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定例運営会議

「これより毎週定例運営会議を開始する」


『よろしくお願いします』


全員が立ち上がり、一斉に頭を下げる。


「それでは、まず運営状況の確認から」

「はい。運営自体は黒字です、が、サービス開始一週間としては若干振るわない感触があります。理由として、まだ十分にプレイヤーが攻略を進めていない、そもそもの課金要素が少ない、課金しなくてもそこそこプレイできる点があげられると思います。さらにいうと、VRハードの普及もまだ進んでいない事もあげられるかと」

「この点について、質問や意見は?」


一人の高級スーツに身を包んだ男が手を上げる。


「採算は取れるのでしょうか?」

「そもそもこのゲームは採算をほぼ度外視し、VRハードの普及の為に作成されたゲームです。このゲームが結局黒字であろうが赤字であろうが、大事なのは我が社のVRハードがどれだけ販売されたか、という点です」

「それでも、それなりの資金をつぎ込んでいるのですから……」

「基本無料のゲームはある程度進んでから課金をする必要が出てきます。後半年、一年もすれば徐々に利益が出始めると推測されます」

「まぁ、今はそれでいいでしょう」


スーツ姿の男が椅子に再度腰かけるのを確認すると、再度挙手を求めるが、誰も挙手をしないので次に進行する。


「では、各部門への運営資金の割り当てをしていきたいと思います。グラフィッカーから順に発表を」


代表が立ち上がり、意見を述べていく。それを簡潔にホワイトボードへ書き込んでいく。


それを幾度か繰り返す。


「えーそれではまず、即座に解決すべき事案が幾つかあがったので、それを議題に取り上げたいと思います」


「第一、解決すべきは回線の増設、これで確定してよろしいでしょうか?異議がある部門の代表は挙手を」


挙手、0。全会一致でこれは解決すべき、という意見が出た。


予想よりもこのゲームの運営用に割り当てられた回線が少ないため、その少ない回線が混雑を極め、最終的にはスマートフォンを使い連絡をしていた、という事態も見受けられたそうだ。


これは早期に対処が必要である。


「これについては、こっちが完全に甘く見積もっていた。可及的速やかに回線を増設しよう」


先の高級スーツを着た男がその件について謝罪をする。


この男は本社から派遣された社員であり、それなりのエリートである。しかし、謝罪をしたとはいえ、可及的速やか、という言葉は信用ならない。


苦情対応部門の代表が挙手をする。


「可及的速やかに、という事についてですが、どの時期に、どの程度の量を配備できるかを確約してほしいのですが」


一番回線が少ない事により割を食っていた苦情対応部門らしい言葉である。


「それについて本社で協議を…」

「では、最低でも、今週末には5本を追加できるようにお願いいたします」

「……努力はしましょう」


以下、さまざまな事を議題に取り上げたが、これが今回の定例運営会議な主な内容と言えよう。

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