過ぎたクリスマスと来ない春
あまり悲しくはなかった。
最初からこないと分かってたんだ。
それでも期待していた。
もしかしたら来るんじゃないかって
随分前と言うべく日でない頃、俺は片想いをしていた。
同じ歳の女の子。学校は離れてしまったが元々仲がよかったのだ。
その彼女に会えないかとクリスマスの予定を聞いた。
彼女はたしかにいいよと言ってはくれたのだ
しんしんと雪が降り積もってゆく
凍える蕾を見やるものなどいない。
池はとうに凍ってしまった。
手に触れる雪は冷たく寒さに落つる雫も凍ってしまう。
携帯は鳴らない。少年は一体何に見放されたか。
蕾を咲かす春の息吹は過ぎ去るのだった。