物語のつづき~幸せな結婚生活~
ガリガリに痩せていた女の子は、まともに食事をできるようになってから、頬もふっくらとして、体つきも女性らしくなってきました。
髪の毛は絹のように艶やかで、目も澄み切ったサファイヤのようです。
日に日に美しくなる女の子に、カエル辺境伯はひそかにときめきを覚えていました。
自分の顔を見て嬉しそうな表情を浮かべる女の子。
斑点だらけの自分の手をとって、散歩に誘ってくれたり、頭に出来たイボも気持ち悪がることなく、こまめに薬を塗ってくれたり。寝不足気味だった時には薬を煎じてくれたり。
自分の為に料理長と共に手作りの焼き菓子を作ってくれたこともありました。
彼女と過ごす一日一日が信じられない程幸せで、泣きたいくらいに嬉しくなってしまう。
身内以外の人間は、自分の顔を見たとたん、嫌悪が露わだったし、笑顔も引きつった愛想笑いの人が殆どでした。
だから未だに信じられないでいるのです。
ああ、こんな綺麗な娘が自分のお嫁さんなんだ。
しかも、自分のことを怖がらずに、心の底からの笑顔を向けてくれる。
カエル辺境伯はとても幸せでした。
彼女がお嫁に来てくれて本当に良かった、と心の底から思っていました。
大切にしたい。
守ってやりたい。
彼女に相応しい夫でありたい。
けれども鏡にうつる自分の姿を見て彼は思うのです。
彼女にひきかえ、自分は何と醜いことか。
カエル辺境伯は嘆きます。
どんなに努力をしても、この姿を変えることはできない。
この姿は呪いだ。
呪いは、解く方法が分からなければ、永遠に解けることはないのです。