7 精霊と種族
「えー、では精霊について説明しますね。」
神殿から少し離れ、歩きながらスレートさんの話を聞く。
精霊には第三位精霊、第二位精霊、第一位精霊、最高位精霊の4つに別れている。
契約して使役できるのは第二位精霊から。
光としてしか目視確認できないのが、第三位精霊。
そこら辺に沢山いるらしいが、精霊に対して敏感になったり、集中しなければ力が小さくて見えないらしい。
小人サイズで確認できるのが第二位精霊。野良みたいなのがたまにいるらしいが、極稀にしかいないという。愛し子なら寄ってくるかも、という話だった。
少しの間なら人型になれるのが第一位精霊。第三位精霊と第二位精霊と異なり精霊自身が持つ魔力が一気に増える。
人型になれるし、同属性の魔物の身体に憑依もできる最高位精霊。憑依すれば精霊自身の魔力の消費が抑えれると言う。最高位精霊と契約できるほどの者はここ百何年は現れていなかったらしい。
「そもそも、最高位精霊がこんなに一斉に現世に現れるのがおかしいんですがね…。」
と、疲れたようにぼそぼそ呟く。
ほんとになんだか申し訳なくなっちゃう。
今私の隣にはハクジがいる。
何故か手を繋いでいるが、ハクジがとても嬉しそうにしているので、何も言えずこのままにしている。
他の最高位精霊は精霊界に戻っている。
後ろではコンペキと大ちゃんが、アメとネコが歩いているが、手は繋いでない。
「あれー愛し子だー」
そう言って目の前に現れたのは、第二位精霊、と思われる水の精霊。
私や大ちゃん、ネコの周りをクルクルと飛び回る。
「あまり迷惑をかけてはいけませんよ。」
水の精霊を指先に留め、忠告するコンペキ。
はーい、と精霊は緩く応えてどこかへ飛んでいってしまった。
「今みたいに第二位精霊に絡まれても名前を付けてはいけませんよ。」
スレートさんがちらりと振り向いて、そう教えてくれる。
あの神殿以外での「名付け」は魔力をごっそり持っていかれるから良くないらしい。
「さて、次は種族について話しますね。」
この世界では獣人族と呼ばれる種族が6割を超えていて、純粋な人族は1割あるかないかくらいらしい。
すごく少ないんだなぁ…。
2割が魔物らしい。
魔物は、理性はあるが言語を介さない獣らしい。
獣人や人に仕えて暮らしているが、稀に野生でもいたりするようだ。
スレートさんは次の話題に移ろうとしていた。
「あの、」
疑問があったので、思わず声で遮ってしまった。
「ん?ミユさん、どうかしましたか?」
顔を振り向かせて、私を確認してくれる。
私の疑問には応えてくれるようだ。
「残りの1割近くは何ですか?」
ぴた、とスレートさんの足が止まった。