牢に直接面会に向かうと、ノア様が突然言い出したので、それを止めるためです


「ノア様!アイラは、敵国のスパイかもしれない女なのですよ!?妙なことは辞めて下さい!どうしたんですか!?」


「君はおかしいと思わないかね!?国を危機から救った英雄が、なんの証拠もなしに地下牢に囚われているこの状況を!」


「確かになんか変ですけど、じゃあどうだっていうんですか!?」


「わからない。だから、今からそれを確かめにいく」


そう言ってそのまま私の制止を振り切り、地下牢へ向かわれてしまった


ほんと、一度何かしようとすると絶対にやめないんですよね、あの人は




私は、アイラ

私は今、敵国からのスパイ容疑で、宮殿の地下にある地下牢に囚えられている


牢屋の床にタイルなんかは当然敷き詰められておらず、天然素材100%の砂利のカーペットと、硬すぎで一切熟睡できない供え物のようなベット1つと、世にも小さなトイレがポツンと置かれているだけ


当然窓などはないから日光なんて入ってこない、そもそも明かり自体、地下牢の所々にろうそくが規則的に安置されている程度で、今はもう慣れてきたけど、ここに連れてこられた当初は明かりが少なすぎて前が今一見えていなかった程だ


だから昼と夜の区別も、正直ついてない


更には柵の前で座っている見張り2人に、交代で常に見張られているというおまけつきだ


まぁその気になればこの程度の檻、簡単に抜け出せるんだけど、そんな事をしたら私がスパイって言われて言い逃れができなくなっちゃうからね


まぁその内、王子的な救世主的なのが現れて、誰か助けにきてくれるでしょう


それまで気長に待っていようなどと考えていたら、早くも助けがきたようだ


現れたのは、長老の男性だった

重力に過度に従っているかのように真下に細長いお髭と、黒いスーツを身に纏うその姿は、一目みただけで紳士と思ってしまうほどに整ったような印象を受けた


「誰?貴方。私の無実を晴らしてくれるの?」


「ノアさん!?」「どうしてここに!?」見張りの2人がちょっかいかけてきやがった

ノア…それがこの人の名前なのね、もの凄い魔力を感じる、間違いなく、かなりの実力者…


「私は監視つきであれば、どのような人物とも面会できる権利を持っていたはずだが」


「それは…しかしこいつはスパイかもしれなくて…」

「大丈夫だ、国の事は話さん」


監視達が手を引きだした、どうやら私とこの人の面会が許されたようだった


「では先ず1つ聞かせてほしい、君は、本当にスパイなのか?」


出た、この質問。今の私の立場だと、案外一番困る質問、けど私は、この質問の最適解を知っている


「ここで私がNOといえば、貴方はそれを信じるの?」


そう、これがこの質問の最善手、どうせなに言っても疑われるんだから、これが1番答えとしてはいい


どう返してくるかと好奇心も交えて気になったが、その答えは以外なものだった


「…………あぁ、信じよう」


彼は至って真面目な顔でそう答えた

正直、予想外だった。素直に私を信じようとしてくるなんて…この人なら、協力してくれるかもしれないと思った、私をここから出させてくれると思った、この檻から、出してもらえると思った。そう考えると、ニヤケが止まらなかった


「それなら、今すぐここから出してくれるんですか?おじいさん」


「それはできない、私個人がいくら君を信じたとしても、国が君をスパイだと疑う以上は私もそれに従わなければならない、それがルールだ」


「そう………」


「だが…君の無罪が証明されるよう、可能な限りの努力を費やす事は出来る。だから、君にもうひとつ質問させて欲しい…君は我が国に入国して、なにをするつもりだ」


これは、なんとも都合のいい話しね

スパイ容疑のある私に単独で、そしておそらく無許可で面会が出来るほどの権力


それほどの権力があるこの人のこの口振りからして、このままなにもしなければ私はスパイという事にされ、恐らく法に殺される。けどこの人なら、この状況を打開させてもらえるかもしれない、命づななしで崖にしがみつくくらい危機的なこの状況から…だったらこんなの、悩む理由もわかんないわね


「別に、ただのんびりと、スローライフを謳歌するつもりよ」


「そうか…なら、私も答えは決まったな。私に任せろ!」

アイラは果たして無罪なのか…評価・ブクマよろしくお願いします!

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