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虐げられた令嬢とカエル辺境伯  作者: 秋作


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物語のつづき~呪いが解けた時、国は滅びる~

 

 様々な困難を乗り越え、女の子はようやく女神に会うことができました。

 女の子は愛する夫のために、女神に呪いを解いてくれるように頼みます。

 美しく、そして優しく愛する人の為に命をかけるその姿に、女神は心を打たれました。

 何よりも昔うしなった自分の娘にそっくりな顔をした女の子のことがとても気に入ったのです。

 女神は女の子に呪いの解き方を教えてあげました。

 ただ、呪いを解く条件として、一度国王陛下に会うよう女の子に言いました。


「近々国王は結婚式を挙げるようにそなたに言うてくる筈じゃ。それに従い結婚式を挙げるが良い。そこで国王陛下に妾の伝言を伝えてほしい」

「……」

「そのような顔をするでない。国王がお前に何かしようものなら妾がちゃんと守る。安心して国王の下へ向かうがよい」


 女神は神々の間でしか作られない極上の絹のドレスを女の子に与えました。

 結婚式にはそのドレスを着て欲しい。

 女神の願いに、女の子は嬉しそうに頷きました。


「女神様ありがとうございます。このドレス、大切にします」



 女の子は女神に教えられた通り、夫であるカエル辺境伯の唇にキスをしました。

 そして心を込めて「愛している」と告げました。

 その瞬間、カエル辺境伯はとても美しい青年に姿を変えました。

 カエル辺境伯はもうカエルではなくなったのです。



 ある日女の子と辺境伯は王様からの命令で、教会で結婚式を挙げることになりました。

 女の子は女神様から伝言を伝えて欲しいと頼まれていたので、王様の命令に従うことにしました。

 王様は女の子に無実の罪をかぶせ、捕らえる気でいました。

 騎士たちに囲まれてしまった女の子ですが、彼女は王様に言いました。


「女神様から伝言があります。今度はお前が辺境伯に代わってカエルになるが良い、だそうです」


 女の子がそう告げた瞬間。

 王様の顔はカエルの顔になってしまいました。

 悪い騎士たちも烏になったり蠅になったりして、教会は大騒ぎです。

 さらに間の悪いことに、敵の軍勢が王国に攻めてきてしまいました。

 王様はカエルになり、さらに騎士の多くは蠅になってしまった為、国は一夜にして滅んでしまい、今まで貴族だった人々は平民になってしまいました。

 女の子に意地悪をしていた継母や姉も同じです。

 彼女たちは敵国の貴族の下働きとなり、働かされる毎日です。


「ちょっと!あんたあたしの洗濯物しといてって言ったでしょ!?」

「何であたしがあんたの仕事までやらなきゃいけないのよ!?」

「あんたの妹は素直にやってたわよ!!本当に使えないわねっっ」


 姉は元使用人である洗濯係の女と喧嘩をする毎日。

 そして継母も料理人夫婦と仕事を押しつけ合う仲になっていました。

 一方女の子の父親は、女の子を連れ戻すために旅へ出ました。

 空腹に耐えながら、馭者の老人と共に険しい山道を歩く毎日。馭者の老人は父親を女の子の元へ連れて行く気はさらさら有りませんでした。

 やがて父親は山賊に襲われ身ぐるみを剥がされた上、崖から突き落とされ、殺されてしまいました。

 その時、一緒に居た筈の馭者の姿はなかったそうです。



 ある日、女の子の姉は、木こりの男に仕事を押しつけられそうになりました。

 薪を割る鉈を押しつけられ、姉は烈火のごとく怒りました。


「何でこんなこと私がしなきゃいけないの!?」

「お前の妹は素直にやってくれていたのにな。お前は本当に使えねぇ女だ」


 がっかりとする木こりに姉の怒りは頂点に達してしまいました。

 そして彼女は鉈を振るい上げます。

 薪に向かって振り下ろしたのかと思いきや、彼女は木こりの頭にそれを振り下ろしたのでした。



 それから姉の姿を見た者はいませんでした。

 屋敷から少し離れた所にある丸太小屋の前には、木こりが頭から血を流して倒れていたそうです。


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