8 魔族について
「っはぁ……。」
スレートさんは深い溜息をついた。
あ、なんか聞いちゃいけない話題だったかな。
「そうですね…残り1割はいわゆる魔族という奴らです。」
スレートさんの目に軽蔑の色が浮かぶ。
あまり、好ましくないようだ。
スレートさんは再び歩き出し、私達は着いていく。
「魔族は呪縛魔法を得意とする、精霊に嫌われた種族です。」
基本第二位精霊と一般人は契約できますが、魔族は精霊に嫌われているので、精霊を介しての魔法は使えない。
ただし、無理矢理精霊を短時間だが使役すること、人と契約している精霊を奪って使役すること、契約を本人達の意思関係なしに解除することが出来るらしい。
「中でもよく狙われるのは闇属性ですね。
魔族が闇属性を多く使うのに対し、我々人はあまり光属性を有しておりません。」
多くの水属性や火属性では正面から戦うのは、明らかに不利らしい。
属性にも相性がある。
時と聖は例外だが、
闇は光に弱い。水、火、地、風には強い。
一方、光は火、水、地、風に弱い。だが闇には強いようだ。
「普通に生活するには落ちこぼれだけど、いざと言う時頼りにされるのは光属性、てことか…。」
ネコが後ろで呟く。
ハクジが、握っていた手にきゅ、と力を込めた。
「僕はハクジに強いけど、嫌われ者になりやすいんだよ…。」
闇属性って言うだけで、と隣で聞こえた声に反応する。
「ニビは自分の仲間が無理矢理使われて悲しい?」
「そりゃね。
魔族に無理矢理使役されたら、解放されても第二位精霊はすぐに現世にいられなくなる。」
第一位精霊は分からないけど、第二位精霊だと契約自体切れやすくなる。
精霊達が1番望んでいない結果になる。
「…それは僕も嫌だよ。
不本意だけど闇に同意する。」
「光からの同意なら要らない。」
ハクジの一言にニビが突っかかる。
ハァン!!?、とハクジがキレるが、ニビは華麗にスルーして、
私の空いていた方の手を掴んだ。
「僕にはミユがいればそれだけでいいから。」
ふわ、と造形のいい顔が綻ぶけど、いざとなれば人なんか殺せるんだから、という意思も感じられてぞく、とする。
「種族の話はもういいでしょう。」
ある大きな建物の前でスレートさんが足を止めた。
「この建物は学び舎です。
青眼の、スーベリィ入り確定の成人前の子供が勉強する場所。
後はここで教えて貰ってください。」
こちらからは見えませんが、奥の通路からスーベリィ共通の宿舎があり、近くに別の神殿もある、と最後にスレートさんが教えてくれた。
入る前に精霊達を精霊界に戻し、指定の服を渡された。
教官室へ向かった後着替えなきゃいけないらしい。
建物の中に入ってスレートさんにお礼を言えば、いいですよ、と人のいい笑顔を浮かべてくれた。
一時お別れし、教えて貰った教官室へ私達3人は向かった。