朝焼けが終わる頃
人気のない道の駅
二色が繰り返すタイル
自販機の明滅する灯りに
集う虫達が森に帰る頃
山の稜線は茜色に染まる
道路は疎らで
時折のテールランプ
尾を引くと際立つ藍色
届かない空は
次第に青い色を蘇らせ
夜は地平線へと退いていく
赤い雲が流れている
道沿いにふきのとうの花
咲き乱れている
まだ冷たい空気の中を
踏み出せば
白い息と共に体は名前を失う
それが心地良くなる時間
徐々に影が
世界に生まれていく
雲が色を失っていく
時に晴れ空
雨雲が覆う日もあるから
誰でもない誰かになること
それが必要になること
噛み締める旅をする
そうして何時しか
しっとりとした朝の香を知る