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8.準備2

なんだかんだでまだ異世界転移2日目なんです。展開おっそ!ってなりますよね…。内容が濃いという事だと自己完結しています。



刀っていいですよね。かっこいいです。中二心がくすぐられます。


ぜひ楽しんでください。ではどうぞ!



武器屋と思われる店のドアを開ける。こちらも先程の防具屋と同様、ギィィと音を立てている。


「失礼します。」


中に居たのは水色の髪でポニーテールを結った女性だった。


「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」


腰を曲げて頭を下げる。この一連の動きがとてもスムーズに行われる。


(今まで出会った人の中で礼儀が正しいなぁ。いや、丁寧で落ち着いているって表現した方がいいかな?)


「はい。えっと、刀が欲しくてですね。あります?」


(刀は2本マジックバックに入っているのは確認済みだけどミスリルって表示があったんだよなぁ。価値が分からないからもう1本別の素材でできているやつが必要だよね。)


「あるにはあるんですけど、、。」


言いにくそうにこちらをチラッと見ながら言う。その視線には何かを疑っているような、懐疑さがうかがえる。


「え?はい。どうかしましたか?」


「ええ、失礼ですがあなたには刀を扱えないと思います。刀は剣とは使い方がまるで違います。扱えないものを買うのはお金の無駄ですし、使われない武器も可哀想です。こちらをおすすめします。」


と言って出してきたのは初心者向けと書かれている箱から出してきた短剣だ。酷い状態ではないのは分かるが、汚れがあるのでなので新品とは思えない。


(確かに。扱えないのは武器も可哀想だ。だけどそんなふうに見えるのか俺は、、。1年前に辞めたとはいえ元剣道部だぞ?身長165程で確かに低いけどそんなにかなぁ?)


「どういたしますか?」


コトっと短剣をカウンターに置く。


「んー。あ、これらの武器を作っていらっしゃる職人さんに会いたいんですけどお願いできますか?」


「え?はぁ。ではただ今お待ちください。」


困惑した様子だが了承してくれたようで奥に入って行った。


(職人ができる人ならきっと実力を見てくれるはずだ。いや、待てよ?技術的に俺って全然まだまだじゃん。えーと、誰かの動きをコピーできれば早いよな。あとは本に書いてあることや考えていることをそのまま行動できるやつ。)


模倣眼(もほうがん)を獲得しました。』


(はい便利!使い方も自動で頭の中に入ってくるし、あとは実際に使ってみるのみだな。対象なんかいなくてもイメージで何とかできるとは!ここは腕の見せどころか。だてに暇な時間で妄想してるわけではないってことを証明して見せよう!)


「お待たせ致しました。こちらが当店で販売されている武器を作っておりますドーグです。」


女性の隣にはハンマーを肩にかついだ大男が立っている。


(ここの人たちはガタイがいいな。体が大きすぎる!)


「ルネよ。そんなに堅苦しくなくてよいといつも言っているだろう。気楽にいけば良いのだ。さて。小僧よ。お前が刀を使うという事で間違いないな?」


落ち着いてはいるが声が低いので発するだけで怖い印象を与える。


「はい。あってます。」


「ふむ。ルネよ。わしを呼んだ理由について話してもらってよいか?」


ドーグは首を隣の女性、ルネに向け、ルネは零に鋭い視線を向ける。


「はい。このお客様が刀を扱えないと判断し、別の武器を推したのですが作った人を呼んできてほしいとの事でしたので。」


「ならば小僧よ。わしに何の用だ?」


今度は零に首を向ける。


「腕の立つ職人さんなら僕の事をきちんと分かってくれるのではないかと思いまして。僕なら刀を扱えます。」


(『闘力隠蔽』解除!)


「きゃっ!」


建物の中なのに風が吹き荒れる。それは零を中心として吹いており、周りに掛けてある武器はカタカタと音を立てている。声をした方に目を向けると、ルネが尻もちをついていた。


「小僧よ。もう十分分かっておる。周りの武器が落ちる前にそいつを収めろ。」


「はい。すみません。」


(ふぅ。全部飛ばさないように抑えて解放するのは難しいな。)


「な、なんですか今のは!?」


風が吹き止んだ瞬間、ルネが立ち上がりながら声をあげる。


「潜在能力ってところか。ふむ。ついて来い小僧よ。ルネよ。お前は今ので落ちた軽い物を片付けておけ。」


「、、はい。」


ルネの視線がより鋭くなった。


(なんだ?力を見せれば納得してくれると思ったのに。まぁ、技を見せなくても職人さんが分かってくれたならいっか。さっき得た能力が使えないのは残念だけど仕方ない。)


大男に続いてカウンターの奥へと歩く。


「小僧よ。なかなかな強さをもっているな。扱えるかどうかは今はわからん。しかしどちらにせよ、いずれは扱えるだろうという事だけは先程分かった。これでも鍛冶の腕には自信があってな。お世辞でも周りからは国1番と言われておる。職人というのはやはり相手の実力を見極めねばならぬ時があり、こちらのせいで怪我を負うのは避けたい。だが小僧よ。お前は違う。」


目の前にある鉄の扉を開け中に入る。


(ん?空気が違う?重い、、。)


「お前ならこれが扱えるのではないか、そう直感したのだ。見極めではない。」


目の前には1本の刀が置いてある。周りには何も無い。一際目立つその刀は僅かに紫色の電気が走っており、鞘は黒の地に白の龍の刺繍が入っている。


「これは刀ですか?」


「ああ。見ての通り刀だ。だがわしの師匠のそのまた師匠、いくつ遡るのかわからぬが代々(いにしえ)より伝わる素材を打ち続けていた。ようやくわしの代で完成したのだ。だがそれを使いこなすものが今までにいなかったのだ。」


