5 最高位精霊の登場
「やぁ、僕を呼んだのは君かい?」
その声と共に楽しげに微笑んだ綺麗な顔が私の目を覗く。
白い光の粉末がキラキラと舞う。
「わたくしが気に入る波長をしているなんて…。
とても興味が湧きました。」
これまた綺麗な顔が嬉しそうに綻ぶ。
ピンク色のような紫色のような綺麗な光の粉がチカチカと煌めく。
「私も君に興味がある。
とても心地いい波長だ。」
女の人とも男の人とも区別がつかないような顔をした人が目を閉じて満足そうに頷く。
水色と黄緑の間の色した小さな光がふわふわと揺蕩う。
「僕には君しかいない、そう思ったよ。」
切なげな黒髪の子に目を向ける。
私と目が合うとその子は嬉しそうに、どこか切なげにふわ、と笑う。
黒の光る粉末が空気にぱらぱらと溶けた。
階段を降りると、口がぱっかりと開いたスレートさんがいた。
「……最高位精霊が4人も…!!?」
小声でそう呟くと、ぶつぶつと何かを口に出しながら考え始めてしまった。
「…えっと、次、ネコ行く?」
「…そうしようかな。」
ネコがゆっくりと階段を登っていき、祈りを捧げる。
ステンドグラスの向こうから2色の光が現れ、ネコの周りをクルクルと漂う。
ネコの前で姿を現したらしい。
目の悪い私には人型に見える。
「また最高位精霊…!!??」
スレートさんがネコの様子を見て、また口が閉じないようだ。
ネコが降りてきて、精霊を見せてくれる。
これまた顔のいい精霊が2人、ネコの肩に乗って嬉々としていた。
「じゃあ大ちゃん、いってらっしゃい。」
「うん、行ってくるよ。」
困ったように大ちゃんは笑った後、同じようにして階段を登っていった。
お祈りをしていると、また私達2人とは違う色の光が落ちてきた。
ぱっ、と光が精霊に姿を変える。
「………。」
スレートさんの様子を見ようと覗き込めば、スレートさんは白目を剥いて倒れてしまった。
……悪いことしちゃったかな。
「結局みんな揃うのか。」
白い光の精霊が私の手のひらの上で嬉しそうに笑った。
みんな?
大ちゃんが降りてきたところで、何故か精霊達が集まった。
なにやら話しているようだが、人にはよく聞こえない。
「自己紹介をしよう!」
青い光の精霊がそう言うと、精霊全員がずらっ、と1列に並んだ。
「じゃあ僕から!」
そう言って前に出てきたのは白い光の精霊。
「僕は光属性の最高位精霊!
ミユのことが気に入ってきた!」
それに続いていく他の精霊達。
「わたくしは時属性の最高位精霊です。
ミユさんに興味が湧いています。」
「私は聖属性の最高位精霊。
ミユのそばにいたい。」
「僕は闇属性の最高位精霊。
……僕にはミユしかいない、そう思ってきた。」
「あたしは地属性の最高位精霊。
コージが気になった!」
「自分は水属性の最高位精霊。
ダイチの波長は自分にピッタリです。」
「う、うちは火属性の最高位精霊。
コージ以外有り得ないから!」
「わたしは風属性の最高位精霊。
ダイチの力になりたい。」
一通り説明したところで各自がお気に入りに飛びつく。
「これからよろしくね!」
各色の光が瞬いた。