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国王陛下と神殿長と女神様方と

 「「も、森の精霊様!!」」


 「あ、挨拶はよいぞ。

  我も今日からカケルと

  共にここに住まうことに

  なったのじゃ。

  よろしく頼むのじゃ。」


端の方で小天狗様を見つめている、

ソフィさんの目が潤んでいる。

後で聞くと、

エルフ族には森の精霊様は

神様より上の信仰の対象らしくて、

実際にお会い出来た事に

驚く以上に感激したそうだ。


俺はシロミズチ様に手を取られて、

アイラさんとの間に立つことになった。

エレンさんとアイラさんは

俺の陣羽織の刺繍模様を見て

驚いていた。




馬車が玄関前に着いて、

ノブマサ隊長が戸を開いた。

中から煌びやかな衣装を羽織った、

ザ・王様って感じの恰幅の良い方が

降りてこられた。

馬車からは続いて、

綺麗な衣装を羽織った女性が

ノブマサ様に手を取られて

降りて来られた。


お二方とも、数歩歩んだところで、

びっくりした表情で

固まってしまった。


一時の間の後に、お二方ともに、

その場に両膝をついて首肯された。


 「お初にお目にかかり、

  大変光栄に存じます。


  余、・・・私は

  この国を治めております、

  バルザード・ハイドランドと

  申します。


  女神様、森の精霊様に

  お会い出来る日が来るとは

  夢のようでございます。」


 「お初にお目にかかります。

  この国の神殿長を務めております、

  エレノア・バイエルと申します。


  我が国の神殿の記録にも

  女神様、森の精霊様と一度に

  お会いするような事例はなく、

  身に余る光栄と存じます。


  どうか、ご尊顔を

  もう一度拝謁させて

  頂いてよろしいでしょうか。」


 「うむ、

  我は、この湖の守り神である

  シロミズチだ。


  堅苦しい挨拶は抜きにして良い。

  森の精霊様も等しく、この辺りに

  顕現されておられるのだ。


  実は、ここの聖女エレンと

  アイラには申したが、

  この湖の周りには聖域の結界が

  張ってあるのだ。

  それゆえ、我も森の精霊様も

  このように顕現することが出来るのだ。


  我はあいにくこの湖から離れることは

  許されておらぬ身なのだ。


  ここでしか会えぬが、

  それで容赦願いたい。」


 「もったいなきお言葉、

  拝謝の念に堪えません。

  

  ご尊顔を拝謁できることだけでも

  光栄でございます。」


小天狗様の方にお二方の目が向けられた。


 「うむ、我もこの森の精霊として

  この辺りに顕現しておるのじゃ。

  我も堅苦しい挨拶は抜きでよいのじゃ。


  それよりも、其方達ここまで

  かなり無理をしてきたようじゃな。

  それ、 大回復 っと。


  ここには様々な美味しいものが

  あるのじゃ。

  共に味わってみぬか?」


長旅と強行軍の疲れが癒えたのか、

お二方は顔を見合わせると、

改めて小天狗様に御礼を述べて、

中に入っていただくこととなった。


 「あ、お初にお目にかかります。

  この拠・・・屋敷の主人の

  カケル・クラマです。

  本日は遠路お越し頂きまして

  ありがとうございます。


  狭い屋敷で恐れ入りますが、

  少しなりとも御休息頂けたら

  光栄に存じます。」


この拠点は最初はココと薬草士の拠点として

共同購入しようとしたのだが、

ギルドのダガーさんが買い上げて、

俺に一方的に押し付けるようにして来たから

ココは同居人として一緒に調合の

研究をしてくれることになっていた。


いきなりメイドさんのいる拠点の

主人になったから実感は全くないけど。



 「(そち)(あなた)が、

  あのお方の。。」


 「確かに、英雄九郎義経様のご尊顔の絵が

  残っておるが本当によく似ておいでだ。」


 「神殿にも英雄様の像がございますが、

  本当によく似ていらっしゃいますわ。


  今日は何て奇跡の重なる日なのでしょう。

  女神様にも森の精霊様にも、

  この国の、いいえ、この世界を

  救ってくださった英雄様の御子孫様にも

  お会い出来るなんて。」


何となくお二方の目が潤んでいるように見えた。

とりあえず、ザラさん達のお陰で

準備も整っているので、中に入って頂いた。


 「んっ?

  えっ?ここで破邪の舞を舞うのですか?

  でもこの服装で?

  祈雨の舞の方ですか。

  分かりました。仰せのままに。」


 「皆様、今女神ヘスティア様から

  舞を舞うように仰せつかりました。


  後ろのホールで舞わせて頂きます。

  おそらく、女神様が降臨されるかと。」


俺がそう言って一礼をしてホールに戻ると、

背後で何と言うことでしょうとか、

色々小声のざわめきがあった。


食堂の前のホールに戻って、俺は薙刀を

亜空間収納から出して、意識を集中し始めた。


俺の周りを騎士団の皆さんが取り囲むように

円になって立っている。

それでも舞を舞えるくらいのスペースがある。


意識を切り替えて、無心のままに

祈雨の舞を舞い始めた。


優雅に天に向かって祈るように、

思いを突き上げるように、

時に柔らかく、時に鋭く、薙刀を振っていく。


気がつくと、薙刀を振るう度にホールの中に

白い霧のようなものが立ち込め始めていた。

足元が霧で霞む中、ゆったりとした舞を

舞い終えると、予想通り、ホールの中央の空中から

女神様の上半身が顕現していた。


 「「「「おおおっ!!」」」」


見ているもの全てが思わず声をあげるほど、

神秘的な女神ヘスティア様のお姿がそこにあった。


急足で王様と神殿長様と聖女様方が駆け寄って

両膝をついて頭を垂れていた。


 『長旅、ご苦労様でしたね。

  バルザード国王、

  私はヘスティアとでも呼んでくださいね。


  ここはシロミズチが話していた通り、

  私の使徒であるカケルの助力もあって

  聖域となっているの。


  ここなら私もカケルの舞の

  神気をおって顕現できるの。

  