昔を思い出しているのだろうか。どこか遠くを見ながら言う。


「誰もですか?」


「ああ。わしは王都に居た時があってな。その時はまだ刀は完成してなかったのだが、当時の勇者では欠片も扱える未来(ビジョン)が湧かなかった。」


愉快そうに笑っているがこれを勇者が見るとしたらどう思うだろうか。


「小僧よ。お前ならこれを扱えるのだ。受け取れ。」


そう言いながら横にずれ、片手でポンッと零の背中を押す。


(おっと。思わぬ所で強力な武器が手に入るとは。勇者でも扱えない刀か。ふふっ。わくわくするなぁ。)


「では。」


零が鞘を掴むと刀が手から吸収されてしまった。あっという間に消えた刀を見て呆然とする2人。


「え?消えましたよ刀。吸収しちゃいました。」


振り向きながら話しかける。


「あ、ああ。そのようだな、、。出せるのか?」


先程の喋りとは違いかなりの動揺が見られる。


「はい、やってみます。」


(とにかく念じてみようか。ふぅ。出ろ!)


『名前の設定をお願いします。』


(へ?名前?ついてないのか?)


『名前の設定をお願いします。』


(よ、よし、わかった。なら何にしようかな。んー俺の名前が零だから、少し弄ってシズクにしよう。)


『武具名がシズクとなりました。これによって武具の出し入れが可能となります。』


(はいはい。脳に勝手に流れてくる感じね。なるほど。ようは呼べばいいんだな。)


「お待たせしました。いきます!」


両手を前に出す。


「出ろ『シズク』。」


用意した手にはしっかりと刀が握られていた。左は鞘、右は柄を掴んでいる。


「どうですか?」


「す、素晴らしい。どうやらシズクがその刀の名となったようだな。ぜひ抜いてみてくれ。」


唖然とした顔から笑顔になり、嬉しそうに言った。


「失礼しますっと。」


キンっと鋭い音を立てながら刃が出てくる。その刃は真っ黒でやはり紫の電気を纏っていた。


「これは、、綺麗ですね、とても、、。」


「そうだろうそうだろう。龍の骨、魔王の瞳、神の涙、始まりの鉱石などなどその代その代の幻とも言われる素材を足してきたのだ。切れ味も抜群であろう。向こうにあるミスリルの剣と試し打ちしに行くぞ。」


早歩きで部屋を出ていく。声にも機嫌の良さがうかがえる。


(えー。気分ルンルンじゃないか、、。しょうがない、俺も気になるし行くか。戻れ『シズク』。)


鞘にしまい走ってあとを進む。すると大男がいつの間にかハンマーから剣に持ち替えていた。


「遅いぞ。さあ刀を抜け。行くぞ!」


言うがはやいか剣を上から降ろしてくる。


(ちょっ!まだ用意もしてないんだけど!?くそっ。出ろ『シズク』)


肩にかついだ状態で刀を呼び出す。出てきたのは()()()()()()ままの刀。


(最初のでイメージ通り出てきてくれることは分かった。さらに『神の目』のおかげでこの人の剣速は止まって見える。ならこのまま剣だけ切る!)


シュンっという音の後カランと硬いものが落ちた音がした。


(戻れ『シズク』。)


「見事だな。まだ荒いがこれからの努力次第でなんとかなるだろう。その刀を使えているのが1番の証拠だ。これでわしも肩の荷が降りた。またいつか来い。その刀の面倒ぐらいたまには見てやる。」


「はい。ではまたいつか会いましょう。それまでには完璧に扱えるようにします。」


(やった!ただでこんなすごい刀を貰っちゃた!)


そう言い出入り口の方に向くとその近くに女性が立っていた。


「先程のお手並み拝見させていただきました。どうやら見た目通りの強さではないようですね。実力を疑ってしまい申し訳ございません。」


腰を曲げて謝罪するのはやはり性格の表れである。


「いえ、素人に武器を持たせるのは危険だってことくらい僕にも分かります。」


「はい、ありがとうございます。」


「お世話になりました。」


扉まで急いで向かう。


(ん?この扉の先に誰かいる。ってこの感じはあの3人組じゃないか!)


ギィィという音とともに扉を開けると零の予想通りやはりそこに居たのは先程の3人だった。


「やぁ。失礼するね。ここでさっきからなかなかの強さを感じたんだ。君、、ではなさそうだね。」


「あなたは誰ですか?」


すると目を開いてびっくりした様子で突然笑いだした。


「アハハっ。僕のことを知らないのかい?僕はAランク冒険者のラスパルド。通称“風の貴公子”だよ。」


金髪緑眼でまさに貴公子だ。


「わたくしはCランク冒険者のビストですわ。」


と赤髪


「わたしもCランク冒険者のノルス。」


と今度は水色の髪の女がそれぞれ名乗る。


「なるほど。あ!僕早く行かないといけないところがあるんでした!では失礼します。」


(『闘力隠蔽』。こんな所は逃げたほうが良さそうだな。)


存在感を無くした零は走ってその場を離れる。3人とも零のことを見失ったのか、キョロキョロとあたりを見回している。


(ふぅ。何かこの村ってやっぱりただの村じゃないよな。騎士団長が助けに来て、国1番の鍛冶師がいて、Aランク冒険者までいる。めんどくささがMAXだよ。まだ何もしてないのに、、。なんだ!?)


後ろの方で建物が倒壊する音が聞こえる。振り返ると土煙が立っている場所がある。


(今の音はだいたい防具屋とかがあった位置、、。このまま行ってみるか。)


くるっと180度の方向転換をして音のあった位置まで走っていく。

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