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好きの重さ 〜僕の初恋〜

好きの重さ、王様目線になります。

幼い王子の選択を、見守ってあげてください。


 恋をした。

7歳のとし、

僕は初めてこっそり王城を抜け出して、

城下町に下りてみた。

知らないものばかりで

とても楽しかったのを覚えている。

そんなときだ。

君と出会ったのは。

くるくると癖のある栗色の髪の毛が

ぴょこぴょこと楽しげに跳ねていて、

それまでの僕の周りには

綺麗に着飾った女の子しかいなかったから

とても新鮮だったんだ。

だから最初は物珍しくて話し掛けた。

すると君は本当に可愛い笑顔で

僕に応えてくれて。

多分、その笑顔にやられたんだと思う。

次に会う約束を取り付けて、

浮き立った心のまま王城に帰った。





 すぐに会いに行きたいけれど、

意外と僕は忙しい。

さっさと執務を終えて君に会いに行きたい。

君は待っていてくれるだろうか?

きっと待っていてくれる。

そう思うと俄然やる気が出た。





 8歳、僕に婚約話が持ち上がった。

わかってたよ、だって王子が

結婚しないわけにはいかないもの。

でも本音を言うならば、

君と結婚したかったんだ。

でもそんな我儘は許されない。

王子として生まれたからには、

自分勝手な思いで

簡単に行動しちゃいけないんだ。





 9歳。

君に好きだと伝えた。

君は一瞬、すごく驚いた顔をして、

それから今まで僕が見た中で1番の笑顔で

うん、私も大好きだよって言ってくれた。

あのとき、最後に思いだけは伝えたくて。

もう会わないって決めて伝えたのに。

あの笑顔を見たら、もういっそのこと

君と逃げてしまおうかとさえ思った。

でも、そんなことして誰が幸せになるだろう?

きっと君も僕も、この世界中の誰ひとりだって

幸せになれない。

だから僕は、

やっぱり君と会うのを最後にする。

これ以上会ったら、

もうこの好きが抑えられなくなってしまうから。

君にこの重たい好きを背負わせるくらいなら

僕は君に恨まれたほうがいい。





 今日は成人祭だ。

君も、今日で成人だな。

王妃はとても素晴らしい女性だ。

賢く、美しくとても優雅で。

僕は王妃のことを愛している。

でもね、時折君のことを思い出すんだ。

あの可愛らしい笑顔を。

君に好きだと伝えたのに、

それから会いに行かなかった僕には

君のことを考える資格なんて無いのに。

それでも元気かな、

ああやって笑ってるのかな

って気になって仕方がないときがある。

ごめんね。

もう君に伝えることは叶わないけど。

恨んでくれて構わない。


僕の初恋の人。

大好きだったよ、ありがとう。






今日でこの重い大好きは

美しい思い出になるだろう。

これはこれである意味ではハッピーエンドなのかもしれませんね。

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