2 グラスとウイズと3人-2
ユーフォムア竜王国に到着した。
グラスさんがひょい、と軽快に龍の背中から降りて、私達3人はじわじわと這うようにして降りた。
全員が降りて、グラスさんがウイズ、と呼んだら、竜は人に姿を変えた。
さらり、と背中まで伸びた青がかったグレーの髪に、
伏し目がちに開けられたくすんだオリーヴ色。
整った顔立ちに、すらりとしたスタイルに立ち姿。
いわゆる、美女が目の前に現れた。
「ウイズお疲れぃっ」
「…グラス、お前のせいで疲れているというのは分かっているな?」
薄い唇から出てきた声が、美声でまたびっくりしたけど、
声が完全に男の人だったことに、驚いた。
「ウイズ、自己紹介しなくていいのか?」
「……した方がいいか。」
グラスさんと話していたウイズさんが、私達の前に来て、目線を合わせるよう少しかがんだ。
「私はウイズ・サクソニーだ。
グラスとペアで領空内のパトロールをしている。
見た目がこんなだが、男だ。
どうぞよろしく。」
最後にふわりと笑顔を添えられ、あまりの綺麗さに私は思わず赤面しちゃった。
というより、男の人なのか…美女とか思っちゃった、申し訳ない…。
「私にも君達のことを教えて欲しいな。」
こて、と首をあざとく傾げられて、きゅん、と心臓が高鳴る。
この人、自分が綺麗なこと自覚してやってる…!!
ひゃあ、と思ってるとネコが自己紹介を始めた。
「俺は猫田 孝次、こっちの名乗り方ならコージ・ネコダ、て言う。
13歳。
身長が低いから下から睨んでるみたいに思えるかもしれないけど、目付きが悪いだけだから気にしないでほしい。」
ネコが変な自己紹介したら、今度は大ちゃんが自己紹介を始めた。
「僕は山口 大地。
ダイチ・ヤマグチ、大ちゃんって呼ばれることが多いかな。
この中では一番頭が悪いけど身長は一番高いよ。」
……最後に身長の話を挟まなきゃいけないの…??
グラスさんとウイズさんが、私に視線を寄せる。
「…えっと、佐々木 美結、ミユ・ササキです。
身長はネコ…猫田と同じくらいで、頭は一番いい、はず。
……あの、貴方は誰ですか?」
ネコも大ちゃんも私を見てたから気付いてなかったみたい。
グラスさんの後ろに立ってる人に、声をかけた。