5.初戦闘
文化祭のことを忘れてました。準備で忙しく書けてなかったので遅れました。申し訳ないです。
今回は初めて戦う部分について書きました。主人公最強なので戦いとなるようなことはほぼないとは思いますが……。
瞼の向こうから光が薄くなっていくのが分かると目をゆっくりと開ける。
「すごい……。」
(こんなに気持ちのいいそよ風は初めてかもしれない。でもあそこに動物(?)がいなければもっと良かったのになぁ…。ま、いっか。)
「あの神様ご丁寧に立て札まで立てて、、、俺裸じゃん。スッポンポンじゃん。は?どういう事?」
転移して早々重大な問題に直面してしまったが、さすがは神様というべきか近くの木の下にカバンと1枚の紙が用意されていた。
(どれどれ?なるほど。このカバンは貰ってもよくて中にあるものも俺の持ち物になるのか。服とか入っているのはこの紙から分かるけどあとは“その他”しか書かれてないんだよなぁ。まあ早く服を着なくちゃな。)
裸の割にかなり落ち着いているのは体の内側から感じる強者の余裕なのか。はたまた、ただマイペースなだけなのか。
「ん。異世界ものの小説でよく見るマジックバックってやつか。見た目の何倍も入るって便利すぎでしょ。しかも開けたら真っ暗だなんて怖っ。えーと?あったあった!わおまじか、、、。なんか、うん、普通にかっこいい?」
カバンから出てきたのは黒の地と肩から腕にかけて赤のラインが1本かかれているシャツ。黒い学生用のズボンにこれまた赤のラインが横にかかれている。さらにカバンに手を入れると、見覚えのある下着があった。
「これ俺のじゃん、、。ありがたく使わせてもらうか。」
少しは周りを気にしたのか木に隠れて着替えている。角度によってはまる見えだが、気持ち的には幾分かはマシになったのだろう。
「ふむふむ、こんな感じかぁ。鏡がないからいまいち分からないけど、見たところ特にこれといったことはないね。さて、この紙通りだとすると今の俺は強過ぎるみたいだ。そして何より容姿を変えることができると。ま、これについては世界の名前を念じて変化したいと思えばいいのか。強いのはどうしようもないよな。今もなんか内側から溢れる力が分かっちゃうし。ん?溢れるからバレるのであれば引っ込めれば何とかなるかも?」
普通は溢れたものを元に戻せないのと同様にそれが何であっても不可能である。が、神様はできてしまう。ならその神様より強い零ができないわけがない。
「んーーー。ん?あ、できたかも?」
『闘力隠蔽を獲得しました。』
(お、おう。びっくりしたぁー。びっくりし過ぎて声が出ないとはこのことか。今後はこれで知らせてくれるのか。あ、そういえばステータスについてもなんか書いてあったな。)
「えーと?そうそう、数値化は基本してないんだったな。数値に頼ってほしくないとか書いてあるけど本音はどうだか…。あとはスキルか。先天性と後天性があるのね。てかそもそもスキルって何さ。あ、書いてあった。ふむふむ。なるほど。技量の手助けみたいなものか?これはレベルで分けられてるのか。レベル10がMAXと。取得条件は各々違うらしいけどこれは……どう考えても恵まれなかったらひどい扱いを受けるだろ。ま、俺は超恵まれているな。さて、では早速自分のステータスを見てみようか。念じればいいんだったな。」
(“ステータス”)
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名前 紫川 零
年齢 16
スキル 創造(lv-) 神の目(lv-) 成長倍率100倍(lv-)
闘力隠蔽(lv10)
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「シンプルだけどごちゃごちゃと数字があるよりかは好きだな。スキルの数はこんなものか?だいたい想像していた通りのスキルだな。“神の目”以外は。見た感じ鑑定の上位互換か。動体視力も上がるんだ。へー。ん?」
その時突然前に誰かが現れ何かが飛んできた。
(やばっ、、くない。超スローだ。“神の目”様々だな。飛んできたものは…矢か。敵は?あ!あれってもしかしなくてもゴブリンじゃん。顔が気持ち悪っ。せっかくだし鑑定しておくか。)
『〈ゴブリン〉 ランクF
様々な武器を使える魔物。しかし全てが素人並みである。群れでの行動が多い。』
(なるほど。意外と器用なんだなゴブリンって。棍棒と剣と弓とかでそれぞれ分かれているかと思ったけど。)
「よっと。」
矢を避けて近くにある木の枝に飛び乗る。
「この身のこなし少し前まではありえないレベルだったのに……。前宙して着地が出発点よりも高いってどういう事だよ。」
自分がやったことでも呆れてしまう辺りはまだ余裕がありそうだ。
「ふっ。」
木の枝から一瞬でゴブリンの背後に移動するが、ここら一帯は草原であるため草を踏む音で気づかれてしまった。
(まじかよ。振り向く前に殺ってやるか。)
「はっ!」
回し蹴りでゴブリンの頭に当てる寸前で止める。しかし風圧からか
ゴキッ
鳴ってはいけないような音が首から聞こえた。
「あっぶな。血まみれになるところだった。魔物っていうのはだいたい魔石があるはずなんだけどな。こいつを解体するのはかなり気が引けるよ。え?溶けてる?いや溶けるっていうより光の粒子になって、、、あーあ消えちゃった。お?なんだこの石は?」
消えたゴブリンのいた場所に大豆程の石があり、紫がかっている。
(“神の目”)
『魔石 ランクF
魔力が篭っており、ランクごとにその量と大きさは違う。魔物のランクと比例する。』
「これが魔石かぁ。すごい小さいな。Fランクはこんなものか。魔力がどんなものか感じ取れるようになったら便利だな。」
『魔力感知、魔力支配を獲得しました。』
「ん。どーも。こういうのは慣れが大事だもんね。解体しなくてもドロップアイテムとして出てくるのは良心的だ。」
(そろそろ暗くなってきたから早くに村につかなくちゃな。立て札によると左に真っ直ぐか。)
いつの間にか夕焼け色に染まった空を背景に立て札に従い進んでいく。