  私とシロミズチからのお願いなのだけど、

  カケルは自由にさせてあげて欲しいの。


  あなた達が今確信した通り、カケルは

  あの方の子孫であっているわ。

  でも、私の使徒でもあるの。


  この世界で色々とカケルを通して

  頼み事をすることもあるかもしれないわ。

  どうかその時は少しでもいいので、

  カケルの力になっていただけると

  嬉しいのだけど、頼めるかしら?』


 「女神ヘスティア様からのお願いであれば、

  この身命にかえても、

  尽力させていただきます。

  何より、かの英雄様の御子孫様となれば、

  尚のことでございます。」


 「私達神殿に仕えるものも皆微力ながらも

  お力添えさせて頂きとうございます。


  女神ヘスティア様、

  恐れながら、ご尊顔を拝謁させて頂きたく

  お願い致します。」


 『気楽に接してくれていいわ。

  私もたまにここに顕現させてもらって

  一緒に甘いものとか頂きたいと思うの。

  今日は無理だけど、

  また今度お付き合いしてね。』


そういうと、ヘスティア様は輝くような笑顔を

振りまかれた。

神殿長も聖女様方も、とろけてしまった。


 「あ、女神ヘスティア様、

  あのダンジョンなのですが・・・」


 『カケルの思うままに行動なさい。

  小、・・森の精霊様もいらっしゃるのだから、

  心のままに行動なさい。

  それはそのまま私の意思でもあるわ。

  躊躇うことはないのよ。わかったかしら?』


 「はい、仰せのままに。」


 「うむ、我には分かるのじゃ、カケル。

  其方、話に聞いたダンジョンに

  行くつもりなのじゃろう?


  我も同行してやるのじゃ。

  我は其方のそばであれば

  どこでもついていけるのじゃ。」


おおっ!精霊様と共に行けるのか?

英雄様の御子孫と一緒行けるのか?

と騎士団の方々が少し騒いだ。

 

 「鎮まれ!」


ノブマサ隊長の低く短い一言で静寂が戻った。


 「女神様、

  私達神殿のものがこの横に住まわせて

  頂きたいのですがお許し頂けますでしょうか?」


 『気にしなくいいいわよ。

  シロミズチが認めたことは私も認めたことと

  思ってちょうだい。


  私もこの世界を見ているとはいっても、

  実際に見聞きしているわけではないのよ。

  出来れば、いろいろなお話を聞かせて欲しいわ。

  神殿にも神気が高まれば、

  降りれるようになるから、

  その時はご一緒してね。』


 「はい、大変光栄に存じます。

  今日より聖化が高まるよう務めます。」


 『そうね、あまり無理はしないでね。


  さて、バルザード国王。

  あのダンジョンだけど、

  一つ謝らせて欲しいのだけど。』


 「滅相もございません!我らの精鋭部隊で

  すぐにダンジョン討伐を致します。」


 『そこなのよ。あれはダンジョンではないの。

  私以外の神からの侵略行為、そうね、

  あなたたちの言葉で言えば、

  異なる世界からの進軍を受けたのと同じなの。

  私の結界を破って入ってこられたほどだから、

  よほど力の強い神が向こうにいるはずなの。


  だから、その神との戦いには

  私の使徒である、カケルを差し向けて欲しいの。

  

  ただ、今のカケルだと勝てるかどうか怪しいの。』


 「女神様、カケル様にはこの精鋭部隊で

  助力させます。」


 『ごめんなさいね、

  それでも相手の数が多いのよ。

  ダンジョンに浮かぶ島があったでしょう?

  あの島の中に異なる世界に繋がる門が

  いくつかあるのよ。


  私の方で封じられる世界の門は

  閉じたのだけど、閉まらなくなっている

  ところがあるの。きっとそこには門番がいるわ。

  

  カケルにはその門番を

  討伐してもらう必要があるの。


  そして、その門番だけど、

  きっと世界の破壊を楽しむ邪神なの。』


 「それは厄介なのじゃ。

  今のカケルではまだまだ邪神に勝てんのじゃ。

  うむ、女神ヘスティア様。

  そのダンジョン内に魔物は

  たくさんいるのじゃろうか?」


 『ええ、日に日に増えていると思うわ。』


 「うむ、ならば決まりじゃ。

  カケル、きついがダンジョンの魔物討伐を

  一人でやり続けるのじゃ。

  それが其方に足らぬ実戦の積み重ねとなり、

  邪神討伐に向けた鍛錬になるのじゃ。


  もちろん我もついていってやる。

  心強い討伐隊の者たちもおる。

  其方が戦うのは強い個体じゃ。

  他の個体は討伐隊と我で受け持とう。


  よし、時間が惜しいのじゃ。

  腹を満たしたら、早速ゆくのじゃ!」



俺、邪神とかと戦うのか?

って、ちゃんと戦えるのか?

負けられないのは分かるけど、

責任重いな。気分も重いよ。



全く自信が持てず、不安感に襲われるカケルであった。  

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